四部
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仗助視点
「吉良ヨシカゲ、と、自分で名乗っていました」
爆弾にされたか、《バイツァ・ダスト》の起爆スイッチになるところだった女性隊員がそう言っても、吉良吉影が目を覚ますことも時間が吹っ飛ばされることも無かった。
あの殺人鬼吉良吉影の死因は、事故死。スタンドを使っての犯罪であったから、その事件を立証することも出来ない以上法律では裁けない。だからこれが一番よかったのだと露伴が言う。
これで、よかったのだ。おそらくは。
川尻早人と同じ様に、あの野郎が何かに裁かれればいいと思うのも確かではある。けれどもスタンド使いとしても殺人鬼としてもあっけなさすぎる最期に、それ以上は何も言えなかった。
指を鳴らす音がする。聞き慣れたその音へ仗助が振り返ろうとすると、それより先にアマネの腕が伸びてきて抱きつかれた。突き刺さったままの木片で立っているのもやっとだというのに、遠慮のない抱きつき方に膝を折る。
「ぅわっ、ちょっ」
「――怪我を治すから黙ってなさい。空条、手伝えぇ」
離れたアマネがそのまま仗助の肩を掴んでしゃがませたまま、左脚へ突き刺さっている木片の辺りへ触れた。冷たい手というよりは、もう殆ど乾いているものの湿ったズボンの冷たさを感じる。
承太郎だけではなく億泰や康一や、露伴達も寄ってきて仗助の怪我を覗き込んだ。その怪我の酷さにか康一が痛そうな顔をする。
「これ、病院に行った方がいいんじゃないですか」
「他人様の家で爆発に巻き込まれて木片が刺さりましたぁ? 事情聴取されてぇならそうするべきだろうなぁ」
そう言われれば尤もだ。アマネが承太郎へ木片を掴ませる。動かされるだけで痛い。
「痛かったら俺にしがみついてなさい。俺は一瞬で治すのは無理だけど、ちゃんと治すから」
「斑鳩さんのスタンドは転移能力じゃ」
「そういうの今は黙ってろぉ」
露伴を黙らせてアマネが仗助を見る。アメジストのような瞳。
承太郎のスタープラチナが木片を一気に引き抜く。灼熱のような痛みが襲い思わずアマネの腕を強く握りしめた。
「っ……ぅ」
詰めていた息を無理矢理吐き出すのと一緒に痛みが消えていく。痛みのせいで滲んだ脂汗にか、アマネの手が仗助の額をアマネの肩口へと引き寄せた。そうしてしがみついていた方が確かに楽である。
「おお……治ってく」
「腹のも抜くぞ」
億泰が感動混じりに呟く。承太郎のスタープラチナが腹部へ刺さっていたもう一本を引き抜いた。
一度雨や血で濡れた服が暖かく感じられる。その暖かさに意識がぼんやりしたのは残る痛みのせいか血が足りていないからか。
しがみついているアマネから血と雨に紛れていい匂いがする。
「でけぇ傷はこの二つだけかぁ? 後は場所を移して治療しよう。空条、悪ぃんだけど運んでくれぇ」
「――いやッ! オレ自分で歩けますッ!!」
「ごめん。俺の話。立てねぇ」
「吉良ヨシカゲ、と、自分で名乗っていました」
爆弾にされたか、《バイツァ・ダスト》の起爆スイッチになるところだった女性隊員がそう言っても、吉良吉影が目を覚ますことも時間が吹っ飛ばされることも無かった。
あの殺人鬼吉良吉影の死因は、事故死。スタンドを使っての犯罪であったから、その事件を立証することも出来ない以上法律では裁けない。だからこれが一番よかったのだと露伴が言う。
これで、よかったのだ。おそらくは。
川尻早人と同じ様に、あの野郎が何かに裁かれればいいと思うのも確かではある。けれどもスタンド使いとしても殺人鬼としてもあっけなさすぎる最期に、それ以上は何も言えなかった。
指を鳴らす音がする。聞き慣れたその音へ仗助が振り返ろうとすると、それより先にアマネの腕が伸びてきて抱きつかれた。突き刺さったままの木片で立っているのもやっとだというのに、遠慮のない抱きつき方に膝を折る。
「ぅわっ、ちょっ」
「――怪我を治すから黙ってなさい。空条、手伝えぇ」
離れたアマネがそのまま仗助の肩を掴んでしゃがませたまま、左脚へ突き刺さっている木片の辺りへ触れた。冷たい手というよりは、もう殆ど乾いているものの湿ったズボンの冷たさを感じる。
承太郎だけではなく億泰や康一や、露伴達も寄ってきて仗助の怪我を覗き込んだ。その怪我の酷さにか康一が痛そうな顔をする。
「これ、病院に行った方がいいんじゃないですか」
「他人様の家で爆発に巻き込まれて木片が刺さりましたぁ? 事情聴取されてぇならそうするべきだろうなぁ」
そう言われれば尤もだ。アマネが承太郎へ木片を掴ませる。動かされるだけで痛い。
「痛かったら俺にしがみついてなさい。俺は一瞬で治すのは無理だけど、ちゃんと治すから」
「斑鳩さんのスタンドは転移能力じゃ」
「そういうの今は黙ってろぉ」
露伴を黙らせてアマネが仗助を見る。アメジストのような瞳。
承太郎のスタープラチナが木片を一気に引き抜く。灼熱のような痛みが襲い思わずアマネの腕を強く握りしめた。
「っ……ぅ」
詰めていた息を無理矢理吐き出すのと一緒に痛みが消えていく。痛みのせいで滲んだ脂汗にか、アマネの手が仗助の額をアマネの肩口へと引き寄せた。そうしてしがみついていた方が確かに楽である。
「おお……治ってく」
「腹のも抜くぞ」
億泰が感動混じりに呟く。承太郎のスタープラチナが腹部へ刺さっていたもう一本を引き抜いた。
一度雨や血で濡れた服が暖かく感じられる。その暖かさに意識がぼんやりしたのは残る痛みのせいか血が足りていないからか。
しがみついているアマネから血と雨に紛れていい匂いがする。
「でけぇ傷はこの二つだけかぁ? 後は場所を移して治療しよう。空条、悪ぃんだけど運んでくれぇ」
「――いやッ! オレ自分で歩けますッ!!」
「ごめん。俺の話。立てねぇ」