四部
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頭上を一枚の写真が飛んでいく。
「空条! 『弓と矢』だぁ! 奪われたぁ!」
「『弓と矢』?」
「SPW財団に保管されたのとは別物だぁ。やっぱり“他にも”あったんだぁ!」
天井の隙間から写真が部屋を出ていくのに、残された弓を仗助の手から奪い取って承太郎へ投げつける。それから襖の仕切り上の梁を掴み、逆立ちの要領で天井を蹴り飛ばして大穴を開けた。
他人の家だがどうせ家主が戻ってくることがない以上、遅かれ早かれ廃墟になるだろうからそれを早めただけである。天井板を蹴り壊した破片が落ちるのに康一が慌てて避けていた。
承太郎が腕を上げて落下する破片から顔を庇っているのに、逆さまに床へ落ちながら目配せをする。手を突いてしゃがむように降り立ち、そこから身構えた承太郎の腕を蹴って足場に天井の大穴へ飛び上がった。
薄暗く非常に埃臭い天井裏で、隙間から漏れ入る光を遮るように何かがひらりと動く。それがやはり隙間を外へと出て行くのを確認して天井裏から下へと戻った。
「外に逃げたぁ!」
外からけたたましいカラスの鳴き声。アマネ達が急いで縁側へ向かって外を見れば、写真から飛び出た紐を首へ絡ませたカラスが飛んでいくところが見えた。
「吉良の父親がオレたちに見つけてほしくなかったのは、あの『スタンド』を引き出す『弓と矢』だったんだ……」
カラスは首を絞められて必死なのか物凄い早さで空を離れていく。あれでは承太郎達の中で一番広い射程範囲を持つ康一のスタンドのエコーズでも届かない。
「『弓と矢』か……。なるほど一組だけではないと思ってたぜ」
承太郎が遠ざかっていくカラスの影を見つめながら呟く。
「DIOは何組かある『弓と矢』で世界中に仲間を作ってたんだ」
「『DIO』……」
カキョウインを殺した男だ。窓へ突いていた手に力がこもる。
やはり全ての元凶はその『DIO』にあるのか。
DIOが承太郎の高祖父と出会わなければ。吸血鬼にならなければ。百年越しに復活しなければ。スタンドへ目覚めることがなければ。
そうしたらカキョウインはきっと少なくとも十年前に死ぬことはなかった。
因縁は本来アマネとは関係がなかったのだ。けれどもDIOがカキョウインを殺したことで、その因縁はアマネとも繋がった。
その男の残したモノが、今もアマネをあざ笑いにくる。
「アマネさん?」
「斑鳩」
仗助と承太郎へ呼びかけられて、そっと窓から手を離した。ふらふらと承太郎へ近付いて胸元へ額を押しつける。
仗助達若者三人が驚いているが気にしてはいられない。ここにトムはいないのだ。
「……次に会ったらぜってぇ消し炭にする」
「人の胸で不穏な発言をするもんじゃねえぜ」
「空条! 『弓と矢』だぁ! 奪われたぁ!」
「『弓と矢』?」
「SPW財団に保管されたのとは別物だぁ。やっぱり“他にも”あったんだぁ!」
天井の隙間から写真が部屋を出ていくのに、残された弓を仗助の手から奪い取って承太郎へ投げつける。それから襖の仕切り上の梁を掴み、逆立ちの要領で天井を蹴り飛ばして大穴を開けた。
他人の家だがどうせ家主が戻ってくることがない以上、遅かれ早かれ廃墟になるだろうからそれを早めただけである。天井板を蹴り壊した破片が落ちるのに康一が慌てて避けていた。
承太郎が腕を上げて落下する破片から顔を庇っているのに、逆さまに床へ落ちながら目配せをする。手を突いてしゃがむように降り立ち、そこから身構えた承太郎の腕を蹴って足場に天井の大穴へ飛び上がった。
薄暗く非常に埃臭い天井裏で、隙間から漏れ入る光を遮るように何かがひらりと動く。それがやはり隙間を外へと出て行くのを確認して天井裏から下へと戻った。
「外に逃げたぁ!」
外からけたたましいカラスの鳴き声。アマネ達が急いで縁側へ向かって外を見れば、写真から飛び出た紐を首へ絡ませたカラスが飛んでいくところが見えた。
「吉良の父親がオレたちに見つけてほしくなかったのは、あの『スタンド』を引き出す『弓と矢』だったんだ……」
カラスは首を絞められて必死なのか物凄い早さで空を離れていく。あれでは承太郎達の中で一番広い射程範囲を持つ康一のスタンドのエコーズでも届かない。
「『弓と矢』か……。なるほど一組だけではないと思ってたぜ」
承太郎が遠ざかっていくカラスの影を見つめながら呟く。
「DIOは何組かある『弓と矢』で世界中に仲間を作ってたんだ」
「『DIO』……」
カキョウインを殺した男だ。窓へ突いていた手に力がこもる。
やはり全ての元凶はその『DIO』にあるのか。
DIOが承太郎の高祖父と出会わなければ。吸血鬼にならなければ。百年越しに復活しなければ。スタンドへ目覚めることがなければ。
そうしたらカキョウインはきっと少なくとも十年前に死ぬことはなかった。
因縁は本来アマネとは関係がなかったのだ。けれどもDIOがカキョウインを殺したことで、その因縁はアマネとも繋がった。
その男の残したモノが、今もアマネをあざ笑いにくる。
「アマネさん?」
「斑鳩」
仗助と承太郎へ呼びかけられて、そっと窓から手を離した。ふらふらと承太郎へ近付いて胸元へ額を押しつける。
仗助達若者三人が驚いているが気にしてはいられない。ここにトムはいないのだ。
「……次に会ったらぜってぇ消し炭にする」
「人の胸で不穏な発言をするもんじゃねえぜ」