六部
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緑の赤ん坊のせいでいくつも絡み合っていたそれが、自分の意識一つなくなるだけで随分と楽になる。というよりは深層心理の奥底へまで沈んだせいで、肉体的苦痛を感じていないというだけかもしれない。
目の前に炎を纏ったペルソナの姿である《イブリス》がいる。
暗い空間。イブリスの纏う炎以外に光源はない。星の光もありはしない。
最初からアマネの心はそんなものだった。学生時代から真っ暗闇。『花京院』という光を手に入れることは出来ず、『空条承太郎』という光のおこぼれを貰って今に至る。
そして今はその『光』を助ける為に奔走しているつもりだ。
ウェザーが自分のスタンドを制御できないと言うから、かつて暴走したペルソナをそうしたように鎮静させようとした。途中で体力の限界を覚えて、意識を失ってここへいる。
目の前のイブリスは動かない。心なしその身体が崩れてしまっているような気もした。緑の赤ん坊や神父達の気配が混ざり込んでいるからか。
それとも。
星の殆どが恒星だ。自ら光を放ってその光を地球へ降り注いでいる。中には月のように恒星の明かりを反射して光を与えてくるものもあって。
「――俺は別に、月になりたかった訳じゃねぇよ」
イブリスは動かない。
「でも空条っていう星の傍にいたら、俺も誰かのそういうものになれるんじゃねぇかっていう考えはあった。そうなりたかった。空条が俺を照らしてくれるのなら俺がアイツを照らしてもいいんじゃねぇかって」
だがそれは叶わない。月は近付けば反射した光で輝くだけの、恒星に比べれば随分と霞んだ光しか持っていないのだ。
それでもアマネの存在が、彼の傍で死んでしまった花京院の代わりの代わりになればと、思ったのである。
アマネ自身は孤独でも構わなかった。『花京院』の代わりに、あの寂しげだった『承太郎』が、孤独にならないようにあって欲しいと覚悟した。
自分は孤独でいい。孤独の辛さだってもう知っているから。でも承太郎は違う。
仗助もジョセフも億泰も康一も露伴も静も、ポルナレフもジョルノも、F・Fもエルメェスもウェザーもアナスイも、徐倫も花京院もトムも、孤独であっていい訳がない。
「星がある限りは、誰も孤独になんてなれないように世界は出来ている。――そうだろぉ?」
彼らの『星』を守るのだ。自分の涙なんかでその輝きを消してもならない。誰かを照らす星になれないアマネの最期の矜持だ。
イブリスがす、と腕を上げてアマネの左肩へ触れる。そこで何かを掴み取るような仕草をしたかと思うと、何かを手の中へ握って離れた。
指の隙間から緑色の光が溢れている。ゆっくりと開かれるその指の間から水がこぼれ落ちていく。
手の中へ水源があるかのように溢れ出てくるその水の底に、一つの。
目の前に炎を纏ったペルソナの姿である《イブリス》がいる。
暗い空間。イブリスの纏う炎以外に光源はない。星の光もありはしない。
最初からアマネの心はそんなものだった。学生時代から真っ暗闇。『花京院』という光を手に入れることは出来ず、『空条承太郎』という光のおこぼれを貰って今に至る。
そして今はその『光』を助ける為に奔走しているつもりだ。
ウェザーが自分のスタンドを制御できないと言うから、かつて暴走したペルソナをそうしたように鎮静させようとした。途中で体力の限界を覚えて、意識を失ってここへいる。
目の前のイブリスは動かない。心なしその身体が崩れてしまっているような気もした。緑の赤ん坊や神父達の気配が混ざり込んでいるからか。
それとも。
星の殆どが恒星だ。自ら光を放ってその光を地球へ降り注いでいる。中には月のように恒星の明かりを反射して光を与えてくるものもあって。
「――俺は別に、月になりたかった訳じゃねぇよ」
イブリスは動かない。
「でも空条っていう星の傍にいたら、俺も誰かのそういうものになれるんじゃねぇかっていう考えはあった。そうなりたかった。空条が俺を照らしてくれるのなら俺がアイツを照らしてもいいんじゃねぇかって」
だがそれは叶わない。月は近付けば反射した光で輝くだけの、恒星に比べれば随分と霞んだ光しか持っていないのだ。
それでもアマネの存在が、彼の傍で死んでしまった花京院の代わりの代わりになればと、思ったのである。
アマネ自身は孤独でも構わなかった。『花京院』の代わりに、あの寂しげだった『承太郎』が、孤独にならないようにあって欲しいと覚悟した。
自分は孤独でいい。孤独の辛さだってもう知っているから。でも承太郎は違う。
仗助もジョセフも億泰も康一も露伴も静も、ポルナレフもジョルノも、F・Fもエルメェスもウェザーもアナスイも、徐倫も花京院もトムも、孤独であっていい訳がない。
「星がある限りは、誰も孤独になんてなれないように世界は出来ている。――そうだろぉ?」
彼らの『星』を守るのだ。自分の涙なんかでその輝きを消してもならない。誰かを照らす星になれないアマネの最期の矜持だ。
イブリスがす、と腕を上げてアマネの左肩へ触れる。そこで何かを掴み取るような仕草をしたかと思うと、何かを手の中へ握って離れた。
指の隙間から緑色の光が溢れている。ゆっくりと開かれるその指の間から水がこぼれ落ちていく。
手の中へ水源があるかのように溢れ出てくるその水の底に、一つの。