四部
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仗助視点
「――ちょっといいかなぁ」
学校の帰りに仗助が億泰と歩いていると、駅前でふと声をかけられた。振り返った先にいたのは長い黒髪の美人で、困った様に仗助を見つめている。
つり目がちな紫色の瞳が印象的なその人はしかし、先ほど聞いた声の持ち主だと一瞬分からなかった。聞こえたのは語尾が延びて聞こえるような特徴を持った、“男”の声だったからだ。
聞き間違いか自分達が話しかけれたのではないのかと思っていると、長髪の美人が仗助達へと笑みを向けてくる。
「学生さん? 一つ訪ねてぇんだけど常禅寺ヘ行くバス停って何処にあるのかなぁ?」
その口から放たれた声は、先ほど聞こえたものだった。
「えっ、アンタ男!?」
「バカっ! 失礼だろ!」
億泰が思わずといった風に叫ぶのを注意しながら、けれども仗助も内心では驚いている。およそ目の前の美人は男に見えない。
着ている服も髪型も顔立ちも、仗助の母親である朋子よりも“女性らしい”と表現出来るだろう。落ち着いた印象と相まって感じられる雰囲気は、軟派とかいう類ではなく優しい。
「いいよ。髪を伸ばしてるからか女性に間違えられる事は多いんだぁ。こんな格好をしてるのも悪ぃんだろうけど」
「いえ! なんつーか、似合ってます」
「ふふ、ありがとう」
とろりと細められる紫の瞳。
「それで、バス停の場所は」
「バス乗り場はこっちッス」
どうせ自分達もバスへ乗るのだからと思い男を案内する。肩へ掛けていた布(ストールというらしい)を引き上げてついてくる男の手には、随分と重そうな鞄があった。
バスが来るまで時間があったので、好奇心もあって話しかけてみる。
「杜王町には仕事かなんかスか?」
「うーん、一応仕事の一環ではあるかも知れねぇなぁ。知人に来て欲しいって言われてちょっとなぁ」
スタンド使いがこの町へ集まっているからか、何となく疑ってしまった。しかし今までに出会ったスタンド使いは概ねが犯罪者や悪党だ。それを考えるとこの人は違うだろうと思う。
常禅寺には仗助も億泰も家があり、使うバス停は同じだ。だからその使い慣れたバス停へ向かって一直線に男を案内していると、バス停の脇のベンチに承太郎の姿が見えた。
何かあって仗助のことでも待っていたのだろうかと不思議に思うと同時に、隣を歩いていた男が承太郎へ向けて手を挙げる。
「空条!」
呼んだのは承太郎の名字で、呼ばれてこちらに気付いたらしい承太郎がベンチから立ち上がるのに男が仗助達を振り返った。
「案内ありがとう」
「いや、その、承太郎さんの知り合い……?」
「――ちょっといいかなぁ」
学校の帰りに仗助が億泰と歩いていると、駅前でふと声をかけられた。振り返った先にいたのは長い黒髪の美人で、困った様に仗助を見つめている。
つり目がちな紫色の瞳が印象的なその人はしかし、先ほど聞いた声の持ち主だと一瞬分からなかった。聞こえたのは語尾が延びて聞こえるような特徴を持った、“男”の声だったからだ。
聞き間違いか自分達が話しかけれたのではないのかと思っていると、長髪の美人が仗助達へと笑みを向けてくる。
「学生さん? 一つ訪ねてぇんだけど常禅寺ヘ行くバス停って何処にあるのかなぁ?」
その口から放たれた声は、先ほど聞こえたものだった。
「えっ、アンタ男!?」
「バカっ! 失礼だろ!」
億泰が思わずといった風に叫ぶのを注意しながら、けれども仗助も内心では驚いている。およそ目の前の美人は男に見えない。
着ている服も髪型も顔立ちも、仗助の母親である朋子よりも“女性らしい”と表現出来るだろう。落ち着いた印象と相まって感じられる雰囲気は、軟派とかいう類ではなく優しい。
「いいよ。髪を伸ばしてるからか女性に間違えられる事は多いんだぁ。こんな格好をしてるのも悪ぃんだろうけど」
「いえ! なんつーか、似合ってます」
「ふふ、ありがとう」
とろりと細められる紫の瞳。
「それで、バス停の場所は」
「バス乗り場はこっちッス」
どうせ自分達もバスへ乗るのだからと思い男を案内する。肩へ掛けていた布(ストールというらしい)を引き上げてついてくる男の手には、随分と重そうな鞄があった。
バスが来るまで時間があったので、好奇心もあって話しかけてみる。
「杜王町には仕事かなんかスか?」
「うーん、一応仕事の一環ではあるかも知れねぇなぁ。知人に来て欲しいって言われてちょっとなぁ」
スタンド使いがこの町へ集まっているからか、何となく疑ってしまった。しかし今までに出会ったスタンド使いは概ねが犯罪者や悪党だ。それを考えるとこの人は違うだろうと思う。
常禅寺には仗助も億泰も家があり、使うバス停は同じだ。だからその使い慣れたバス停へ向かって一直線に男を案内していると、バス停の脇のベンチに承太郎の姿が見えた。
何かあって仗助のことでも待っていたのだろうかと不思議に思うと同時に、隣を歩いていた男が承太郎へ向けて手を挙げる。
「空条!」
呼んだのは承太郎の名字で、呼ばれてこちらに気付いたらしい承太郎がベンチから立ち上がるのに男が仗助達を振り返った。
「案内ありがとう」
「いや、その、承太郎さんの知り合い……?」