六部
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ケープカナベラル・ケネディ宇宙センターはフロリダ半島の大西洋へ突き出した広大な州の中へある。宇宙船を打ち上げるのにはより引力が弱いほうがいいとされ、このケープカナベラルは月の満ち欠けの関係も含めると地球で最も宇宙船発射に適した場所とされていた。
センターの一部は一般公開が許可されており、シャトルの組立工場や発射台。見晴らし台の見学が出来る。とはいえ殆どは重要機密も同然なので入場制限や交通制限もされていた。
「新月まであと三十二時間。神父の奴はこのケープカナベラルで何をするつもりなのかは分からないけど、その時が来るまでこの場所のどこかで過ごすつもりらしい」
エンポリオが出したパソコンの幽霊の画面に、センターの見取り図が映し出される。一般人は必ずビジター・センターから入場しなければならず、それは敵である神父も変わらない。
スタンド能力がなければ、あと三十二時間もそんな警備の目がある場所で待とうなんて思わないだろう。いや、そもそもスタンド能力がなければ一般人なのでこんな企てをしないか。
「それでおねえちゃん、どうするつもり? まずスピードワゴン財団と承太郎さんを待つ? それともこのまま神父を追跡するつもりなの?」
「それは……」
「当然ヤツは今探し出す!」
徐倫より先にアナスイが答えた。ふと意識の中で何かしっかりと繋がったような感覚を覚える。あれだけ堪えるのに苦労していた不調がだいぶ良くなった。
胸元を押さえて感覚を探る。いやな予感しかしない。
アマネがそうしている事へ誰も気付かず、エルメェスがエンポリオへ車を停めるなと言っていた。
「おいッ? 車を動かせってッ!」
「ち……違うんだよ! 何か車がおかしい……エンジンが、急に失速して」
窓の外を見ると隣を走っていた車も停まっている。運転手と乗員が困惑と動揺で助けを求めていた。その向こうで飛んでいた鳥がうまく飛べなくなっている。
地面にある小石が風もないのに転がっていた。何か異変が起きていると言おうとしたところで、フロントの向こうで砂埃が迫ってくるのに車内が静まりかえる。
もうもうと迫ってくる砂埃の中で、何かが一緒に転がりながら向かってきていた。距離が近くなる毎にハッキリと分かるそれは、人間だ。
人間が転がってきている。
転がっているのは人間だけではない。誰かの持ち物だったのだろうバッグやその中身。脱げた靴や飲み物のボトル。ありとあらゆるものが転がってきてはアマネ達の乗っている車の後方へと過ぎていった。おそらくあの者達は既に絶命している。
言葉も出ないままそれらを見送り、再び視線を前へと戻せば今度は無数の乗用車が“転がって”きた。
センターの一部は一般公開が許可されており、シャトルの組立工場や発射台。見晴らし台の見学が出来る。とはいえ殆どは重要機密も同然なので入場制限や交通制限もされていた。
「新月まであと三十二時間。神父の奴はこのケープカナベラルで何をするつもりなのかは分からないけど、その時が来るまでこの場所のどこかで過ごすつもりらしい」
エンポリオが出したパソコンの幽霊の画面に、センターの見取り図が映し出される。一般人は必ずビジター・センターから入場しなければならず、それは敵である神父も変わらない。
スタンド能力がなければ、あと三十二時間もそんな警備の目がある場所で待とうなんて思わないだろう。いや、そもそもスタンド能力がなければ一般人なのでこんな企てをしないか。
「それでおねえちゃん、どうするつもり? まずスピードワゴン財団と承太郎さんを待つ? それともこのまま神父を追跡するつもりなの?」
「それは……」
「当然ヤツは今探し出す!」
徐倫より先にアナスイが答えた。ふと意識の中で何かしっかりと繋がったような感覚を覚える。あれだけ堪えるのに苦労していた不調がだいぶ良くなった。
胸元を押さえて感覚を探る。いやな予感しかしない。
アマネがそうしている事へ誰も気付かず、エルメェスがエンポリオへ車を停めるなと言っていた。
「おいッ? 車を動かせってッ!」
「ち……違うんだよ! 何か車がおかしい……エンジンが、急に失速して」
窓の外を見ると隣を走っていた車も停まっている。運転手と乗員が困惑と動揺で助けを求めていた。その向こうで飛んでいた鳥がうまく飛べなくなっている。
地面にある小石が風もないのに転がっていた。何か異変が起きていると言おうとしたところで、フロントの向こうで砂埃が迫ってくるのに車内が静まりかえる。
もうもうと迫ってくる砂埃の中で、何かが一緒に転がりながら向かってきていた。距離が近くなる毎にハッキリと分かるそれは、人間だ。
人間が転がってきている。
転がっているのは人間だけではない。誰かの持ち物だったのだろうバッグやその中身。脱げた靴や飲み物のボトル。ありとあらゆるものが転がってきてはアマネ達の乗っている車の後方へと過ぎていった。おそらくあの者達は既に絶命している。
言葉も出ないままそれらを見送り、再び視線を前へと戻せば今度は無数の乗用車が“転がって”きた。