六部
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気配へ気付いた徐倫が振り返る。だがもう手の届く距離といっても過言ではない場所へ神父はいた。おそらくずっとアマネ達の近くへ隠れていたのだ。
「やはりお前達だけは全力で始末しとくべきだった。刑務所で……始めの時点で」
アマネの位置からでは遠い。背を向けたスタンドが消えた気配がする。
「人間の幸福について『克服』しなければならないのは『運命』だ。わたしとDIOにとってのそれは『ジョースターの血統』だった!」
神父にはやはり、アマネがスタンドへ行なった攻撃のダメージがフィードバックしているようだった。口の端から血を垂らし、他にも皮膚が裂けたような出血をしている。だがどれも致命傷にはなっていないし、出血量でいったらアマネの吐いた量の方が多そうだ。
つまり神父は大して困りもせずにまだ動ける。アマネよりも徐倫へ近く、アマネが駆けつけるのでは間に合わない。
徐倫が振り返る動作と同時に神父をスタンドで殴ろうとする。だがその腕が届く前に、徐倫の身体が『空の方向』へ向けて浮いた。
浮いたのではなく『落ちた』のだと気付いたのは、近くにいたエンポリオ達の身体も浮いたからだ。ボックスにしがみついた姿勢から、浮くように落ちる。
「か、身体が、『空の方向』にッ!?」
「わたしの身体が『基本』だ。私のいるこの足元で『重力』は逆転する」
つまり中心は神父であってスタンドではない。神父を中心に重力が四方八方へ向かって働いている。
神父へ近付くのはジャンプで空へ向かおうとしているのと同じ事だ。重力という壁に負けて落ちるだけ。では神父へ近付くにはどうすればいいのか。
反転して裏返ったままの腕を押さえて地面を蹴った。頭痛が酷いが構っていられない。神父と徐倫の間へ『転移』する。
その腹を殴られた。
「君なら“庇う”だろうと考えていた。どんな方法であれ、庇うとな」
「――ッ」
「だからわたしは徐倫を殴ればいいだけのことだ。君が“庇う”から」
殴られた腹部がミチミチと音を立てて裏返っていく。痛みで徐倫を助けることも、“拒絶”して宙へ着地する事も出来ない。視界が眩む。
アマネの身体を押しのけたスタンドが徐倫を殴った。押しのける際に掴まれた左肩が反転する。
空を落ちていく。殴られたことでその方向は果てしない空ではないが、確実に神父からは遠ざかっていた。
視界に徐倫の姿がない。この状況を作ってしまったのはアマネだ。どうにか徐倫を助けなければならない。アナスイ達もだ。
何も聞こえないのは痛みからか。
『その中にあった一文がとても印象的でね』
これは声じゃない。記憶だ。
『『すみわたる夜空のような』という一文だ。――君なら、どんな続きを考える?』
「やはりお前達だけは全力で始末しとくべきだった。刑務所で……始めの時点で」
アマネの位置からでは遠い。背を向けたスタンドが消えた気配がする。
「人間の幸福について『克服』しなければならないのは『運命』だ。わたしとDIOにとってのそれは『ジョースターの血統』だった!」
神父にはやはり、アマネがスタンドへ行なった攻撃のダメージがフィードバックしているようだった。口の端から血を垂らし、他にも皮膚が裂けたような出血をしている。だがどれも致命傷にはなっていないし、出血量でいったらアマネの吐いた量の方が多そうだ。
つまり神父は大して困りもせずにまだ動ける。アマネよりも徐倫へ近く、アマネが駆けつけるのでは間に合わない。
徐倫が振り返る動作と同時に神父をスタンドで殴ろうとする。だがその腕が届く前に、徐倫の身体が『空の方向』へ向けて浮いた。
浮いたのではなく『落ちた』のだと気付いたのは、近くにいたエンポリオ達の身体も浮いたからだ。ボックスにしがみついた姿勢から、浮くように落ちる。
「か、身体が、『空の方向』にッ!?」
「わたしの身体が『基本』だ。私のいるこの足元で『重力』は逆転する」
つまり中心は神父であってスタンドではない。神父を中心に重力が四方八方へ向かって働いている。
神父へ近付くのはジャンプで空へ向かおうとしているのと同じ事だ。重力という壁に負けて落ちるだけ。では神父へ近付くにはどうすればいいのか。
反転して裏返ったままの腕を押さえて地面を蹴った。頭痛が酷いが構っていられない。神父と徐倫の間へ『転移』する。
その腹を殴られた。
「君なら“庇う”だろうと考えていた。どんな方法であれ、庇うとな」
「――ッ」
「だからわたしは徐倫を殴ればいいだけのことだ。君が“庇う”から」
殴られた腹部がミチミチと音を立てて裏返っていく。痛みで徐倫を助けることも、“拒絶”して宙へ着地する事も出来ない。視界が眩む。
アマネの身体を押しのけたスタンドが徐倫を殴った。押しのける際に掴まれた左肩が反転する。
空を落ちていく。殴られたことでその方向は果てしない空ではないが、確実に神父からは遠ざかっていた。
視界に徐倫の姿がない。この状況を作ってしまったのはアマネだ。どうにか徐倫を助けなければならない。アナスイ達もだ。
何も聞こえないのは痛みからか。
『その中にあった一文がとても印象的でね』
これは声じゃない。記憶だ。
『『すみわたる夜空のような』という一文だ。――君なら、どんな続きを考える?』