四部
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「こんなところで尻餅ついてどうしたんだぁ?」
「アマネさん! 幽霊! 幽霊が!」
「幽霊?」
しがみついてきた康一から顔を上げて近くにいる男性と少女を見る。少し眼を眇めてから康一を見下ろした。
「そこの少女のことかぁ?」
「確かに鈴美さんも幽霊だけどそうじゃなくて! ――え?」
「じゃああの犬? でも彼女達害は無ぇからそんな怖がる事は」
「失礼。貴方は康一君の知り合いか?」
男性が話しかけてくる。
「彼の知人の斑鳩と申します。貴方は?」
「ボクは岸辺露伴。漫画家だ。彼とは並ならぬ縁があってね」
康一が首を横に振って否定しているのは無視していいのかどうか悩む。漫画家と言われても最近の日本の漫画はあまり確認していなかった。億泰やトムなら知っているのだろうかと思っていると、露伴がおもむろに手を上げようとする。
もしかしてスタンド使いかと身構える寸前、青い蝶が目の前を横切った。
青い蝶はアマネの視線を連れて、先程までは確実に無かったはずのコンビニと薬局の間の道へと飛んでいく。
どうもあの世とこの世の境目のような空間が出来てしまっている。だから呼ばれたのだろうかと考えていると今まで黙っていた少女が口を開いた。
「あたしたち、ずっとここにいるわ。『犯人』が捕まるまで」
アマネではなく康一と露伴へ語りかけて、少女の姿が犬と共に透けて消えていく。犯人と聞いて訝しく思ったのはここへ来る前に未解決事件のことを調べていたからだろうか。
完全に消えてしまった少女にアマネへしがみついていた康一が離れる。それから少女がいた辺りを見つめていた。
「……それで康一君。幽霊ってぇ?」
「あ、ソウだ! アマネさん! この杜王町に殺人事件の犯人がいるんですッ」
「とりあえず深呼吸してごらん。ほらぁ」
幽霊から殺人事件に話が変わってしまう。少女の幽霊に出会ったようだし、他にも何かあって混乱しているだろうと思ってとりあえず康一を落ち着かせる。
アマネ的には幽霊に遭遇したことは大した事ではない。スタンドやペルソナが存在する世界で幽霊に驚いていたらいくら心臓があっても足りないだろう。
問題は幽霊ではなく殺人事件のほうだ。あの少女の幽霊から何か殺人事件の話を聞いたのか、それともあの少女自身が殺人事件の被害者の幽霊だったのか。いずれにせよこの町で起きた事件を調べているところである。
「――康一くん。学習塾へ行くんじゃなかったのかい?」
「! そうだった。ごめんなさいアマネさん、今度詳しく話します!」
そう言って慌てて駆けていく康一に、アマネはストールを肩へかけ直した。