四部
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「坊や。さっきは俺の知人が悪かったなぁ」
「……あんた、露伴の知り合いなの?」
「年上を呼び捨ては良くねぇよ。まぁ先生は尊敬するに値するか微妙な感じだけどぉ」
見たところ子供はまだ小学生といったところか。そんな歳で一人カフェへ入るのかと少し不思議にも思ったが、大人びた子なのかも知れない。
だがそれだと、ジャンケンで物事を決めるとこは幼いなとちょっと笑えた。
そのまま笑いを微笑みへ変えて子供へ笑いかける。
「露伴さんのマンガのファンだったのかぁ?」
「……うん。まだ二十歳なのにすごい人だよね」
子供の目に少しだけうれしそうな色が見えた。もしかしたら露伴を尊敬していたのかも知れない。
だとすれば実際の露伴を見て幻滅したのではと思ったが、露伴個人と彼の書く作品とは別だ。それを割り切って楽しむべきである。
「俺はあの人尊敬に値しねぇと思うけどなぁ。作品と作者の性格って別だぜぇ?」
「……そーいうモン?」
子供の左頬へ何故か穴が開いていた。アマネがそれに気付いたことへ気付いたのか、子供がその穴へ指を突っ込む。痛くはないらしい。
「電柱から落ちたときに開いちゃったんだ。痛くはないよ」
「痛くなくても気になるんじゃねぇの?」
「少しね」
「じゃあ俺が治してあげる。露伴さんが意地悪したお詫び」
子供の頬へ手を伸ばして指を鳴らす。燃え上がった晴の炎によって穴が消え、子供が不思議そうに穴の消えた頬を擦った。
「お姉さんスゲー」
「おねっ……それで露伴さんのこと許してくれるかぁ?」
「……。仕方ないな。お姉さんに免じて許してあげる。尊敬する価値もなさそうだし」
「ふふ、ありがとう」
子供が機嫌を直して去っていく。それを見送ってからカフェテラスの露伴がいるテーブルへと戻った。
注文したカフェオレは既に来ていて、露伴はアマネの行動などどうでもいいとばかりにスケッチブックへ何かを描いている。
少し冷めてしまったカフェオレへ砂糖を入れたが溶けるかどうか。念入りにかき混ぜてから口を付け、一口飲んでカップをソーサーへ戻した。
無言で頭を抱える。
「……俺はそんなに女性に見えんの?」
「少なくとも子供をたぶらかせる程度にはそうだろうな」
もう深いため息しか出ない。
「だ、ダイジョーブっすよアマネさん! アマネさん美人だし優しく見えるっつーか!」
「そ、そうっすよアマネさん! ちょっとこんなオフクロいたらいいなってくらいで!」
「康一くんには劣るけどアマネさんも優しい方よ」
いない康一を除いた高校生組がフォローのつもりか褒めてくるものの、四割は慰めになっていなかった。
「……あんた、露伴の知り合いなの?」
「年上を呼び捨ては良くねぇよ。まぁ先生は尊敬するに値するか微妙な感じだけどぉ」
見たところ子供はまだ小学生といったところか。そんな歳で一人カフェへ入るのかと少し不思議にも思ったが、大人びた子なのかも知れない。
だがそれだと、ジャンケンで物事を決めるとこは幼いなとちょっと笑えた。
そのまま笑いを微笑みへ変えて子供へ笑いかける。
「露伴さんのマンガのファンだったのかぁ?」
「……うん。まだ二十歳なのにすごい人だよね」
子供の目に少しだけうれしそうな色が見えた。もしかしたら露伴を尊敬していたのかも知れない。
だとすれば実際の露伴を見て幻滅したのではと思ったが、露伴個人と彼の書く作品とは別だ。それを割り切って楽しむべきである。
「俺はあの人尊敬に値しねぇと思うけどなぁ。作品と作者の性格って別だぜぇ?」
「……そーいうモン?」
子供の左頬へ何故か穴が開いていた。アマネがそれに気付いたことへ気付いたのか、子供がその穴へ指を突っ込む。痛くはないらしい。
「電柱から落ちたときに開いちゃったんだ。痛くはないよ」
「痛くなくても気になるんじゃねぇの?」
「少しね」
「じゃあ俺が治してあげる。露伴さんが意地悪したお詫び」
子供の頬へ手を伸ばして指を鳴らす。燃え上がった晴の炎によって穴が消え、子供が不思議そうに穴の消えた頬を擦った。
「お姉さんスゲー」
「おねっ……それで露伴さんのこと許してくれるかぁ?」
「……。仕方ないな。お姉さんに免じて許してあげる。尊敬する価値もなさそうだし」
「ふふ、ありがとう」
子供が機嫌を直して去っていく。それを見送ってからカフェテラスの露伴がいるテーブルへと戻った。
注文したカフェオレは既に来ていて、露伴はアマネの行動などどうでもいいとばかりにスケッチブックへ何かを描いている。
少し冷めてしまったカフェオレへ砂糖を入れたが溶けるかどうか。念入りにかき混ぜてから口を付け、一口飲んでカップをソーサーへ戻した。
無言で頭を抱える。
「……俺はそんなに女性に見えんの?」
「少なくとも子供をたぶらかせる程度にはそうだろうな」
もう深いため息しか出ない。
「だ、ダイジョーブっすよアマネさん! アマネさん美人だし優しく見えるっつーか!」
「そ、そうっすよアマネさん! ちょっとこんなオフクロいたらいいなってくらいで!」
「康一くんには劣るけどアマネさんも優しい方よ」
いない康一を除いた高校生組がフォローのつもりか褒めてくるものの、四割は慰めになっていなかった。