四部
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
仗助視点
「十年前、彼の父親は『肉の芽』を埋め込まれたらしい」
「十年前。肉の芽」
「だがその母体だったDIOが死んだことで肉の芽が暴走し、結果このような姿になってしまったらしい」
「ふうん……」
部屋の中で相変わらず鎖に繋げられ、仗助が直した写真を大事そうに抱えて呻いている億泰の父親を眺め、承太郎の知人だという男、斑鳩アマネはどうでも良さげな相槌を打って肩へ掛けていたストールを外して腕まくりをした。ストールを無造作に承太郎へ渡し、戸惑いも躊躇も無く化け物同然の億泰の父親へと近付く。
足音に反応して振り返った億泰の父親が暴れかけるが、アマネを見ると戸惑うように動きを止めていた。それだけでも驚きだというのに、アマネはそんな彼の腕を容易く触れて調べ始める。
「ブヨブヨだけど細胞的には人間のままなのかなぁ。大量のイボというか、脂肪の付きすぎによる瘤みてぇな。傷つけたら痛がるぅ?」
「いえ、あんまり痛みも分かんねえみてえで」
「そっか。じゃあちょっと悪ぃけど傷付けます」
言うなり何処からともなく取り出したナイフで、億泰の父親の腕に小さい傷を付けた。血というより体液と表現した方が言いような液体がそこから溢れ、アマネが指先でそれを拭っては指に付着したそれを擦りあわせる。
そんなことで何かが分かるとも思えないが。
「……怪我が治るというより、急速に細胞が増殖することで傷が塞がってるみてぇだなぁ。この肌の表面のデコボコはその異常な細胞の増殖によるものだと思う」
「わ、分かるんだ……グレートだぜ」
「治せるか?」
「……難しいなぁ」
億泰の父親の腕を握ったままアマネが振り返る。
「そもそも、治せって言ってんのは彼の記憶? それともこの見た目の話かぁ?」
「出来るなら両方だ。だが最悪延命だけでもいい」
最低条件を『延命』にした承太郎の発言に、億泰が何か言いたげではあった。だが仗助としては更に何も言えない。まだアマネが治せるとは言ってもいないし、仗助のスタンドでも直せなかったものが彼に直せるとも思わなかったからだ。
ふてくされた様に承太郎を軽く睨んだアマネが億泰の父親へ視線を戻し、その額を掴むように手を伸ばす。
「……活性を断続して続けている細胞の働きを制限して、一体化してる細胞の分解? 復元もしたほうがいいよなぁ。記憶に関してはもうちょっと色々調べてからがいい」
「何日ぐらいかかる」
「他にもお前の手伝いをさせられるなら、一週間以上。でも……やるよ。どれだけ掛かっても」
少しだけ二人とも何かを思い出しているようだった。
「十年前、彼の父親は『肉の芽』を埋め込まれたらしい」
「十年前。肉の芽」
「だがその母体だったDIOが死んだことで肉の芽が暴走し、結果このような姿になってしまったらしい」
「ふうん……」
部屋の中で相変わらず鎖に繋げられ、仗助が直した写真を大事そうに抱えて呻いている億泰の父親を眺め、承太郎の知人だという男、斑鳩アマネはどうでも良さげな相槌を打って肩へ掛けていたストールを外して腕まくりをした。ストールを無造作に承太郎へ渡し、戸惑いも躊躇も無く化け物同然の億泰の父親へと近付く。
足音に反応して振り返った億泰の父親が暴れかけるが、アマネを見ると戸惑うように動きを止めていた。それだけでも驚きだというのに、アマネはそんな彼の腕を容易く触れて調べ始める。
「ブヨブヨだけど細胞的には人間のままなのかなぁ。大量のイボというか、脂肪の付きすぎによる瘤みてぇな。傷つけたら痛がるぅ?」
「いえ、あんまり痛みも分かんねえみてえで」
「そっか。じゃあちょっと悪ぃけど傷付けます」
言うなり何処からともなく取り出したナイフで、億泰の父親の腕に小さい傷を付けた。血というより体液と表現した方が言いような液体がそこから溢れ、アマネが指先でそれを拭っては指に付着したそれを擦りあわせる。
そんなことで何かが分かるとも思えないが。
「……怪我が治るというより、急速に細胞が増殖することで傷が塞がってるみてぇだなぁ。この肌の表面のデコボコはその異常な細胞の増殖によるものだと思う」
「わ、分かるんだ……グレートだぜ」
「治せるか?」
「……難しいなぁ」
億泰の父親の腕を握ったままアマネが振り返る。
「そもそも、治せって言ってんのは彼の記憶? それともこの見た目の話かぁ?」
「出来るなら両方だ。だが最悪延命だけでもいい」
最低条件を『延命』にした承太郎の発言に、億泰が何か言いたげではあった。だが仗助としては更に何も言えない。まだアマネが治せるとは言ってもいないし、仗助のスタンドでも直せなかったものが彼に直せるとも思わなかったからだ。
ふてくされた様に承太郎を軽く睨んだアマネが億泰の父親へ視線を戻し、その額を掴むように手を伸ばす。
「……活性を断続して続けている細胞の働きを制限して、一体化してる細胞の分解? 復元もしたほうがいいよなぁ。記憶に関してはもうちょっと色々調べてからがいい」
「何日ぐらいかかる」
「他にもお前の手伝いをさせられるなら、一週間以上。でも……やるよ。どれだけ掛かっても」
少しだけ二人とも何かを思い出しているようだった。