六部
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徐倫達をガードレールへしがみつかせる。もう車どころか人も正常に地面へ立っていることは出来ないようで、アマネもガードレールに足を引っかけなければその場へ留まっていられない。だがそのガードレールも、壁に刺した釘が抜けるように軋んでいる。
センターのバスや地面との固定が弱かったらしい鉄塔、それらがぶつかって壊れたのだろう外灯などが落ちていった。
「水平に落ちるなんて考えられないィィィィ! 地面があるから『重力』なんじゃあないのか!?」
「神父はこのことを求めていた。二十年前にあたしの父さんがエジプトで封印したことは『このこと』なのね……。神父はこのことを『天国』と呼んでいた」
「違げぇなぁ。これはまだ『前兆』だと思うぜぇ。神父は『新月の時』を待ってる。新月ってのは引力の最も弱くなる時だぁ。重力をここまで弄くってても“まだ”足らねぇんだよきっと」
でなければ『新月の時』を待つ意味がない。
この重力の水平化がスタンド能力によるものだとして、射程範囲も中心部も分からないがスタンド能力であるのなら必ず限界範囲があるはずだ。地球全土を範囲としているのだとしたら、慣性の法則まで操っているのか分からないがアマネ達の元へセンターの物だけではなく海水などが降ってきてもおかしくはない筈だからである。地球は丸い。その丸い星の地面へ重力が水平に沿っているのならという話だが。
となれば範囲の外へまで落ちれば、そこまで生きていられればエルメェスも無事の可能性があった。そしてただの落下だと理解すれば、助かる方法も皆無ではない。
変な表現ではあるが、ガードレールを昇っていけばセンターの敷地内へは到達出来るだろう。そこからは徐倫が糸を伸ばして辿るか再びアマネが頑張れば向かうことに問題はない。
「エンポリオおいでぇ。俺の背中へしがみつきなさい」
肩にかけていたストールをとってエンポリオを背負い、ストールを紐代わりにしてエンポリオと自分とを固定する。
「ストール、ボロボロですね……」
「君のせいじゃねぇ」
「全部済んだらあたしが新しいの買ってあげるわ」
「いいよ別にぃ。ストールたくさん持ってるしなぁ」
大切なのはストールではない。ストールから連想する思い出の方だ。
ガードレールを梯子をそうするように昇っていき、道路へ沿ってパーキングエリアへ入る。そこから反対車線のガードレールへ移動し、再び伝ってセンターの入り口へと辿り着いた。
公衆トイレから落ちたのだろう女性が二人、手すりへしがみついて助けを求めている。トイレからの水がその顔へ滴り落ちていたが、彼女達を安全な場所へ移動する時間も労力もなかった。
チケット売場のボックスの側面を足場に着地し、エンポリオを降ろして徐倫へ渡す。すぐ傍に神父の気配がする。
センターのバスや地面との固定が弱かったらしい鉄塔、それらがぶつかって壊れたのだろう外灯などが落ちていった。
「水平に落ちるなんて考えられないィィィィ! 地面があるから『重力』なんじゃあないのか!?」
「神父はこのことを求めていた。二十年前にあたしの父さんがエジプトで封印したことは『このこと』なのね……。神父はこのことを『天国』と呼んでいた」
「違げぇなぁ。これはまだ『前兆』だと思うぜぇ。神父は『新月の時』を待ってる。新月ってのは引力の最も弱くなる時だぁ。重力をここまで弄くってても“まだ”足らねぇんだよきっと」
でなければ『新月の時』を待つ意味がない。
この重力の水平化がスタンド能力によるものだとして、射程範囲も中心部も分からないがスタンド能力であるのなら必ず限界範囲があるはずだ。地球全土を範囲としているのだとしたら、慣性の法則まで操っているのか分からないがアマネ達の元へセンターの物だけではなく海水などが降ってきてもおかしくはない筈だからである。地球は丸い。その丸い星の地面へ重力が水平に沿っているのならという話だが。
となれば範囲の外へまで落ちれば、そこまで生きていられればエルメェスも無事の可能性があった。そしてただの落下だと理解すれば、助かる方法も皆無ではない。
変な表現ではあるが、ガードレールを昇っていけばセンターの敷地内へは到達出来るだろう。そこからは徐倫が糸を伸ばして辿るか再びアマネが頑張れば向かうことに問題はない。
「エンポリオおいでぇ。俺の背中へしがみつきなさい」
肩にかけていたストールをとってエンポリオを背負い、ストールを紐代わりにしてエンポリオと自分とを固定する。
「ストール、ボロボロですね……」
「君のせいじゃねぇ」
「全部済んだらあたしが新しいの買ってあげるわ」
「いいよ別にぃ。ストールたくさん持ってるしなぁ」
大切なのはストールではない。ストールから連想する思い出の方だ。
ガードレールを梯子をそうするように昇っていき、道路へ沿ってパーキングエリアへ入る。そこから反対車線のガードレールへ移動し、再び伝ってセンターの入り口へと辿り着いた。
公衆トイレから落ちたのだろう女性が二人、手すりへしがみついて助けを求めている。トイレからの水がその顔へ滴り落ちていたが、彼女達を安全な場所へ移動する時間も労力もなかった。
チケット売場のボックスの側面を足場に着地し、エンポリオを降ろして徐倫へ渡す。すぐ傍に神父の気配がする。