六部
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
エンポリオ視点
気が付くとエンポリオは裸のまま、グリーン・ドルフィン・ストリート刑務所内の、面会室前にあるゴミ箱の影にいた。
時間が計り知れないほどの加速をして、生き物だけになって光へ吸い込まれたと思ったのに、すぐ傍には着ていた服が落ちている。
それを手に取ると近くの鉄格子の向こうから看守の声が聞こえた。囚人達に何故裸なんだと怒鳴り、自分も裸であることに気付いて慌てている。
面会室の一つから、聞き覚えのある会話が聞こえた。服を着て覗き込むと、徐倫と承太郎へ凄く似ているのに違う父子が言い合っている。
似ているが違う。その向こうで面会者側の扉が開いたかと思うと血塗れで息を切らせたプッチ神父が現れた。
「『宇宙』は一巡した! 『新しい世界』だッ! 人類は一つの終点に到着し『夜明け』を迎えたのだッ!」
叫んだ神父がまっすぐにこちらへ向かってくる。
「だがこの『運命の夜明け』にわたしの『因縁』だけは持ち込めないッ!」
エンポリオが居ることには気付いているらしい。
「空条徐倫はもういないッ! 魂さえも……空条承太郎も消滅したッ! アナスイもエルメェスも。あの男も若者もッ!『死人』は来れないのだッ! わたしに相反する因縁は全て『向こう』に置いてきたッ!」
面会室の父子が当然部屋を通り抜けていった神父へ驚いているが、エンポリオはそれに構っていられずに逃げ出した。ゴミ箱の影にあった隙間を通過して違う通路へ出る。
そこには確認して来た訳ではなかったから、何も知らない看守が見回りをしていた。突然現れた子供のエンポリオへ驚く二人を見ると、彼らがこれから経験するであろう動きが“予知”出来た。
変な感覚だ。これからブーツの看守が落ちている書類を踏んで転ぶ。
二人の看守もエンポリオと同じ様な感覚を覚えたのか、それぞれ転ぶ相手と転ぶ要因の書類を戦慄しているような顔で眺めていた。信じられないとかそういうものではない。気をつけろという妄想とも違う。
エンポリオの居場所が分かるのか、迷い無く神父が追いかけてくるのにエンポリオは叫び声を上げて逃げる。ブーツの看守の足へぶつかって看守が転び、もう一人の看守も転んだ看守の足がぶつかって倒れた。
「未来を一巡して『新しい宇宙』が始まったッ! 運命も同じように繰り返される! 人の出会いとは『重力』であり出会うべくして出会うものだからだ。そして人類は未来の全てを体験してこの世界へ到達した!」
倒れた看守を避けて神父はエンポリオを追ってくる。
気が付くとエンポリオは裸のまま、グリーン・ドルフィン・ストリート刑務所内の、面会室前にあるゴミ箱の影にいた。
時間が計り知れないほどの加速をして、生き物だけになって光へ吸い込まれたと思ったのに、すぐ傍には着ていた服が落ちている。
それを手に取ると近くの鉄格子の向こうから看守の声が聞こえた。囚人達に何故裸なんだと怒鳴り、自分も裸であることに気付いて慌てている。
面会室の一つから、聞き覚えのある会話が聞こえた。服を着て覗き込むと、徐倫と承太郎へ凄く似ているのに違う父子が言い合っている。
似ているが違う。その向こうで面会者側の扉が開いたかと思うと血塗れで息を切らせたプッチ神父が現れた。
「『宇宙』は一巡した! 『新しい世界』だッ! 人類は一つの終点に到着し『夜明け』を迎えたのだッ!」
叫んだ神父がまっすぐにこちらへ向かってくる。
「だがこの『運命の夜明け』にわたしの『因縁』だけは持ち込めないッ!」
エンポリオが居ることには気付いているらしい。
「空条徐倫はもういないッ! 魂さえも……空条承太郎も消滅したッ! アナスイもエルメェスも。あの男も若者もッ!『死人』は来れないのだッ! わたしに相反する因縁は全て『向こう』に置いてきたッ!」
面会室の父子が当然部屋を通り抜けていった神父へ驚いているが、エンポリオはそれに構っていられずに逃げ出した。ゴミ箱の影にあった隙間を通過して違う通路へ出る。
そこには確認して来た訳ではなかったから、何も知らない看守が見回りをしていた。突然現れた子供のエンポリオへ驚く二人を見ると、彼らがこれから経験するであろう動きが“予知”出来た。
変な感覚だ。これからブーツの看守が落ちている書類を踏んで転ぶ。
二人の看守もエンポリオと同じ様な感覚を覚えたのか、それぞれ転ぶ相手と転ぶ要因の書類を戦慄しているような顔で眺めていた。信じられないとかそういうものではない。気をつけろという妄想とも違う。
エンポリオの居場所が分かるのか、迷い無く神父が追いかけてくるのにエンポリオは叫び声を上げて逃げる。ブーツの看守の足へぶつかって看守が転び、もう一人の看守も転んだ看守の足がぶつかって倒れた。
「未来を一巡して『新しい宇宙』が始まったッ! 運命も同じように繰り返される! 人の出会いとは『重力』であり出会うべくして出会うものだからだ。そして人類は未来の全てを体験してこの世界へ到達した!」
倒れた看守を避けて神父はエンポリオを追ってくる。