四部
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仗助視点
仗助が降りた跳び箱を数段程持ち上げて上段を降ろし、アマネが内側を覗き込む。
「……この跳び箱、最後に動かされたのはいつだか分かるかぁ?」
「……いえ。でもこんなトコで“座る”奴はいないと思いますよ」
跳び箱の内側の空間。少し埃が積もったそこに何者かが座った跡が残っていた。靴の跡も残っており、身を乗り出したアマネがそれへ触れるように手を伸ばす。
靴跡へ並べるように指を伸ばし、それから身体を起こして仗助を見た。
「校舎脇に残ってた足跡と同じだぁ。つまり犯人がここへ侵入したことが確定したぜぇ」
跳び箱の上段を戻す。
「でもなんでこんなところに」
「珈琲が飲みたかったのかもなぁ」
「アマネさん」
「冗談。理由は気になるけど次の問題は『何故重ちー少年を追ったのか』だろぉ。でもそれは……」
アマネが言い掛けたところで、ちゃんとはまっていなかったらしい跳び箱が動いて音を立てた。磨り硝子の向こうからの音が止まる。
それから体育教師が誰かいるのかと怒鳴りながらこちらへ来ようとしているのに、仗助は咄嗟にアマネを捕まえて跳び箱の陰へと隠れた。
「まぁた窓が開いとる! 懲りない悪ガキどもめ」
中年の体育教師が仗助達の隠れている跳び箱の横を通って窓の鍵を閉める。すぐに踵を返して隣の部屋へ戻っていったのを見送って肩の力を抜けば、腕の中に匿っていたアマネに腕を叩かれた。
「仗助君。隠れなくても大丈夫だから」
「大丈夫って、大丈夫なワケないっしょ!」
「嘘だと思うならドアを開けてきてごらんなさい。あと離してくれぇ」
言われて何抱きしめているんだと慌ててアマネを解放する。それから言われた通りにドアへ近づき、バレたらどうするかと考えながらそっとドアを開けてみた。
隣の部屋ではさっきの中年教師が最近の子供は躾がなっていないと愚痴を吐きながら珈琲を淹れている。だが仗助へ気付く様子はいくら待っても無く、後ろから来たアマネが仗助の手ごとドアノブを掴んでドアを閉めた。
「……教室へ戻るかぁ?」
「……いや、手伝いますよ」
ナギニがアマネの足と身体を伝って肩の上へと戻る。
「……。重ちー少年はいつここを出て行ったんだぁ?」
「オレらと一緒です。先公が来たんで慌てて一緒に。そういやサンドイッチが無くなったとか言ってたんだったか。それで騒いでたらバレて」
「サンドイッチ」
「サンジェルマンって店のヤツっすよ。お昼頃に出来立てを出すから評判良くてすぐに売り切れるんです」
「袋はぁ?」
「は?」
「重ちー少年。そのサンドイッチの袋はどうしてたぁ?」
仗助が降りた跳び箱を数段程持ち上げて上段を降ろし、アマネが内側を覗き込む。
「……この跳び箱、最後に動かされたのはいつだか分かるかぁ?」
「……いえ。でもこんなトコで“座る”奴はいないと思いますよ」
跳び箱の内側の空間。少し埃が積もったそこに何者かが座った跡が残っていた。靴の跡も残っており、身を乗り出したアマネがそれへ触れるように手を伸ばす。
靴跡へ並べるように指を伸ばし、それから身体を起こして仗助を見た。
「校舎脇に残ってた足跡と同じだぁ。つまり犯人がここへ侵入したことが確定したぜぇ」
跳び箱の上段を戻す。
「でもなんでこんなところに」
「珈琲が飲みたかったのかもなぁ」
「アマネさん」
「冗談。理由は気になるけど次の問題は『何故重ちー少年を追ったのか』だろぉ。でもそれは……」
アマネが言い掛けたところで、ちゃんとはまっていなかったらしい跳び箱が動いて音を立てた。磨り硝子の向こうからの音が止まる。
それから体育教師が誰かいるのかと怒鳴りながらこちらへ来ようとしているのに、仗助は咄嗟にアマネを捕まえて跳び箱の陰へと隠れた。
「まぁた窓が開いとる! 懲りない悪ガキどもめ」
中年の体育教師が仗助達の隠れている跳び箱の横を通って窓の鍵を閉める。すぐに踵を返して隣の部屋へ戻っていったのを見送って肩の力を抜けば、腕の中に匿っていたアマネに腕を叩かれた。
「仗助君。隠れなくても大丈夫だから」
「大丈夫って、大丈夫なワケないっしょ!」
「嘘だと思うならドアを開けてきてごらんなさい。あと離してくれぇ」
言われて何抱きしめているんだと慌ててアマネを解放する。それから言われた通りにドアへ近づき、バレたらどうするかと考えながらそっとドアを開けてみた。
隣の部屋ではさっきの中年教師が最近の子供は躾がなっていないと愚痴を吐きながら珈琲を淹れている。だが仗助へ気付く様子はいくら待っても無く、後ろから来たアマネが仗助の手ごとドアノブを掴んでドアを閉めた。
「……教室へ戻るかぁ?」
「……いや、手伝いますよ」
ナギニがアマネの足と身体を伝って肩の上へと戻る。
「……。重ちー少年はいつここを出て行ったんだぁ?」
「オレらと一緒です。先公が来たんで慌てて一緒に。そういやサンドイッチが無くなったとか言ってたんだったか。それで騒いでたらバレて」
「サンドイッチ」
「サンジェルマンって店のヤツっすよ。お昼頃に出来立てを出すから評判良くてすぐに売り切れるんです」
「袋はぁ?」
「は?」
「重ちー少年。そのサンドイッチの袋はどうしてたぁ?」