六部
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エンポリオ視点
「ここへ僕がいるのが不思議でならない、って顔だね。一巡する前の世界で死んだ者は来れない、だっけ?」
トムが神父へ気安く話しかける。
「死んだ者が来れないのなら、最初から死んでいた者はどうかなって思ったんだ。生まれずに死んだ赤ん坊。育たずに枯れた植物。本来は存在するはずの無かった存在。――僕は本来、この世界へ生まれることの無かった魂だ」
言っていることの意味がエンポリオには理解できなかった。だがそれは神父も同じなようで、不可解そうにトムを見つめている。
「『DIO』が父さんの大切な人を殺した。僕は父さんの悲しみを癒す為に生まれる覚悟をした。結果僕は短命ながらにこの世界へ生まれることが出来た。けれども僕も父さんも、本当は『この世界にいない魂』だった。――言ってることが分かるかな? つまり僕と父さんはこの世界の『運命に組み込まれていなかった』んだ」
トムがエンポリオの肩へ手を置いた。
「お前が取り込んだ緑の赤ん坊が父さんの因子を取り込んでいて助かったよ。僕はジョースター家みたいに血統の気配は辿れないけれど、父さんの存在だけは父さんが何処にいようと分かる。世界規模で多元宇宙規模であってもね。僕が本来いる『心の海』はお前が考える『天国』なんてチャチな場所以外にも繋がっているから探すのはちょっと大変だったけど」
「こ――心の、海?」
「お前が望む『天国』なんて父さんはとっくに体験済みだった。その上でその『天国』へは向かわなかった。全てが決まっている世界はただの退化の世界だと僕は思う。存在しない運命に覚悟も諦めもあったもんじゃない。運命なんて言葉で汚れた道を歩き続けるなんて真っ平御免だ」
未来が決まっていることを運命というのならその運命は何の為にあり、その運命通りに動かねばならない生き物達は何の為に存在しているのか。
列車やトロッコでもなし、決まったレールの上だけしか走れない事の意味が分からない。
トムがエンポリオを背後へ庇う。そうして神父へ向けて白い輪を構えた。
「それでもお前が『天国』へ行くというのなら、僕達が引導を渡してやる。お前の考える『天国』へ父さんは行けないし、僕はお前の考える『天国』へ行くつもりはない。父さんの意志を僕が繋げる。親子とはそういうものだ」
まっすぐにトムとエンポリオを睨んでいた神父が、唇をめくらせるように笑う。その背後へ神父のスタンドである『メイド・イン・ヘブン』が姿を現した。
「運命の存在しない者がいるわけがないッ!」
「ここへ僕がいるのが不思議でならない、って顔だね。一巡する前の世界で死んだ者は来れない、だっけ?」
トムが神父へ気安く話しかける。
「死んだ者が来れないのなら、最初から死んでいた者はどうかなって思ったんだ。生まれずに死んだ赤ん坊。育たずに枯れた植物。本来は存在するはずの無かった存在。――僕は本来、この世界へ生まれることの無かった魂だ」
言っていることの意味がエンポリオには理解できなかった。だがそれは神父も同じなようで、不可解そうにトムを見つめている。
「『DIO』が父さんの大切な人を殺した。僕は父さんの悲しみを癒す為に生まれる覚悟をした。結果僕は短命ながらにこの世界へ生まれることが出来た。けれども僕も父さんも、本当は『この世界にいない魂』だった。――言ってることが分かるかな? つまり僕と父さんはこの世界の『運命に組み込まれていなかった』んだ」
トムがエンポリオの肩へ手を置いた。
「お前が取り込んだ緑の赤ん坊が父さんの因子を取り込んでいて助かったよ。僕はジョースター家みたいに血統の気配は辿れないけれど、父さんの存在だけは父さんが何処にいようと分かる。世界規模で多元宇宙規模であってもね。僕が本来いる『心の海』はお前が考える『天国』なんてチャチな場所以外にも繋がっているから探すのはちょっと大変だったけど」
「こ――心の、海?」
「お前が望む『天国』なんて父さんはとっくに体験済みだった。その上でその『天国』へは向かわなかった。全てが決まっている世界はただの退化の世界だと僕は思う。存在しない運命に覚悟も諦めもあったもんじゃない。運命なんて言葉で汚れた道を歩き続けるなんて真っ平御免だ」
未来が決まっていることを運命というのならその運命は何の為にあり、その運命通りに動かねばならない生き物達は何の為に存在しているのか。
列車やトロッコでもなし、決まったレールの上だけしか走れない事の意味が分からない。
トムがエンポリオを背後へ庇う。そうして神父へ向けて白い輪を構えた。
「それでもお前が『天国』へ行くというのなら、僕達が引導を渡してやる。お前の考える『天国』へ父さんは行けないし、僕はお前の考える『天国』へ行くつもりはない。父さんの意志を僕が繋げる。親子とはそういうものだ」
まっすぐにトムとエンポリオを睨んでいた神父が、唇をめくらせるように笑う。その背後へ神父のスタンドである『メイド・イン・ヘブン』が姿を現した。
「運命の存在しない者がいるわけがないッ!」