四部
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承太郎視点
十五年前にあった一家惨殺事件。その犯人が気になると言って斑鳩が仕事や頼み事とは別に調査を始めたようだった。
承太郎としては危険なことへ巻き込まれなければ何をしようと構わない。斑鳩なら承太郎以上に何があっても大抵の危機的状況を打破できるだろうし、少なくとも生きて戻ってくることは出来るだろう。
だがそんなことを口にしようものなら、斑鳩の息子のトムが怒るので言わない。
承太郎以上に斑鳩の事を聞いて知っているらしい彼は、どうも父親へ関わる全ての人間へ敵意を向けているようだった。斑鳩の知人である承太郎も例外ではなく、普通なら娘へ異性が近付いてきた時に使うだろう『悪い虫』という表現まで使ってくる。
ジョセフではあるまいし浮気をするつもりも男へ手を出すつもりも承太郎には一切無いのだが。
承太郎と斑鳩には共通の認識が一つある。十年前のあの『旅』で死んだ仲間が知り合いだったという事だ。
斑鳩は今でもそれを引きずっていて、承太郎自身は引きずっているのかも分からない。
先日仗助が斑鳩へ対して踏み込もうとした。
もし十年早く、承太郎が斑鳩へ出会ったばかりの頃に、互いの見えない傷へ気付く前に承太郎が斑鳩へ対してそうしていたなら。
「ただいまぁ。あれ、空条だけかぁ?」
「ジジイ達なら散歩だ。プライベートビーチヘ行ったぜ」
「トムも?」
「トムは億泰の家だ」
「ふぅん。頼まれてたスタンド使いの調査。動物にまで範囲を広げてはみたけど今のところ動物には該当無しだぜぇ」
先日のネズミ狩りから追加されたその範囲の広さに、斑鳩はしかし文句も言わずに調べてくれている。動植物に好かれる性質を持つ斑鳩だからこそ労せずに調べられるとはいえ、人語を理解しない動物相手に調べるというのは骨が折れるだろう。
冷蔵庫から紙パックのジュースを取り出して斑鳩が承太郎の隣へ腰を下ろした。そのままぼんやりと黙り込む斑鳩に承太郎も話しかけない。
「……行方不明者のリスト。行方不明になった時期が周期的なんだよなぁ」
「定期的に殺す?」
「それもあるけど、なんか、行方不明になる女性に共通点がある気がする。でもそれが分かんねぇ」
「性格が似ているとかか? それなら精神異常型の殺人鬼によくあるだろうな」
「いや、性格は大人しいのから激しいのまでマチマチだったぜぇ。そうじゃなくてなんていうか……」
なんというか、分からないようである。紙パックを置いた斑鳩が腕組みをして背もたれへ寄りかかり眼を伏せた。
伏せられた瞼の下から紫の瞳が覗く。宝石の様なそれに承太郎も何かへ気付いたような気がしたが、明確に言葉にはならなかった。
十五年前にあった一家惨殺事件。その犯人が気になると言って斑鳩が仕事や頼み事とは別に調査を始めたようだった。
承太郎としては危険なことへ巻き込まれなければ何をしようと構わない。斑鳩なら承太郎以上に何があっても大抵の危機的状況を打破できるだろうし、少なくとも生きて戻ってくることは出来るだろう。
だがそんなことを口にしようものなら、斑鳩の息子のトムが怒るので言わない。
承太郎以上に斑鳩の事を聞いて知っているらしい彼は、どうも父親へ関わる全ての人間へ敵意を向けているようだった。斑鳩の知人である承太郎も例外ではなく、普通なら娘へ異性が近付いてきた時に使うだろう『悪い虫』という表現まで使ってくる。
ジョセフではあるまいし浮気をするつもりも男へ手を出すつもりも承太郎には一切無いのだが。
承太郎と斑鳩には共通の認識が一つある。十年前のあの『旅』で死んだ仲間が知り合いだったという事だ。
斑鳩は今でもそれを引きずっていて、承太郎自身は引きずっているのかも分からない。
先日仗助が斑鳩へ対して踏み込もうとした。
もし十年早く、承太郎が斑鳩へ出会ったばかりの頃に、互いの見えない傷へ気付く前に承太郎が斑鳩へ対してそうしていたなら。
「ただいまぁ。あれ、空条だけかぁ?」
「ジジイ達なら散歩だ。プライベートビーチヘ行ったぜ」
「トムも?」
「トムは億泰の家だ」
「ふぅん。頼まれてたスタンド使いの調査。動物にまで範囲を広げてはみたけど今のところ動物には該当無しだぜぇ」
先日のネズミ狩りから追加されたその範囲の広さに、斑鳩はしかし文句も言わずに調べてくれている。動植物に好かれる性質を持つ斑鳩だからこそ労せずに調べられるとはいえ、人語を理解しない動物相手に調べるというのは骨が折れるだろう。
冷蔵庫から紙パックのジュースを取り出して斑鳩が承太郎の隣へ腰を下ろした。そのままぼんやりと黙り込む斑鳩に承太郎も話しかけない。
「……行方不明者のリスト。行方不明になった時期が周期的なんだよなぁ」
「定期的に殺す?」
「それもあるけど、なんか、行方不明になる女性に共通点がある気がする。でもそれが分かんねぇ」
「性格が似ているとかか? それなら精神異常型の殺人鬼によくあるだろうな」
「いや、性格は大人しいのから激しいのまでマチマチだったぜぇ。そうじゃなくてなんていうか……」
なんというか、分からないようである。紙パックを置いた斑鳩が腕組みをして背もたれへ寄りかかり眼を伏せた。
伏せられた瞼の下から紫の瞳が覗く。宝石の様なそれに承太郎も何かへ気付いたような気がしたが、明確に言葉にはならなかった。