六部
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「ヤツの能力は『加速している時間』! その中を神父だけが動けるが、まったくヤツを見えないという事ではない」
徐倫が周囲へ張り巡らせた糸を見る。それを見てふと思いついたことがあった。
腕時計の針の動きから判断するに、現在一時間分の動きが二分の早さで進んでいる。つまり時速十キロの動きがアマネ達には新幹線位の速度へ感じられるという事だ。
無論、いくら速いとはいえ新幹線の動きを目で追えないということはない。速すぎればそれも不可能に近いが、『動き』だけは目視できる可能性がある。
そして時が止まればその動きも止まり、完全に目視は出来るだろう。問題は承太郎だけしか止まった時の中を認識出来ないということと、承太郎が止められる時間が体感で五秒程度ということだ。
たった五秒。五秒で出来る事なんて限られている。
「そして誰も分からない事だが……ヤツの能力がこれからどうなるのか? その『真価』もヤツ自身が見たがっているッ!」
互いの四角をフォローするように背中合わせになり、一つに固まって周囲を見回した。どんな些細な動きも今は見逃してはならないという状況で、アマネはそっと承太郎の服を掴んだ。
アナスイにトンと背中を触れさせる。エルメェスにエンポリオがしがみついていて、そのエルメェスに肘をそっと当てた。
身を乗り出して離れかけた徐倫をトムが引き寄せ、そのままアマネへぶつかる。
「《スタープラチナ・ザ・ワールド》ッ」
承太郎が時を止めた。次の瞬間には速すぎて霞んだ神父の姿がすぐ目の前にある。それに徐倫達が驚きの声を上げるのが、アマネの耳には遠ざかりながら聞こえた。
建物の上へ設置されていた貯水タンクへ背中から激突する。雨の降る地域だからそう大きくもないが、海が近いから置かれていたのだろう。
衝撃に破損した貯水タンクの破片が、背中から腹へと貫通する感覚を味わった。ゴリッと背骨が砕ける音も聞こえた気がする。
痛みが思考の後に来た。
承太郎がどうしてこうなったのか分からないとばかりにアマネを見ている。
必死に神父の残像を探す。探して探して、きっとまた承太郎が時を止めたのか宙を殴っていた。
崩壊した貯水タンクと吹き飛ばされたアマネへ驚く間もなく、動きを止めたらしい神父の姿が現れる。承太郎達を警戒しながらも、いつかの時と同じようにアマネを不可解そうに見下ろしていた。
「承太郎を狙ったのだが、何故お前が吹き飛んだ?」
「……ふ……、ふふっ……――」
背後から水が漏れだしてアマネの血と混じり合って流れていく。
流血は止まらない。今度こそ無理だ。
徐倫が周囲へ張り巡らせた糸を見る。それを見てふと思いついたことがあった。
腕時計の針の動きから判断するに、現在一時間分の動きが二分の早さで進んでいる。つまり時速十キロの動きがアマネ達には新幹線位の速度へ感じられるという事だ。
無論、いくら速いとはいえ新幹線の動きを目で追えないということはない。速すぎればそれも不可能に近いが、『動き』だけは目視できる可能性がある。
そして時が止まればその動きも止まり、完全に目視は出来るだろう。問題は承太郎だけしか止まった時の中を認識出来ないということと、承太郎が止められる時間が体感で五秒程度ということだ。
たった五秒。五秒で出来る事なんて限られている。
「そして誰も分からない事だが……ヤツの能力がこれからどうなるのか? その『真価』もヤツ自身が見たがっているッ!」
互いの四角をフォローするように背中合わせになり、一つに固まって周囲を見回した。どんな些細な動きも今は見逃してはならないという状況で、アマネはそっと承太郎の服を掴んだ。
アナスイにトンと背中を触れさせる。エルメェスにエンポリオがしがみついていて、そのエルメェスに肘をそっと当てた。
身を乗り出して離れかけた徐倫をトムが引き寄せ、そのままアマネへぶつかる。
「《スタープラチナ・ザ・ワールド》ッ」
承太郎が時を止めた。次の瞬間には速すぎて霞んだ神父の姿がすぐ目の前にある。それに徐倫達が驚きの声を上げるのが、アマネの耳には遠ざかりながら聞こえた。
建物の上へ設置されていた貯水タンクへ背中から激突する。雨の降る地域だからそう大きくもないが、海が近いから置かれていたのだろう。
衝撃に破損した貯水タンクの破片が、背中から腹へと貫通する感覚を味わった。ゴリッと背骨が砕ける音も聞こえた気がする。
痛みが思考の後に来た。
承太郎がどうしてこうなったのか分からないとばかりにアマネを見ている。
必死に神父の残像を探す。探して探して、きっとまた承太郎が時を止めたのか宙を殴っていた。
崩壊した貯水タンクと吹き飛ばされたアマネへ驚く間もなく、動きを止めたらしい神父の姿が現れる。承太郎達を警戒しながらも、いつかの時と同じようにアマネを不可解そうに見下ろしていた。
「承太郎を狙ったのだが、何故お前が吹き飛んだ?」
「……ふ……、ふふっ……――」
背後から水が漏れだしてアマネの血と混じり合って流れていく。
流血は止まらない。今度こそ無理だ。