四部
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せっかく権利をやったというのに呻くだけで喋ろうとしない男に、仕方なく服をまさぐって男の身分が分かる物を探る。見つけた財布の中に免許証を見つけ、男の名前と住所を確認した。
「吉良吉影。三十三歳。……ふん、十五年前は十八かぁ。殺してぇ年頃だってかぁ」
十五年前となればアマネはまだ学生だ。とはいえ十年前に承太郎達が『あの旅』へ出たことを考えると、この男はおそらく先天性のスタンド使いだったのだろう。
僅かに痛みへ慣れたらしい男が動こうとするのに踏み砕いた左肩を蹴る。逃げられてしまっては困るのだ。
男がアマネを睨み上げてくる。その片目を蹴りつけた。
「怖ぇなぁ。そんな目で睨むなよぉ。善良な一般人をそんな目で睨むなんて、テメェの親の顔が見てみてぇよ」
「……ぃ、さまの、親の顔のほうが見てみたいねッ」
歯を数本折ったのだがまだちゃんと喋れたらしい。これから尋問するかもしれないことを考えるとこれ以上歯は折れないので、左手の小指だけに足を乗せて体重を掛ける。あいにくアマネの親は既に早世していた。
「俺はサイコパスの素質は持ってるかも知れねぇけどちゃんと考えてもいる。だからテメェのような奴も今は殺しはしねぇよ。でも許さねぇ」
しゃがんで、男の頭を掴む。
「――俺の眼を」
「……斑鳩」
見ろ、と続けようとしたところで背後から血の匂いと血で汚れた白い腕が回される。ずしりと重い体重が背中にのしかかってきて、振り返れば承太郎がアマネを見つめていた。
「もうやめろ。これ以上は殺しちまう」
立ち上がるのも意識を保つのもギリギリだろうに、アマネがこの男を殺すのを止めに来たらしい。殺す気はなかったが殺しそうに見えたのだろう。
アマネはサイコパスではない。けれどども『異常』だ。
普通であればサイコパスであっても出来ないようなことだって出来るし、今だって簡単に男の肩を砕き潰した。そういう事が出来ることを押し隠して生きている。
それはきっとスタンドを持っているということよりも『異常』だ。
傷だらけの承太郎に肩を貸して立ち上がる。最後にもう一度だけ男を踏みつけ肋骨を折っておいた。下手に逃げられても困る。
「もうすぐ仗助君達も来ると思う」
「オレより康一くんを頼む……」
そう言って気を失った承太郎に、倒れている康一と並べて指を鳴らした。仗助が来たら直してくれるとしてもそれまでは生きていて貰わなければならない。
数分もするとやっと仗助と億泰が駆けつけてきた。止血に使ったストールが血だらけになっている。
それが何だが非常に嫌だった。
「吉良吉影。三十三歳。……ふん、十五年前は十八かぁ。殺してぇ年頃だってかぁ」
十五年前となればアマネはまだ学生だ。とはいえ十年前に承太郎達が『あの旅』へ出たことを考えると、この男はおそらく先天性のスタンド使いだったのだろう。
僅かに痛みへ慣れたらしい男が動こうとするのに踏み砕いた左肩を蹴る。逃げられてしまっては困るのだ。
男がアマネを睨み上げてくる。その片目を蹴りつけた。
「怖ぇなぁ。そんな目で睨むなよぉ。善良な一般人をそんな目で睨むなんて、テメェの親の顔が見てみてぇよ」
「……ぃ、さまの、親の顔のほうが見てみたいねッ」
歯を数本折ったのだがまだちゃんと喋れたらしい。これから尋問するかもしれないことを考えるとこれ以上歯は折れないので、左手の小指だけに足を乗せて体重を掛ける。あいにくアマネの親は既に早世していた。
「俺はサイコパスの素質は持ってるかも知れねぇけどちゃんと考えてもいる。だからテメェのような奴も今は殺しはしねぇよ。でも許さねぇ」
しゃがんで、男の頭を掴む。
「――俺の眼を」
「……斑鳩」
見ろ、と続けようとしたところで背後から血の匂いと血で汚れた白い腕が回される。ずしりと重い体重が背中にのしかかってきて、振り返れば承太郎がアマネを見つめていた。
「もうやめろ。これ以上は殺しちまう」
立ち上がるのも意識を保つのもギリギリだろうに、アマネがこの男を殺すのを止めに来たらしい。殺す気はなかったが殺しそうに見えたのだろう。
アマネはサイコパスではない。けれどども『異常』だ。
普通であればサイコパスであっても出来ないようなことだって出来るし、今だって簡単に男の肩を砕き潰した。そういう事が出来ることを押し隠して生きている。
それはきっとスタンドを持っているということよりも『異常』だ。
傷だらけの承太郎に肩を貸して立ち上がる。最後にもう一度だけ男を踏みつけ肋骨を折っておいた。下手に逃げられても困る。
「もうすぐ仗助君達も来ると思う」
「オレより康一くんを頼む……」
そう言って気を失った承太郎に、倒れている康一と並べて指を鳴らした。仗助が来たら直してくれるとしてもそれまでは生きていて貰わなければならない。
数分もするとやっと仗助と億泰が駆けつけてきた。止血に使ったストールが血だらけになっている。
それが何だが非常に嫌だった。