六部
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エンポリオ視点
神父の言うことはこうだ。
時の加速を受けて一度『全てを体験する』ことで、全人類がこれから起こる未来の全てを知り、悪い出来事にも良い出来事に対しても『覚悟』する事が出来る。
運命は偶然ではなく必然性があってこそ起こるものであり、全てはもう『決定』されているのだ。そして『覚悟した者』は『幸福』である。
例え明日に死ぬと分かっていても、その死に対する覚悟をすることが出来て、『覚悟』は『絶望』を吹き飛ばす。
故に、これから起こる全てを知っておけば人類はそれに対する心構えが出来て、何も恐れる事がなくなるのだと。
「これが、わたしの求めたものッ!《メイド・イン・ヘブン》だッ!」
通路の突き当たりを右へ行くと階段があり、そこの踊り場の隙間から幽霊の部屋へは行ける。けれどもそこは行き止まりで、神父に追いかけられたまま入ることは出来ない。そうしてしまえばエンポリオは殺されてしまう。
せっかく徐倫達が繋いでくれた命を、断ち切ってはならない。
だから違う場所へ隠れようと右へ行かず左へと曲がる。だが目の前に掃除の途中で放置されていたモップがあり、足を引っかけてしまったせいで跳ね上がったそれに顔を強打した。
痛みと勢いで後ろへ転がる。左へ曲がった直後だったからうしろは突き当たりの階段だ。起き上がろうとしたところで、すぐ傍で神父が見下ろしているのに悲鳴を上げて階段を転がり落ちる。
追いつめたと判断してか、神父が階段をゆっくりと降りてきた。
「細かい出来事は違っても運命は変えられない。……起こるべくして起こる必然なのだッ!」
「――じゃあお前が死ぬことも運命だ」
第三者の声。神父の足が止まる。
踊り場へまで転がり落ちたエンポリオの背中を、下の階から上がってきた者の手が支えた。
「先に起こること全てを知って覚悟するって、それって単に『諦める』って言うんじゃないかな。運命だから仕方ないって妥協的な感じだね」
「――な、何故、貴様は死んだ筈……」
「僕の父さんは諦めない。ダイヤモンドが砕けない様にアメジストだって色褪せない。たった一人であっても諦めていいなんてことはない。『『道』というものは自分で切り開くものだ』と承太郎さんは言った。『『覚悟』とは暗闇の広野に進むべき道を切り開くことだ』と僕の友達が言った。――あ、ジョルノに冷蔵庫のプリン食べていいって言い忘れてたな」
ケープ・カナベラルの海で死んだ筈のトムが、エンポリオの腕を掴んで引き立たせる。
それから上段にいる神父を見上げて、口角を上げる笑みを浮かべた。
神父の言うことはこうだ。
時の加速を受けて一度『全てを体験する』ことで、全人類がこれから起こる未来の全てを知り、悪い出来事にも良い出来事に対しても『覚悟』する事が出来る。
運命は偶然ではなく必然性があってこそ起こるものであり、全てはもう『決定』されているのだ。そして『覚悟した者』は『幸福』である。
例え明日に死ぬと分かっていても、その死に対する覚悟をすることが出来て、『覚悟』は『絶望』を吹き飛ばす。
故に、これから起こる全てを知っておけば人類はそれに対する心構えが出来て、何も恐れる事がなくなるのだと。
「これが、わたしの求めたものッ!《メイド・イン・ヘブン》だッ!」
通路の突き当たりを右へ行くと階段があり、そこの踊り場の隙間から幽霊の部屋へは行ける。けれどもそこは行き止まりで、神父に追いかけられたまま入ることは出来ない。そうしてしまえばエンポリオは殺されてしまう。
せっかく徐倫達が繋いでくれた命を、断ち切ってはならない。
だから違う場所へ隠れようと右へ行かず左へと曲がる。だが目の前に掃除の途中で放置されていたモップがあり、足を引っかけてしまったせいで跳ね上がったそれに顔を強打した。
痛みと勢いで後ろへ転がる。左へ曲がった直後だったからうしろは突き当たりの階段だ。起き上がろうとしたところで、すぐ傍で神父が見下ろしているのに悲鳴を上げて階段を転がり落ちる。
追いつめたと判断してか、神父が階段をゆっくりと降りてきた。
「細かい出来事は違っても運命は変えられない。……起こるべくして起こる必然なのだッ!」
「――じゃあお前が死ぬことも運命だ」
第三者の声。神父の足が止まる。
踊り場へまで転がり落ちたエンポリオの背中を、下の階から上がってきた者の手が支えた。
「先に起こること全てを知って覚悟するって、それって単に『諦める』って言うんじゃないかな。運命だから仕方ないって妥協的な感じだね」
「――な、何故、貴様は死んだ筈……」
「僕の父さんは諦めない。ダイヤモンドが砕けない様にアメジストだって色褪せない。たった一人であっても諦めていいなんてことはない。『『道』というものは自分で切り開くものだ』と承太郎さんは言った。『『覚悟』とは暗闇の広野に進むべき道を切り開くことだ』と僕の友達が言った。――あ、ジョルノに冷蔵庫のプリン食べていいって言い忘れてたな」
ケープ・カナベラルの海で死んだ筈のトムが、エンポリオの腕を掴んで引き立たせる。
それから上段にいる神父を見上げて、口角を上げる笑みを浮かべた。