四部
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結局、吉良吉影を捕まえることは出来なかった。駅前にあるエステ『シンデレラ』の店長であった辻綾のスタンド能力を利用し、顔や指紋といった人物を照合できるもの全てを赤の他人と入れ替えて逃亡したのである。
シンデレラの店長であった辻綾は脅迫されてそれを行なった後、追ってきたアマネ達へ吉良吉影が『誰』に変貌して逃げたのかを話す前に吉良のスタンドによって爆発して死亡した。
辻綾と吉良吉影へ顔や指紋を奪われた男性の身体も爆発によって跡形もなく消され、男性の遺体から手がかりを得ることも不可能。残った手がかりとも言えない情報は、入れ替わる前の吉良吉影の住処くらいだった。
杜王駅から車で約十五分。避暑地として別荘が建ち並ぶ一角から僅かに外れた場所へある一軒家だ。しかし当然ながら吉良吉影がそこへ戻ってくることはないだろう。
「几帳面なくせに大胆な行動力って厄介だよなぁ」
「……。そうだな」
「何今の沈黙」
吉良吉影は既に三十数年分の『吉良吉影』を捨て、変貌した誰かへと成り代わっている。成り代わった以上傍目には無関係なのでこの家へ戻ることは出来ない。下手に戻ってきても不審に思われるだけだからである。
平屋ながら広い敷地と部屋数を持つその屋敷は古くからある裕福な家庭の証拠だ。電気も水道も止まっていない全てがそのままな屋敷はしかし、家主の几帳面さを表すように隅々まで片付いていた。
「康一よお、連れ込んで殺した女のよ、生首とかおっぱいが出て来たらどーする? 殺人鬼ってのはハムのように死体をしまっとくのが趣味らしいぜ~」
「で、出ないと思うよ。あいつはそういう容疑者になるよーな殺人の証拠はいっさい残してないと、お、思う……」
「吐くなら門の外まで走りなさい康一君」
冷蔵庫を開けて嫌な想像をさせた億泰に康一が口元を押さえている。吉良吉影のスタンド能力が爆発で、辻綾や身元不明の男性ヘそうしたように爆発させて死体隠蔽をしたことを考えると、今までに殺した被害者もそうして死体を処分していたのだろう。以前露伴と話した内容は地味に合っていた訳だ。
「まぁ、実際に肉片でも死体が見つかってくれた方が俺は助かるかなぁ」
「アマネさんって、結構度胸据わってますよね……オェ」
「俺は肝が据わってるんじゃねぇよ。人生経験が豊富なだけ」
台所へ仕舞われていた包丁を取り出して刃筋を確認してみる。冷蔵庫の中身からして自炊をしていただろうに刃こぼれは殆どしていない。排水溝も頻繁に掃除しているのか悪臭が漂う様子もなかった。
ゴミ箱を漁れば体毛などを見つけ出すことは出来るだろうが、スタンド能力で他人へ変貌されてしまった今はそれも無用の長物である。
シンデレラの店長であった辻綾は脅迫されてそれを行なった後、追ってきたアマネ達へ吉良吉影が『誰』に変貌して逃げたのかを話す前に吉良のスタンドによって爆発して死亡した。
辻綾と吉良吉影へ顔や指紋を奪われた男性の身体も爆発によって跡形もなく消され、男性の遺体から手がかりを得ることも不可能。残った手がかりとも言えない情報は、入れ替わる前の吉良吉影の住処くらいだった。
杜王駅から車で約十五分。避暑地として別荘が建ち並ぶ一角から僅かに外れた場所へある一軒家だ。しかし当然ながら吉良吉影がそこへ戻ってくることはないだろう。
「几帳面なくせに大胆な行動力って厄介だよなぁ」
「……。そうだな」
「何今の沈黙」
吉良吉影は既に三十数年分の『吉良吉影』を捨て、変貌した誰かへと成り代わっている。成り代わった以上傍目には無関係なのでこの家へ戻ることは出来ない。下手に戻ってきても不審に思われるだけだからである。
平屋ながら広い敷地と部屋数を持つその屋敷は古くからある裕福な家庭の証拠だ。電気も水道も止まっていない全てがそのままな屋敷はしかし、家主の几帳面さを表すように隅々まで片付いていた。
「康一よお、連れ込んで殺した女のよ、生首とかおっぱいが出て来たらどーする? 殺人鬼ってのはハムのように死体をしまっとくのが趣味らしいぜ~」
「で、出ないと思うよ。あいつはそういう容疑者になるよーな殺人の証拠はいっさい残してないと、お、思う……」
「吐くなら門の外まで走りなさい康一君」
冷蔵庫を開けて嫌な想像をさせた億泰に康一が口元を押さえている。吉良吉影のスタンド能力が爆発で、辻綾や身元不明の男性ヘそうしたように爆発させて死体隠蔽をしたことを考えると、今までに殺した被害者もそうして死体を処分していたのだろう。以前露伴と話した内容は地味に合っていた訳だ。
「まぁ、実際に肉片でも死体が見つかってくれた方が俺は助かるかなぁ」
「アマネさんって、結構度胸据わってますよね……オェ」
「俺は肝が据わってるんじゃねぇよ。人生経験が豊富なだけ」
台所へ仕舞われていた包丁を取り出して刃筋を確認してみる。冷蔵庫の中身からして自炊をしていただろうに刃こぼれは殆どしていない。排水溝も頻繁に掃除しているのか悪臭が漂う様子もなかった。
ゴミ箱を漁れば体毛などを見つけ出すことは出来るだろうが、スタンド能力で他人へ変貌されてしまった今はそれも無用の長物である。