四部
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トムが赤ん坊の消耗品の買い出しから戻ってくると、来ていたらしい仗助が帰るところだった。今日は確か承太郎がスタンド使いに変貌したネズミを捕まえに行くのだと言っていたが、帰ってきているという事は無事に捕まえたか殺したのだろう。
ネズミと聞いて相棒のナギニは期待していたが、トムとしてはそんな寄生虫のいそうなネズミを食べさせるつもりは微塵たりとも無かった。
廊下をホテルから家へ送るつもりらしい承太郎が仗助と歩いてくる。ジョセフが立ち止まったトムを置いてその二人へと話しかけ、部屋へと戻っていく。
トムはその場に立ち止まったまま二人が目の前に来るのを待った。
「父さんをいじめたでしょう」
二人が足を止める。
「大方父さんの秘密を探ろうとしたのでしょう。そんな事をして父さんの腹を探って、優越感にでも浸りたいんですか」
「トム」
「父さんは誰にでも分け隔て無く優しい。だから苦労するのにその苦労さえも愛してしまう人だ。仗助さん。父さんをいじめたでしょう」
「……別に、スタンド使いかどうか聞いただけだ」
「それってあなたに関係ありますか。百歩譲って承太郎さんは許しましょう。でも仗助さん。貴方はスタンド使いであることに自信を持って少し驕っているんではありませんか?」
「――トム。やめなさい」
仗助と承太郎の後ろからやってきたアマネが口を挟む。振り返った二人に笑みを向ける父親は、それでもやはり傷ついているようだった。
トムはあの人の息子で、彼に愛されることは出来ても彼の傷を癒すことは出来ない。いつもであればアマネはそれぞれの世界で誰かしら癒し手を無意識に探し出すというのに、この世界ではその人が死んでしまっている。
だから父の傷は治りにくくなっていた。
「息子が悪ぃなぁ。この子はちょっとツンデレの比率がツンに傾いてるから」
「父さん」
「空条、仗助君に渡したライフル弾の残り回収してねぇだろぉ。ホテルを出る前に思い出して良かったぜぇ」
そう言って仗助へ差し出す手に、仗助が無言でポケットを漁ってライフル弾を取り出す。
「……さっきの話だけれど、君がもう少し大人になったら話してあげよう」
血だらけの見えない傷を隠して笑うトムの父親は、その細身に対して大きすぎる秘密を抱え込んでいる。けれどもそれは見えないから、誰にも直せない。
そう思っていた。
ライフル弾をアマネへ渡そうとした仗助が、何を思ったのかアマネの手を握りしめる。
「ちょっ」
「アマネさん! オレ難しいこと分かんねーからアレっすけど、言えないなら言わなくていいですからやっぱり怪我は駄目っす。オレなら直せるかもですけど、いつだってオレが傍にいるわけじゃねーし、オレにだって直せねーモンはあるし。ともかく、怪我は駄目です!」
言い切って、アマネの手を掴んだまま振り返った仗助がトムを指差した。
「心配だっただけでオゴッてなんてねーからな!」
「分かったから父さんの手を離せこの害虫が!」
ネズミと聞いて相棒のナギニは期待していたが、トムとしてはそんな寄生虫のいそうなネズミを食べさせるつもりは微塵たりとも無かった。
廊下をホテルから家へ送るつもりらしい承太郎が仗助と歩いてくる。ジョセフが立ち止まったトムを置いてその二人へと話しかけ、部屋へと戻っていく。
トムはその場に立ち止まったまま二人が目の前に来るのを待った。
「父さんをいじめたでしょう」
二人が足を止める。
「大方父さんの秘密を探ろうとしたのでしょう。そんな事をして父さんの腹を探って、優越感にでも浸りたいんですか」
「トム」
「父さんは誰にでも分け隔て無く優しい。だから苦労するのにその苦労さえも愛してしまう人だ。仗助さん。父さんをいじめたでしょう」
「……別に、スタンド使いかどうか聞いただけだ」
「それってあなたに関係ありますか。百歩譲って承太郎さんは許しましょう。でも仗助さん。貴方はスタンド使いであることに自信を持って少し驕っているんではありませんか?」
「――トム。やめなさい」
仗助と承太郎の後ろからやってきたアマネが口を挟む。振り返った二人に笑みを向ける父親は、それでもやはり傷ついているようだった。
トムはあの人の息子で、彼に愛されることは出来ても彼の傷を癒すことは出来ない。いつもであればアマネはそれぞれの世界で誰かしら癒し手を無意識に探し出すというのに、この世界ではその人が死んでしまっている。
だから父の傷は治りにくくなっていた。
「息子が悪ぃなぁ。この子はちょっとツンデレの比率がツンに傾いてるから」
「父さん」
「空条、仗助君に渡したライフル弾の残り回収してねぇだろぉ。ホテルを出る前に思い出して良かったぜぇ」
そう言って仗助へ差し出す手に、仗助が無言でポケットを漁ってライフル弾を取り出す。
「……さっきの話だけれど、君がもう少し大人になったら話してあげよう」
血だらけの見えない傷を隠して笑うトムの父親は、その細身に対して大きすぎる秘密を抱え込んでいる。けれどもそれは見えないから、誰にも直せない。
そう思っていた。
ライフル弾をアマネへ渡そうとした仗助が、何を思ったのかアマネの手を握りしめる。
「ちょっ」
「アマネさん! オレ難しいこと分かんねーからアレっすけど、言えないなら言わなくていいですからやっぱり怪我は駄目っす。オレなら直せるかもですけど、いつだってオレが傍にいるわけじゃねーし、オレにだって直せねーモンはあるし。ともかく、怪我は駄目です!」
言い切って、アマネの手を掴んだまま振り返った仗助がトムを指差した。
「心配だっただけでオゴッてなんてねーからな!」
「分かったから父さんの手を離せこの害虫が!」