四部
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早人視点
三回目の挑戦だった。
一度目は何も分からず岸辺露伴を死なせてしまった。
二度目はそれを阻止しようと思ったのに、更に何人も死なせてしまった。
三度目は、ランドセルに隠していた猫草であの殺人鬼を攻撃する事が出来た。
けれども駄目だった。
強く降り始めた雨。殺人鬼の能力は早人から解除されない。あと数秒もすれば最初の犠牲者として露伴が死んでしまう。
キラヨシカゲは早人が既に何回か繰り返していることを予想していた。何人、誰を殺したんだと嬉々として聞いてくる。露伴が死んでしまうのは八時三十分。もう時間はない。
勝ち誇ったようにキラヨシカゲが話しかけてくる。
「もう、これ以上この『朝』を戻らせるのは危ないことだ」
繰り返したことで早人が未来を掴もうとあがいていることにも、そう――。
「――生き進むことを選んだ行動は、強ぇからなぁ」
キラヨシカゲの背後へ黒い風が現れたかと思うと、吉良吉影が横殴りに吹き飛んだ。
早人の脇の壁へと激突した吉良吉影に、早人が顔を上げるとそこにはこの繰り返した“朝”でも初めて見る人が立っていた。
雨に濡れながらも流れるように揺れる黒い長髪。獰猛さの込められた紫の瞳。
「繰り返す時間の中でも諦めねぇ心は強ぇよ。時が止まろうが繰り返そうが諦めなけりゃ奇跡は起こせるんだぁ」
雨音にも負けない大きい声。吉良吉影を殴ったそのまま握られていた拳。それを降ろして黒髪の男性が早人へと歩み寄ってきて手を差し出してきた。ママよりも細い手であるそれを掴んでいいのか一瞬戸惑っていると、すぐに手を掴まれて抱き上げられる。
「Ciao 君が川尻隼人君だなぁ。君のお陰で俺はここへ来れた。感謝するぜぇ」
「な、なんで……」
「一度目も二度目も俺は居なかっただろぉ。でも多分それは俺が頭痛でダウンしてここへ来なかったからだぁ。“繰り返して”くれたお陰で俺はそれに気付けた。繰り返す時間の中でも諦めねぇ心は強い。よく頑張ったなぁ」
壁へ激突していた吉良吉影がふらふらと立ち上がった。背中を強打したのか頭を強打したのか、そのふらつきはやけに不安定だ。
「何故……貴様は《バイツァ・ダスト》が効かない……?」
「確定してねぇ未来は俺にとってはただの今なんだぁ。テメェがスタンドを解除して一度でも確定してりゃ違っただろうけどなぁ」
そう言って早人を抱き上げていた男性が笑う。
笑って、腹からせり上がってきたものを押さえるように口を抑えた。指の隙間から赤い液体がこぼれ出てきて水たまりに落ちる。
三回目の挑戦だった。
一度目は何も分からず岸辺露伴を死なせてしまった。
二度目はそれを阻止しようと思ったのに、更に何人も死なせてしまった。
三度目は、ランドセルに隠していた猫草であの殺人鬼を攻撃する事が出来た。
けれども駄目だった。
強く降り始めた雨。殺人鬼の能力は早人から解除されない。あと数秒もすれば最初の犠牲者として露伴が死んでしまう。
キラヨシカゲは早人が既に何回か繰り返していることを予想していた。何人、誰を殺したんだと嬉々として聞いてくる。露伴が死んでしまうのは八時三十分。もう時間はない。
勝ち誇ったようにキラヨシカゲが話しかけてくる。
「もう、これ以上この『朝』を戻らせるのは危ないことだ」
繰り返したことで早人が未来を掴もうとあがいていることにも、そう――。
「――生き進むことを選んだ行動は、強ぇからなぁ」
キラヨシカゲの背後へ黒い風が現れたかと思うと、吉良吉影が横殴りに吹き飛んだ。
早人の脇の壁へと激突した吉良吉影に、早人が顔を上げるとそこにはこの繰り返した“朝”でも初めて見る人が立っていた。
雨に濡れながらも流れるように揺れる黒い長髪。獰猛さの込められた紫の瞳。
「繰り返す時間の中でも諦めねぇ心は強ぇよ。時が止まろうが繰り返そうが諦めなけりゃ奇跡は起こせるんだぁ」
雨音にも負けない大きい声。吉良吉影を殴ったそのまま握られていた拳。それを降ろして黒髪の男性が早人へと歩み寄ってきて手を差し出してきた。ママよりも細い手であるそれを掴んでいいのか一瞬戸惑っていると、すぐに手を掴まれて抱き上げられる。
「Ciao 君が川尻隼人君だなぁ。君のお陰で俺はここへ来れた。感謝するぜぇ」
「な、なんで……」
「一度目も二度目も俺は居なかっただろぉ。でも多分それは俺が頭痛でダウンしてここへ来なかったからだぁ。“繰り返して”くれたお陰で俺はそれに気付けた。繰り返す時間の中でも諦めねぇ心は強い。よく頑張ったなぁ」
壁へ激突していた吉良吉影がふらふらと立ち上がった。背中を強打したのか頭を強打したのか、そのふらつきはやけに不安定だ。
「何故……貴様は《バイツァ・ダスト》が効かない……?」
「確定してねぇ未来は俺にとってはただの今なんだぁ。テメェがスタンドを解除して一度でも確定してりゃ違っただろうけどなぁ」
そう言って早人を抱き上げていた男性が笑う。
笑って、腹からせり上がってきたものを押さえるように口を抑えた。指の隙間から赤い液体がこぼれ出てきて水たまりに落ちる。