四部
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流石にアマネでは血液鑑定など出来るはずもなく、財団での鑑識待ちとなった。重ちー少年がサンドイッチの紙袋を持って逃げた犯人を追いかけて襲われた可能性が浮上したものの、そこから先で行き詰まっている。
犯人は何故重ちーの紙袋を奪ったのか。もしくは重ちーの持っていた袋へ何故血痕が付いていたのか。血液が誰の物であるのかが分かれば可能性も減るので考えやすいのだが、だからそれを待たねばならない。
重ちー少年が残した、犯人の物だと思われるボタンのほうも進展は無かった。
「もう諦めてぇ。諦めて『×××』を使いてぇ……」
「頭が痛くなるんだから許さないよ」
「そうでなくても流石に『なんで分かった』って言われそうだからやらねぇよ」
トムと一緒に億泰の家へ行って億泰の父親の治療中である。虹色の光を浴びて心地良さそうにうとうととしている億泰の父親が羨ましい。
現在分かっている情報だけで犯人を捜すのは無理だ。男性、体重六十から七十。足のサイズ二十五・五。そんな人物が果たしてこの杜王町へ何千人といるのか。
神経質な性格だと考えればまた少し変わってくるとしても、性格や体重は外見で判断出来ないのだ。
「紙袋に指紋は?」
「それも調査中。せめて重ちー少年との関わりがもう少し分かればなぁ」
重ちー少年がサンドイッチを買ったパン屋『サンジェルマン』へ行って、当日のサンドイッチを買った客の事も聞いてみてはいた。だがサンドイッチ以外にも焼き立てのパンを出し、ちょうどお昼時という混雑する時間の客など店員だって逐一見てはいられないだろう。
せいぜいが店頭に並べられていたサンドイッチの包装に、指を突っ込んで穴を開けられて売ることが出来なくなったものがあったというくらいだ。商品だというのに最低なことをする者がいるものである。
「……父さんが犯人だったら」
「空条を困らせるようなことはしねぇ」
「違うよ。犯人の心情をトレースしてみてって話」
壁際でナギニを撫で回していたトムを振り返った。それは考えてなかったのだ。
「俺が犯人だったら……」
アマネが犯人だったら。神経質なところがあって体重もあってパン屋の袋を持っている少年を見つける。そしてそれを追いかける理由。
そもそも何処から少年を追いかけ始めたのか。パン屋からだと仮定しておく。
追いかける。狙いは少年が持つ紙袋だ。何故か。その中身に用がある。少年はまだ中身に気付いていない。取り返せればいい。取り返せたなら少年に用はない。少年の動きを追う。体育倉庫。隠れる。少年達が出て行く。残された紙袋。それを持って帰る。
大切な物が入っていた。封を開けて確認する。大丈夫。ある。紙袋に血が付いていても気にするつもりがないのは、後で違う入れ物へ入れ替え紙袋は捨てるし、血が付いてしまっても仕方がないから。
帰ろうとする。後ろから少年が。
「――父さん」
ハッとして正気を取り戻す。億泰の父親はぐっすり寝ていた。
虹色の光は消えている。頭痛。
「……取り返そうとしたんだ」
犯人は何故重ちーの紙袋を奪ったのか。もしくは重ちーの持っていた袋へ何故血痕が付いていたのか。血液が誰の物であるのかが分かれば可能性も減るので考えやすいのだが、だからそれを待たねばならない。
重ちー少年が残した、犯人の物だと思われるボタンのほうも進展は無かった。
「もう諦めてぇ。諦めて『×××』を使いてぇ……」
「頭が痛くなるんだから許さないよ」
「そうでなくても流石に『なんで分かった』って言われそうだからやらねぇよ」
トムと一緒に億泰の家へ行って億泰の父親の治療中である。虹色の光を浴びて心地良さそうにうとうととしている億泰の父親が羨ましい。
現在分かっている情報だけで犯人を捜すのは無理だ。男性、体重六十から七十。足のサイズ二十五・五。そんな人物が果たしてこの杜王町へ何千人といるのか。
神経質な性格だと考えればまた少し変わってくるとしても、性格や体重は外見で判断出来ないのだ。
「紙袋に指紋は?」
「それも調査中。せめて重ちー少年との関わりがもう少し分かればなぁ」
重ちー少年がサンドイッチを買ったパン屋『サンジェルマン』へ行って、当日のサンドイッチを買った客の事も聞いてみてはいた。だがサンドイッチ以外にも焼き立てのパンを出し、ちょうどお昼時という混雑する時間の客など店員だって逐一見てはいられないだろう。
せいぜいが店頭に並べられていたサンドイッチの包装に、指を突っ込んで穴を開けられて売ることが出来なくなったものがあったというくらいだ。商品だというのに最低なことをする者がいるものである。
「……父さんが犯人だったら」
「空条を困らせるようなことはしねぇ」
「違うよ。犯人の心情をトレースしてみてって話」
壁際でナギニを撫で回していたトムを振り返った。それは考えてなかったのだ。
「俺が犯人だったら……」
アマネが犯人だったら。神経質なところがあって体重もあってパン屋の袋を持っている少年を見つける。そしてそれを追いかける理由。
そもそも何処から少年を追いかけ始めたのか。パン屋からだと仮定しておく。
追いかける。狙いは少年が持つ紙袋だ。何故か。その中身に用がある。少年はまだ中身に気付いていない。取り返せればいい。取り返せたなら少年に用はない。少年の動きを追う。体育倉庫。隠れる。少年達が出て行く。残された紙袋。それを持って帰る。
大切な物が入っていた。封を開けて確認する。大丈夫。ある。紙袋に血が付いていても気にするつもりがないのは、後で違う入れ物へ入れ替え紙袋は捨てるし、血が付いてしまっても仕方がないから。
帰ろうとする。後ろから少年が。
「――父さん」
ハッとして正気を取り戻す。億泰の父親はぐっすり寝ていた。
虹色の光は消えている。頭痛。
「……取り返そうとしたんだ」