四部
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高校時代からの知人である承太郎へ『頼みがあるので来て欲しい』と連絡を受け、杜王町へやってきたアマネが出会ったのは承太郎の祖父であるジョセフ・ジョースターの浮気で出来た子だった。
その年十六歳。数回会ったことのあるジョセフは既に高齢で、十六年前もそれなりに年がいっている筈である。お盛んですねとゲスな言葉を掛けるにも限度があるだろう。
さておきアマネを呼んだのは、彼とはさほど関係ないらしい。
「関係はあるにはあるが、そう深い関係ではない。個人的な頼みだ」
「君の『個人的な頼み』は時々無理難題だっていう自覚はあるかぁ?」
バスの中で小声で話し合っていれば、近くにいたジョセフの息子であり戸籍上の関係は承太郎の叔父に当たる少年、東方仗助が物言いたげにこちらを凝視していた。特徴的な髪型をしているし、改造してある制服からして高校時代の承太郎と同じく不良なのだろう。
とはいえ困って話しかけたら親切に教えてくれるあたり、親の教育はしっかりされている。片親なのだろうが。
常禅寺でバスから降りて、承太郎の案内へとついて行くと仗助とその友人も付いてくる。いいのかどうかは分からなかったが、承太郎が何も言わないのならいいのだろう。
そうして向かった先は廃屋に近い古びた家で、承太郎がその門の前で振り返った。
「ここはそこの億泰君の家だ。お前には彼の父親を診てもらいたい」
「えっ!?」
「承太郎さん!?」
「二人が驚いてるんだけど、普通じゃねぇ感じ?」
「普通だったら呼ばん」
それもそうだと思いつつ、億泰というらしい仗助の友人を振り返る。
「お父さん、診せてもらってもいいかなぁ?」
「……その、オヤジは」
俯く億泰へ歩み寄ってその頬へ手を添え、アマネの眼を見つめさせた。高校生だろうにもうアマネより背が高いのが憎らしいが、今はそれを気にしている場合ではない。
「大丈夫。何もしねぇ前から悲しむのは悪ぃことだよ。今が無理なら君の気分が落ち着いた時でも俺は構わねぇから」
一応暫くこの町へ逗留出来る支度はしてきている。そうでなくとも承太郎へ頼まれた他の件に関することで今日は必ずホテルへ泊まるのだ。
億泰は戸惑うように瞳を揺らしながらアマネを見返していたが、やがてアマネの手を降ろさせて門へと手をかけた。門を開けて振り返る億泰に承太郎が門の向こうへ足を踏み入れる。
言っては悪いが、人が住んでいるには大分古びている上にボロボロな家だ。応接室らしい部屋へ通されはしたものの、家具という家具もろくに無く本当に億泰はここへ住んでいるのかと疑った。
その年十六歳。数回会ったことのあるジョセフは既に高齢で、十六年前もそれなりに年がいっている筈である。お盛んですねとゲスな言葉を掛けるにも限度があるだろう。
さておきアマネを呼んだのは、彼とはさほど関係ないらしい。
「関係はあるにはあるが、そう深い関係ではない。個人的な頼みだ」
「君の『個人的な頼み』は時々無理難題だっていう自覚はあるかぁ?」
バスの中で小声で話し合っていれば、近くにいたジョセフの息子であり戸籍上の関係は承太郎の叔父に当たる少年、東方仗助が物言いたげにこちらを凝視していた。特徴的な髪型をしているし、改造してある制服からして高校時代の承太郎と同じく不良なのだろう。
とはいえ困って話しかけたら親切に教えてくれるあたり、親の教育はしっかりされている。片親なのだろうが。
常禅寺でバスから降りて、承太郎の案内へとついて行くと仗助とその友人も付いてくる。いいのかどうかは分からなかったが、承太郎が何も言わないのならいいのだろう。
そうして向かった先は廃屋に近い古びた家で、承太郎がその門の前で振り返った。
「ここはそこの億泰君の家だ。お前には彼の父親を診てもらいたい」
「えっ!?」
「承太郎さん!?」
「二人が驚いてるんだけど、普通じゃねぇ感じ?」
「普通だったら呼ばん」
それもそうだと思いつつ、億泰というらしい仗助の友人を振り返る。
「お父さん、診せてもらってもいいかなぁ?」
「……その、オヤジは」
俯く億泰へ歩み寄ってその頬へ手を添え、アマネの眼を見つめさせた。高校生だろうにもうアマネより背が高いのが憎らしいが、今はそれを気にしている場合ではない。
「大丈夫。何もしねぇ前から悲しむのは悪ぃことだよ。今が無理なら君の気分が落ち着いた時でも俺は構わねぇから」
一応暫くこの町へ逗留出来る支度はしてきている。そうでなくとも承太郎へ頼まれた他の件に関することで今日は必ずホテルへ泊まるのだ。
億泰は戸惑うように瞳を揺らしながらアマネを見返していたが、やがてアマネの手を降ろさせて門へと手をかけた。門を開けて振り返る億泰に承太郎が門の向こうへ足を踏み入れる。
言っては悪いが、人が住んでいるには大分古びている上にボロボロな家だ。応接室らしい部屋へ通されはしたものの、家具という家具もろくに無く本当に億泰はここへ住んでいるのかと疑った。