四部
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仗助視点
自習だという嘘を吐いてアマネに笑いかけると、アマネがため息を吐いて指を鳴らした。何をしたのかと身構えたが、特に何も変わった様子はない。
「何したんすか?」
「……俺達の姿を見えなくしたんだよ。授業中に生徒が徘徊してたり部外者が歩き回ってたら問題だろぉ」
「どうやって?」
アマネは答えなかった。きっと『踏み込んではいけない事』なのだと判断して仗助も無理に聞くのを止める。
校舎脇のあまり人が通らない地面へしゃがんで地面を調べ始めたアマネが、中等部のある方向を見やった。仗助がその後ろから地面を見れば今にも消えそうな薄い足跡が残っている。こんな足跡から色々と情報を得たというのなら驚きだ。
「仗助君。彼がいなくなる日っていなくなる少し前に彼に会ってたんだよなぁ?」
「っす」
「それはどうしてぇ?」
「どうしてって、一緒に昼飯を食ってたんすよ。そしたら先公が……あ、いや」
体育準備室に忍び込んで教師の飲み物を失敬しようとしていたことがバレると思い誤魔化す。アマネは何か考えるようにこめかみを指先で叩いていた。
「それでぇ?」
「それで、重ちーとはそこで別れましたよ」
「一緒に食べた場所はぁ?」
「その、えっと」
「怒らねぇから言いなさい」
「中等部の体育準備室っす! そこに給湯室があってそこでちょっと珈琲でも飲もうと思って……」
「体育準備室ってどっちぃ?」
「向こうです」
指差した先を眺めたアマネが歩き出す。慌てて付いて行けば振り返ったアマネが仗助を見て小さく笑った。何となく居たたまれない気分になる。
中等部の体育準備室は半分ほど地下に埋まった場所にあり、外からの出入りには階段を上り下りしなければならない。その階段へ面した壁へ窓があり、そこから鍵がかかっていなければ忍び込むことが出来たのである。
窓から覗き込めば準備室には誰もいないが、磨り硝子越しに奥の部屋へ教師の陰が見えた。これでは忍び込めたとしても教師に見つかってしまう。
「重ちーがいなくなった日はここから忍び込んだんすよ。でも今は入れるかどうか。オレのクレイジーダイヤモンドでも音がしちまいますよ」
「面倒臭せぇ」
言うなりアマネが、覗き込んでいた窓枠から身を離したばかりだった仗助へと近付いてきた。
「うぉっ、ちょっ、アマネさ――」
抱きつかんばかりに歩み寄ってくるアマネの手が仗助へ触れる。思わず仰け反れば何故か後ろへあったはずの壁へ背中がぶつからず、そのままスルリと壁をすり抜けた。思わずたたらを踏んで尻餅を突いた仗助にアマネが手を差し出してくる。
自習だという嘘を吐いてアマネに笑いかけると、アマネがため息を吐いて指を鳴らした。何をしたのかと身構えたが、特に何も変わった様子はない。
「何したんすか?」
「……俺達の姿を見えなくしたんだよ。授業中に生徒が徘徊してたり部外者が歩き回ってたら問題だろぉ」
「どうやって?」
アマネは答えなかった。きっと『踏み込んではいけない事』なのだと判断して仗助も無理に聞くのを止める。
校舎脇のあまり人が通らない地面へしゃがんで地面を調べ始めたアマネが、中等部のある方向を見やった。仗助がその後ろから地面を見れば今にも消えそうな薄い足跡が残っている。こんな足跡から色々と情報を得たというのなら驚きだ。
「仗助君。彼がいなくなる日っていなくなる少し前に彼に会ってたんだよなぁ?」
「っす」
「それはどうしてぇ?」
「どうしてって、一緒に昼飯を食ってたんすよ。そしたら先公が……あ、いや」
体育準備室に忍び込んで教師の飲み物を失敬しようとしていたことがバレると思い誤魔化す。アマネは何か考えるようにこめかみを指先で叩いていた。
「それでぇ?」
「それで、重ちーとはそこで別れましたよ」
「一緒に食べた場所はぁ?」
「その、えっと」
「怒らねぇから言いなさい」
「中等部の体育準備室っす! そこに給湯室があってそこでちょっと珈琲でも飲もうと思って……」
「体育準備室ってどっちぃ?」
「向こうです」
指差した先を眺めたアマネが歩き出す。慌てて付いて行けば振り返ったアマネが仗助を見て小さく笑った。何となく居たたまれない気分になる。
中等部の体育準備室は半分ほど地下に埋まった場所にあり、外からの出入りには階段を上り下りしなければならない。その階段へ面した壁へ窓があり、そこから鍵がかかっていなければ忍び込むことが出来たのである。
窓から覗き込めば準備室には誰もいないが、磨り硝子越しに奥の部屋へ教師の陰が見えた。これでは忍び込めたとしても教師に見つかってしまう。
「重ちーがいなくなった日はここから忍び込んだんすよ。でも今は入れるかどうか。オレのクレイジーダイヤモンドでも音がしちまいますよ」
「面倒臭せぇ」
言うなりアマネが、覗き込んでいた窓枠から身を離したばかりだった仗助へと近付いてきた。
「うぉっ、ちょっ、アマネさ――」
抱きつかんばかりに歩み寄ってくるアマネの手が仗助へ触れる。思わず仰け反れば何故か後ろへあったはずの壁へ背中がぶつからず、そのままスルリと壁をすり抜けた。思わずたたらを踏んで尻餅を突いた仗助にアマネが手を差し出してくる。