四部
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抱きかかえた空気弾が胸元で炸裂する。予想より強い衝撃に息が詰まるどころの話ではなく、僅かに足が宙へ浮きもしたかも知れない。全身に爆撃による傷が付いて血が吹き出る。そのまま立つことが出来ずに倒れてしまった。
倒れた衝撃も全身に響く。身動ぎして仗助を見上げれば目が合った。だから安心させるように笑ってやる。
仗助が億泰と早人を掴み、踵を返して逃げた。
「おやおや、億泰は連れて行くのにこっちはおいていくのかね」
吉良吉影の馬鹿にしたような売り言葉へ反応してはいられない。今は反応してはいけなかった。そのくらい仗助でなくとも分かっただろう。
雨音が弱くなっている。水たまりを跳ねさせて近付いてくる足音。
仗助達が近くの民家へと逃げ込んでいく。瞼を一度閉じたところで髪を掴まれ頭を引き上げられた。
「あいつらを守る為に自ら空気弾へ飛び込むとは、まるで保護者の鑑だな。だがその勇敢さは全く共感できない。私が望むのは平穏な人生だからね」
平穏な人生。
「……むかし、俺もそれを欲しいと願っていたよ」
アマネがまだ喋れる事が意外だったのか、それともアマネが吉良吉影の言葉へ同調したことに驚いたのか、吉良吉影がアマネの顔を覗き込む。
「でも平穏を手に入れる為の、代償となる努力がどうもまた足りねぇらしい」
訝しげな吉良吉影の手から、全身を“拒絶”させた。手をすり抜ける髪に吉良吉影が驚くのに、出来るだけ不敵に笑ってやる。
髪だけではなく全身がコンクリートへ沈んでいく。吉良吉影が慌ててアマネを掴もうとしたり、おそらくはスタンドで爆発させようとしたりもしているのだろうが、どちらも今のアマネへは届くことのない攻撃だった。
「『試練』の厳しさなんてのは、俺の方が知ってるぜぇ」
全身が粘り気のある水中へ沈み込むように、地面のコンクリートへと透過する。こんな荒技な“拒絶”の仕方は殆どやったこともないので、慣れない能力の使い方に頭痛が酷い。
だがこれで、吉良吉影はアマネを追えなくなった。アマネを追えないと分かると、吉良吉影はアマネを諦め今度こそ仗助達を追いかけようとするだろう。アマネの事は深く考えない。
何故ならこの世界にはスタンドと幽霊という存在がある。物質をすり抜ける幽霊と、物理的に攻撃できるスタンドの存在が。
「スタンド使いでも幽霊でもねぇんだけどなぁ……」
仗助に戦略を練る時間を与えることは出来ただろうかと考える。指を鳴らして晴の炎で堂々と自分の怪我を治し、最低限治したところで地面の上へと出た。
倒れた衝撃も全身に響く。身動ぎして仗助を見上げれば目が合った。だから安心させるように笑ってやる。
仗助が億泰と早人を掴み、踵を返して逃げた。
「おやおや、億泰は連れて行くのにこっちはおいていくのかね」
吉良吉影の馬鹿にしたような売り言葉へ反応してはいられない。今は反応してはいけなかった。そのくらい仗助でなくとも分かっただろう。
雨音が弱くなっている。水たまりを跳ねさせて近付いてくる足音。
仗助達が近くの民家へと逃げ込んでいく。瞼を一度閉じたところで髪を掴まれ頭を引き上げられた。
「あいつらを守る為に自ら空気弾へ飛び込むとは、まるで保護者の鑑だな。だがその勇敢さは全く共感できない。私が望むのは平穏な人生だからね」
平穏な人生。
「……むかし、俺もそれを欲しいと願っていたよ」
アマネがまだ喋れる事が意外だったのか、それともアマネが吉良吉影の言葉へ同調したことに驚いたのか、吉良吉影がアマネの顔を覗き込む。
「でも平穏を手に入れる為の、代償となる努力がどうもまた足りねぇらしい」
訝しげな吉良吉影の手から、全身を“拒絶”させた。手をすり抜ける髪に吉良吉影が驚くのに、出来るだけ不敵に笑ってやる。
髪だけではなく全身がコンクリートへ沈んでいく。吉良吉影が慌ててアマネを掴もうとしたり、おそらくはスタンドで爆発させようとしたりもしているのだろうが、どちらも今のアマネへは届くことのない攻撃だった。
「『試練』の厳しさなんてのは、俺の方が知ってるぜぇ」
全身が粘り気のある水中へ沈み込むように、地面のコンクリートへと透過する。こんな荒技な“拒絶”の仕方は殆どやったこともないので、慣れない能力の使い方に頭痛が酷い。
だがこれで、吉良吉影はアマネを追えなくなった。アマネを追えないと分かると、吉良吉影はアマネを諦め今度こそ仗助達を追いかけようとするだろう。アマネの事は深く考えない。
何故ならこの世界にはスタンドと幽霊という存在がある。物質をすり抜ける幽霊と、物理的に攻撃できるスタンドの存在が。
「スタンド使いでも幽霊でもねぇんだけどなぁ……」
仗助に戦略を練る時間を与えることは出来ただろうかと考える。指を鳴らして晴の炎で堂々と自分の怪我を治し、最低限治したところで地面の上へと出た。