六部
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アナスイ視点
アマネが自分のこめかみへ銃口を押し当てて撃ったかと思うと、予想に反して飛び出してきたのはこめかみを貫通した銃弾でも鮮血でもなく、《炎を纏った魔神》だった。
スタンドの顕現化したものへ似ている。だがどうしてだか『これはスタンドではない』とアナスイの全身の感覚や本能が告げていた。
これはスタンドではない。スタンドと思うにはこれは一歩間違えれば“凶悪”過ぎる。
アナスイは殺人鬼だと言われるし、実際人を殺してもいた。ここへ来るまでには様々なスタンド使いと遭遇し通常ではあり得ない現象や光景、死体などを目撃もしていたが、それらを今目の前にある光景と比べるのは次元が違うとも思った。
もし仮にこれがスタンドだとしたら、そのスタンドを持つアマネの精神を疑う。それほどまでにアマネの背後へ現れた“それ”は恐ろしかった。
「――《イブリス》。手を貸せぇ」
仰ぎ見るようにその《魔神》を見たアマネが、言うなりウェザーの頭を掴んで固定してウェザーの額へ自分のそれを押し当てる。押し当てるというより頭突きそのものといったほうが正しいくらい勢いがついていて、実際二人はぶつけ合ったところで涙眼になっていた。
片手で銃を服の下のホルスターへ戻しながらアマネが口を開く。
「ペルソナしか鎮めたことねぇけど、スタンドもペルソナもあんまり変わんねぇだろぉ。……本当は全然違うけどぉ」
そう言ってアマネが目を閉じるのに、至近距離でそれを見ていただろうウェザーも目を閉じた。
アマネの背後へいた魔神がウェザーへ手を伸ばす。アマネが脂汗を滲ませていてアナスイが思わず近寄ろうとすると、魔神がその眼をアナスイへと向けてきた。すぐに逸らされたそれはしかし、アナスイの足を止めるのに十分だ。
周囲に蔓延していたカタツムリが少し減っていく。空気へ溶けるように消えていくそれを見回してアナスイが視線を二人へ戻すと、アマネの背後から魔神が消えてアマネがズルリと崩れ落ちるところだった。
「アマネさんッ!」
慌てて駆け寄って支え起こせば、アマネはアナスイの腕にしがみついて血を吐く。ぐったりとアナスイの胸へともたれ掛かって、虚ろな眼で何かを見ていた。
「……アマネ?」
「……ごめ……これ以上は、いま……無理……」
しゃがんだウェザーへ向けて手を伸ばし謝罪するアマネに、ウェザーがその手を握り返す。
「……オレが悪かった。責任もってオレがプッチを殺る」
アマネが辛そうな表情を浮かべて気を失う。辛そうというよりは、悲しげだったかも知れない。
アマネが自分のこめかみへ銃口を押し当てて撃ったかと思うと、予想に反して飛び出してきたのはこめかみを貫通した銃弾でも鮮血でもなく、《炎を纏った魔神》だった。
スタンドの顕現化したものへ似ている。だがどうしてだか『これはスタンドではない』とアナスイの全身の感覚や本能が告げていた。
これはスタンドではない。スタンドと思うにはこれは一歩間違えれば“凶悪”過ぎる。
アナスイは殺人鬼だと言われるし、実際人を殺してもいた。ここへ来るまでには様々なスタンド使いと遭遇し通常ではあり得ない現象や光景、死体などを目撃もしていたが、それらを今目の前にある光景と比べるのは次元が違うとも思った。
もし仮にこれがスタンドだとしたら、そのスタンドを持つアマネの精神を疑う。それほどまでにアマネの背後へ現れた“それ”は恐ろしかった。
「――《イブリス》。手を貸せぇ」
仰ぎ見るようにその《魔神》を見たアマネが、言うなりウェザーの頭を掴んで固定してウェザーの額へ自分のそれを押し当てる。押し当てるというより頭突きそのものといったほうが正しいくらい勢いがついていて、実際二人はぶつけ合ったところで涙眼になっていた。
片手で銃を服の下のホルスターへ戻しながらアマネが口を開く。
「ペルソナしか鎮めたことねぇけど、スタンドもペルソナもあんまり変わんねぇだろぉ。……本当は全然違うけどぉ」
そう言ってアマネが目を閉じるのに、至近距離でそれを見ていただろうウェザーも目を閉じた。
アマネの背後へいた魔神がウェザーへ手を伸ばす。アマネが脂汗を滲ませていてアナスイが思わず近寄ろうとすると、魔神がその眼をアナスイへと向けてきた。すぐに逸らされたそれはしかし、アナスイの足を止めるのに十分だ。
周囲に蔓延していたカタツムリが少し減っていく。空気へ溶けるように消えていくそれを見回してアナスイが視線を二人へ戻すと、アマネの背後から魔神が消えてアマネがズルリと崩れ落ちるところだった。
「アマネさんッ!」
慌てて駆け寄って支え起こせば、アマネはアナスイの腕にしがみついて血を吐く。ぐったりとアナスイの胸へともたれ掛かって、虚ろな眼で何かを見ていた。
「……アマネ?」
「……ごめ……これ以上は、いま……無理……」
しゃがんだウェザーへ向けて手を伸ばし謝罪するアマネに、ウェザーがその手を握り返す。
「……オレが悪かった。責任もってオレがプッチを殺る」
アマネが辛そうな表情を浮かべて気を失う。辛そうというよりは、悲しげだったかも知れない。