六部
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エンポリオ視点
白い蛇によって取り出された、徐倫に渡されていたウェザー・リポートのスタンド能力のDISC。それを自分の中へと埋め込んで使えるようにして、エンポリオは幽霊の部屋へ高濃度の酸素を集めた。
エンポリオを始末しようと激しく動いていた神父は当然その高濃度の中で呼吸を繰り返し、やがて体内に巡り始めた高濃度の酸素によって動けなくなる。
生き物が生きるのに必要な酸素は、けれども濃度が濃ければ猛毒でしかない。鉄を腐食させ炎を爆発させ、人体の中で組織を破壊していく。それらは同じ幽霊の部屋の中へ居るエンポリオも同じであったけれど、今はエンポリオが操っているスタンドの能力であるせいか、神父よりも僅かに組織の破壊は遅いようだった。
「トムの言葉で思いついた。生き物は『呼吸をしている』んだ。いくら『時を加速』しようと関係ない」
そして同時に、それはエンポリオの意志ではない。エンポリオがスタンドを発動させたというだけで、これはウェザーの意志だ。
そのウェザーの意志は、ウェザーを殺そうとした神父が目覚めさせたカタツムリの能力と共に目覚めた。
神父自身が結んだ因果だ。
「あんたなんだ! 人の出会いも『重力』! あんたは『因縁』が切れなかった!」
ウェザー・リポートのスタンドが神父へと歩み寄り、その頭部へ拳を押し当てる。みしみしとその拳がめり込んでいくのに神父が叫んでいた。
それは世界へ対する宣言のようでいて、だたの命乞いだ。
出入り口である隙間から、部屋の外へいたのだろうトムが入ってくる。部屋を見回して神父を一瞥し、歩み寄ってきてエンポリオを見下ろして笑った。
酸素だけで満たされてる部屋で動けるなんて、やはり幽霊なのだろう。
「『覚悟こそ幸福』という事を思い出してくれッ! ここでわたしは死ぬわけにはいかないのだ――ッ」
「分からないのか? お前は『運命』に負けたんだ。『正義の道』を歩む事こそ『運命』なんだ!」
トムがしゃがんでエンポリオを抱き起こす。そうしてエンポリオを守るように抱えて、神父を眺める。トムはもう何も言わない。
神父の顔の半分がめり込んでいく拳に押しつぶされ、目玉が飛び出した。それでも最後の力を振り絞るように伸ばされた腕はエンポリオの目の前にまで迫って、けれどもエンポリオにもトムにも触れることなく落ちる。
幽霊の部屋ごと、神父の身体がウェザー・リポートのスタンドによって押し潰されていくのを、エンポリオは最後までしっかりと見つめていた。
白い蛇によって取り出された、徐倫に渡されていたウェザー・リポートのスタンド能力のDISC。それを自分の中へと埋め込んで使えるようにして、エンポリオは幽霊の部屋へ高濃度の酸素を集めた。
エンポリオを始末しようと激しく動いていた神父は当然その高濃度の中で呼吸を繰り返し、やがて体内に巡り始めた高濃度の酸素によって動けなくなる。
生き物が生きるのに必要な酸素は、けれども濃度が濃ければ猛毒でしかない。鉄を腐食させ炎を爆発させ、人体の中で組織を破壊していく。それらは同じ幽霊の部屋の中へ居るエンポリオも同じであったけれど、今はエンポリオが操っているスタンドの能力であるせいか、神父よりも僅かに組織の破壊は遅いようだった。
「トムの言葉で思いついた。生き物は『呼吸をしている』んだ。いくら『時を加速』しようと関係ない」
そして同時に、それはエンポリオの意志ではない。エンポリオがスタンドを発動させたというだけで、これはウェザーの意志だ。
そのウェザーの意志は、ウェザーを殺そうとした神父が目覚めさせたカタツムリの能力と共に目覚めた。
神父自身が結んだ因果だ。
「あんたなんだ! 人の出会いも『重力』! あんたは『因縁』が切れなかった!」
ウェザー・リポートのスタンドが神父へと歩み寄り、その頭部へ拳を押し当てる。みしみしとその拳がめり込んでいくのに神父が叫んでいた。
それは世界へ対する宣言のようでいて、だたの命乞いだ。
出入り口である隙間から、部屋の外へいたのだろうトムが入ってくる。部屋を見回して神父を一瞥し、歩み寄ってきてエンポリオを見下ろして笑った。
酸素だけで満たされてる部屋で動けるなんて、やはり幽霊なのだろう。
「『覚悟こそ幸福』という事を思い出してくれッ! ここでわたしは死ぬわけにはいかないのだ――ッ」
「分からないのか? お前は『運命』に負けたんだ。『正義の道』を歩む事こそ『運命』なんだ!」
トムがしゃがんでエンポリオを抱き起こす。そうしてエンポリオを守るように抱えて、神父を眺める。トムはもう何も言わない。
神父の顔の半分がめり込んでいく拳に押しつぶされ、目玉が飛び出した。それでも最後の力を振り絞るように伸ばされた腕はエンポリオの目の前にまで迫って、けれどもエンポリオにもトムにも触れることなく落ちる。
幽霊の部屋ごと、神父の身体がウェザー・リポートのスタンドによって押し潰されていくのを、エンポリオは最後までしっかりと見つめていた。