四部
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流石に他人へと成り代わられてしまえば、手がかりなんてそう容易く見つけられる筈もない。奥の部屋を調べている承太郎達と合流するかと踵を返したところで、家の奥から電話の着信音が鳴り響いた。
電話が鳴るだけなら別におかしいことはない。何者かが吉良と連絡を取りたくて電話してくることもあるだろう。
だがその着信音が鳴り止むと同時に仗助の声が聞こえたのはおかしかった。何か攻撃を受けた時のような声に台所を出て承太郎達の元へ向かおうとすると、開け放たれた襖越しに承太郎が手を伸ばしてこちらへ来るなと指示を出してくる。
その傍にいる仗助は顔を押さえていて、床に電話の子機が転がっていた。
「『息子』を追う者は死んでもらう!」
床の子機から老人の声がする。
「愛する息子は……わしが守ってきた。幽霊となって、わしの『魂のエネルギー』でズっと守ってきた」
子機から聞こえる老人の声の主はどうやら吉良吉影の死んだ父親のものらしい。承太郎が持っていた写真を覗き込んでいる。
部屋の中には承太郎と仗助の二人しかいないが、その写真の中には父親の姿も映っているらしく、更に言うなら写真の中で動くことで同じ写真へ映っている二人へ攻撃をしているようだった。
投げ飛ばされた子機が仗助の頭へと直撃する。写真の中で父親が動けばその通りに現実へはんえいされるらしい。仗助がその写真を破くと写真へ映っている承太郎と仗助の身体もバラバラになりかけた。
億泰が駆け寄ろうとすると、二人のいる部屋へ立ち入ることなく向かいの縁側へと移動してしまう。手を伸ばした康一の腕が部屋の一定の場所を面にして消えたかと思うと縁側に飛び出し、二人のいる部屋へ立ち入れなくなっている。二人の側からも見えない壁で出ることが出来ないらしい。
「わしは『写真の中』に『生きる』幽霊! わしはわしの写っている写真の空間を支配できるのだッ!」
「――それで? それが仗助君と空条に傷を付ける理由になると思ってんのかぁ?」
先程康一の伸ばした腕が消えた面へ手を伸ばす。僅かに歪む感覚を覚えるその部分に、アマネは全身を“選択”して足を踏み入れた。
億泰が飛び越えた“空間”へ足が侵入する。壊れた子機から驚く声が聞こえ、仗助達も驚いていたがそれぞれ無視し、承太郎が持っている写真へ向けて手を出す。
受け取った写真の中には確かに見覚えのない老人の姿。驚く顔がアマネへ向けられている。
「……俺はなぁ、『空間』と名の付くモノへ対して一日の長がある。それから『幽霊』にもだぁ」
電話が鳴るだけなら別におかしいことはない。何者かが吉良と連絡を取りたくて電話してくることもあるだろう。
だがその着信音が鳴り止むと同時に仗助の声が聞こえたのはおかしかった。何か攻撃を受けた時のような声に台所を出て承太郎達の元へ向かおうとすると、開け放たれた襖越しに承太郎が手を伸ばしてこちらへ来るなと指示を出してくる。
その傍にいる仗助は顔を押さえていて、床に電話の子機が転がっていた。
「『息子』を追う者は死んでもらう!」
床の子機から老人の声がする。
「愛する息子は……わしが守ってきた。幽霊となって、わしの『魂のエネルギー』でズっと守ってきた」
子機から聞こえる老人の声の主はどうやら吉良吉影の死んだ父親のものらしい。承太郎が持っていた写真を覗き込んでいる。
部屋の中には承太郎と仗助の二人しかいないが、その写真の中には父親の姿も映っているらしく、更に言うなら写真の中で動くことで同じ写真へ映っている二人へ攻撃をしているようだった。
投げ飛ばされた子機が仗助の頭へと直撃する。写真の中で父親が動けばその通りに現実へはんえいされるらしい。仗助がその写真を破くと写真へ映っている承太郎と仗助の身体もバラバラになりかけた。
億泰が駆け寄ろうとすると、二人のいる部屋へ立ち入ることなく向かいの縁側へと移動してしまう。手を伸ばした康一の腕が部屋の一定の場所を面にして消えたかと思うと縁側に飛び出し、二人のいる部屋へ立ち入れなくなっている。二人の側からも見えない壁で出ることが出来ないらしい。
「わしは『写真の中』に『生きる』幽霊! わしはわしの写っている写真の空間を支配できるのだッ!」
「――それで? それが仗助君と空条に傷を付ける理由になると思ってんのかぁ?」
先程康一の伸ばした腕が消えた面へ手を伸ばす。僅かに歪む感覚を覚えるその部分に、アマネは全身を“選択”して足を踏み入れた。
億泰が飛び越えた“空間”へ足が侵入する。壊れた子機から驚く声が聞こえ、仗助達も驚いていたがそれぞれ無視し、承太郎が持っている写真へ向けて手を出す。
受け取った写真の中には確かに見覚えのない老人の姿。驚く顔がアマネへ向けられている。
「……俺はなぁ、『空間』と名の付くモノへ対して一日の長がある。それから『幽霊』にもだぁ」