六部
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蹴飛ばした小石がそうなるように、転がってくる乗用車は地面へぶつかっては跳ね、勢いをつけて向かってくる。その内の一台がアマネ達の乗っている車へぶつかるのに、アマネは座席から身を乗り出して助手席へ座っていたエルメェスを引っ張り、エンポリオの前へ手を突き出し指を鳴らした。
緑色の『雷の炎』でフロント部分を硬化させる。割れたフロントガラスの破片から出来るだけエンポリオを守ってやりながら、後部座席へ引き込んだエルメェスを確認すると一応怪我は無かったようだった。
エルメェスと一緒に吹っ飛んだパソコンの幽霊が、後ろの窓を割って車から飛び出していく。キーボードが座席へ引っかかり、デスクトップが何故か“水平”に浮いていた。
「いったい何が起こっているんだッ!」
アナスイがエンポリオへ急いで車を走らせるように指示しているが、車は動かない。前方から何か圧を感じる。
隣にあったはずの車が無くなっていた。座席へしがみついているが後ろへ引っ張られているような気がして、後ろを振り返るとエルメェスがズルズルと後ろへと引っ張られている。
いや、引っ張られているのではない。
「やばいぞ徐倫! あ、あたしたち、このままだと落っこちるぞッ! 下じゃあないッ! 『後ろ』にッ! 他の車は全部落ちて行ったんだ!」
叫ぶエルメェスの身体が割れた窓から外へ出る。必死にしがみついているがその身体は地面に対し水平にぶらさがっていた。
窓の外をセンターの飾りだったのか植木鉢やガレキが“落ちて”いく。
地面にではなく、水平に。
「まさか『神父の能力』が……!? あと二日の新月を待たずして……バカなッ!」
「――徐倫! アナスイ君! エンポリオ君とエルメェスを掴んで俺に掴まりなさい!」
乗っている車の前輪が浮き、ひっくり返りそうになる。徐倫とアナスイを抱えて車を“拒絶”し足を車体の下の地面へと伸ばした。アナスイがエンポリオを抱え、徐倫がエルメェスへ手を伸ばす。だがその手が届く寸前に引っかかっていたキーボードが宙に浮き、伸ばされていたエルメェスの腕へとぶつかった。
アマネの足が車を透過して道路へと僅かに沈み、その足を支えに落下を防ぐ。同じくアマネに抱えられていることで徐倫達の身体も車体を透過した。エルメェスだけが、徐倫の手を取れずに車と共に落ちていく。
「エルメェェェス――!」
徐倫が叫ぶ。スタンドの糸を伸ばすが勢いをつけて落下していくエルメェスへは届かない。
地面へめり込ませている足が痛かった。重力へ逆らっているようなものなので当然か。周囲を見回せば草木やセンターの建物自体は倒壊せずに残っている。
すぐ傍にも落ちずに残っているガードレールがあり、アマネは徐倫達を抱えたまま慎重にそのガードレールへと近付いた。
緑色の『雷の炎』でフロント部分を硬化させる。割れたフロントガラスの破片から出来るだけエンポリオを守ってやりながら、後部座席へ引き込んだエルメェスを確認すると一応怪我は無かったようだった。
エルメェスと一緒に吹っ飛んだパソコンの幽霊が、後ろの窓を割って車から飛び出していく。キーボードが座席へ引っかかり、デスクトップが何故か“水平”に浮いていた。
「いったい何が起こっているんだッ!」
アナスイがエンポリオへ急いで車を走らせるように指示しているが、車は動かない。前方から何か圧を感じる。
隣にあったはずの車が無くなっていた。座席へしがみついているが後ろへ引っ張られているような気がして、後ろを振り返るとエルメェスがズルズルと後ろへと引っ張られている。
いや、引っ張られているのではない。
「やばいぞ徐倫! あ、あたしたち、このままだと落っこちるぞッ! 下じゃあないッ! 『後ろ』にッ! 他の車は全部落ちて行ったんだ!」
叫ぶエルメェスの身体が割れた窓から外へ出る。必死にしがみついているがその身体は地面に対し水平にぶらさがっていた。
窓の外をセンターの飾りだったのか植木鉢やガレキが“落ちて”いく。
地面にではなく、水平に。
「まさか『神父の能力』が……!? あと二日の新月を待たずして……バカなッ!」
「――徐倫! アナスイ君! エンポリオ君とエルメェスを掴んで俺に掴まりなさい!」
乗っている車の前輪が浮き、ひっくり返りそうになる。徐倫とアナスイを抱えて車を“拒絶”し足を車体の下の地面へと伸ばした。アナスイがエンポリオを抱え、徐倫がエルメェスへ手を伸ばす。だがその手が届く寸前に引っかかっていたキーボードが宙に浮き、伸ばされていたエルメェスの腕へとぶつかった。
アマネの足が車を透過して道路へと僅かに沈み、その足を支えに落下を防ぐ。同じくアマネに抱えられていることで徐倫達の身体も車体を透過した。エルメェスだけが、徐倫の手を取れずに車と共に落ちていく。
「エルメェェェス――!」
徐倫が叫ぶ。スタンドの糸を伸ばすが勢いをつけて落下していくエルメェスへは届かない。
地面へめり込ませている足が痛かった。重力へ逆らっているようなものなので当然か。周囲を見回せば草木やセンターの建物自体は倒壊せずに残っている。
すぐ傍にも落ちずに残っているガードレールがあり、アマネは徐倫達を抱えたまま慎重にそのガードレールへと近付いた。