四部
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
仗助に負ぶわれてホテルへ戻る。怪我は直してもらったのだしそんな気遣いは必要ないのだが、仗助がそういう気分ではないらしい。
ホテルへ戻ればトムはジョセフと赤ん坊を連れて出かけているようだった。とはいえもう夕方でもあるしそろそろ戻ってくるだろう。
部屋へ入った承太郎が人数分の珈琲を淹れる。アマネがやろうとしたら仗助へ睨まれたのだ。
「……どーいうコトなんすか」
「何がぁ?」
「アマネさん、スタンド使いじゃねーっすよね」
座らせられたソファの目の前で正座をして見上げてくる。アマネと似た菫色の瞳に少しだけ親近感を覚えた。
「そうだねぇ。どこから話そうかぁ」
「アマネさん」
「俺がスタンド使いじゃねぇって言ったら、仗助君は俺を軽蔑すんの?」
「しねーっすけど。でももうちょっとちゃんと教えてほしいっすね」
嗚呼この子は真っ直ぐな子だと思う。知らないことを知ろうとして、知った上で判断したいと考えるのは少し承太郎に似ていた。
それともジョースター家の性質だろうか。
けれどもそれと話せるコトとは関係ない。承太郎以外にペルソナの事を告げるつもりはなかった。
そうして知っている人数を増やしてどうするというのかという問題もあるし、そうして無為に増やしたところで今度はアマネしかいないペルソナ使いを誰かが悪用しようとする可能性だってある。
例えば、カキョウインを殺した男のように。
アマネはアマネを守らなければならない。承太郎とトム以外の何者からももだ。
目の前で正座している仗助の顔へ手を伸ばす。ネズミ狩りへ行って戻ってきてから手を洗っていないことに気付いたが、まぁ大丈夫だろうと根拠もないスルーをしておく。
「それへ踏み込むことは、君にとってその髪型を貶されるのと同じくらいに禁忌だぁ。ただの好奇心では教えられねぇし、かといって君が秘密を守れると胸を張って言えたとしても、俺は全てを話しはしねぇ」
「……承太郎さんには言えるのにっすか」
「空条でも“代わり”なんだよ。俺が本当に教えたかったのは、知ってほしかった相手はもういない」
十年前に死んだ彼は、アマネのそれを知ることなくいなくなってしまった。承太郎はその代わりでしか無く、アマネもきっと最期の瞬間まで全ては話しはしない。
もし彼が生きていたのなら違ったのだろうけれど。
「ごめんなぁ? でも仗助君。俺は君達を守れるのなら構わねぇんだよ」
承太郎が珈琲を運んでくる。アマネが手を離した仗助がそれを引ったくるように受け取って一気に飲み干した。淹れたてだから口の中を火傷しそうだし、砂糖もミルクも入ってなくて苦いだろうに。
案の定舌を出して苦いのを耐えるような顔をした仗助は、それでもしっかりとアマネを見上げてきた。
「いつか、オレにも少しは教えてください」
こういうところはやはり承太郎の親戚である。
ホテルへ戻ればトムはジョセフと赤ん坊を連れて出かけているようだった。とはいえもう夕方でもあるしそろそろ戻ってくるだろう。
部屋へ入った承太郎が人数分の珈琲を淹れる。アマネがやろうとしたら仗助へ睨まれたのだ。
「……どーいうコトなんすか」
「何がぁ?」
「アマネさん、スタンド使いじゃねーっすよね」
座らせられたソファの目の前で正座をして見上げてくる。アマネと似た菫色の瞳に少しだけ親近感を覚えた。
「そうだねぇ。どこから話そうかぁ」
「アマネさん」
「俺がスタンド使いじゃねぇって言ったら、仗助君は俺を軽蔑すんの?」
「しねーっすけど。でももうちょっとちゃんと教えてほしいっすね」
嗚呼この子は真っ直ぐな子だと思う。知らないことを知ろうとして、知った上で判断したいと考えるのは少し承太郎に似ていた。
それともジョースター家の性質だろうか。
けれどもそれと話せるコトとは関係ない。承太郎以外にペルソナの事を告げるつもりはなかった。
そうして知っている人数を増やしてどうするというのかという問題もあるし、そうして無為に増やしたところで今度はアマネしかいないペルソナ使いを誰かが悪用しようとする可能性だってある。
例えば、カキョウインを殺した男のように。
アマネはアマネを守らなければならない。承太郎とトム以外の何者からももだ。
目の前で正座している仗助の顔へ手を伸ばす。ネズミ狩りへ行って戻ってきてから手を洗っていないことに気付いたが、まぁ大丈夫だろうと根拠もないスルーをしておく。
「それへ踏み込むことは、君にとってその髪型を貶されるのと同じくらいに禁忌だぁ。ただの好奇心では教えられねぇし、かといって君が秘密を守れると胸を張って言えたとしても、俺は全てを話しはしねぇ」
「……承太郎さんには言えるのにっすか」
「空条でも“代わり”なんだよ。俺が本当に教えたかったのは、知ってほしかった相手はもういない」
十年前に死んだ彼は、アマネのそれを知ることなくいなくなってしまった。承太郎はその代わりでしか無く、アマネもきっと最期の瞬間まで全ては話しはしない。
もし彼が生きていたのなら違ったのだろうけれど。
「ごめんなぁ? でも仗助君。俺は君達を守れるのなら構わねぇんだよ」
承太郎が珈琲を運んでくる。アマネが手を離した仗助がそれを引ったくるように受け取って一気に飲み干した。淹れたてだから口の中を火傷しそうだし、砂糖もミルクも入ってなくて苦いだろうに。
案の定舌を出して苦いのを耐えるような顔をした仗助は、それでもしっかりとアマネを見上げてきた。
「いつか、オレにも少しは教えてください」
こういうところはやはり承太郎の親戚である。