六部
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アマネに平手打ちされたウェザーの背後で痙攣していた女性が倒れる。頬を叩かれた勢いで横を向いていたウェザーが、赤くなりつつある頬へ指先を伸ばしながらアマネを見た。
「……誰だ、アンタ」
「アマネ。『ペルソナ使い』だぁ覚えとけぇ」
「ペルソナ? 聞いたこと無いな」
「だろうなぁ。世界に俺しかいねぇよ。ご機嫌いかがぁ」
「……最悪だ」
往来を歩いていた者達が、カタツムリになって倒れていく。空へ浮いている虹へ当たったものから、その変貌したカタツムリへ接触したものからどうもカタツムリへ変わっていっているようだった。
ベンチの後ろへ倒れている女性二人も巨大なカタツムリへと変化していて、いつの間にか周囲で無事なのはアマネ達だけになっている。人間も犬も虫も分別無く差別無くカタツムリへと変わっていく。腕の裏がぬめりを伴い壁を這い、転んだはずの全身がヌルヌルと粘液を溢れさせる。
アナスイがそれを戸惑いながら眺めていて、アマネはウェザーの襟首を掴みあげた。
「これは君のスタンド能力かぁ? なら今すぐ制御なさい」
「……自分でも、何が起こっているのか見当もつかない。一九八八年にも、故郷で同じことが起きたのを思い出した。どうやらオレの心の奥の仕業の様だ」
花壇の上を飛んでいた蝶がカタツムリになっている。
「オレは自分では自殺できない。オレを殺せばスタンドは止まるだろう……。カタツムリ化する者へ対し気の毒へ思う気持ちもあるが、オレは自分の人生を呪っている……。この現象に対し何かスカッとする気持ちも心の底にはあるんだ。自分でも止められない」
こんな舐めたスタンド使いがいるかと思ったが、スタンドが精神からの具現化であるのならそれもあり得るのだろう。強く願った精神の具現化。
ならば彼は一体何を願ってこのスタンド能力を発現したのか。
周囲に繁殖を繰り返して大量に増殖したカタツムリが蔓延する。心なしそのカタツムリの粘液のせいで空気も湿っている気がしてきた。このカタツムリにしてしまう能力の詳細が分からない。
分からない、が、アマネは着ていた白衣の下から召喚器を取り出した。
「アマネさん!?」
「殺してくれるのか?」
僅かに期待の込められた目を見つめ返したまま、アマネは取り出した召喚器の銃口を自身のこめかみへ押し当てる。アナスイが状況を飲み込めずに混乱しているようだが、説明してやる時間も惜しい。
引き金を引いた途端、薄いガラスの割れるような音が響いた気がした。
視界に幾重もの自分が見ている物とは違う光景が映る。その中にカタツムリと化したエルメェスやどこだか分からない道端。トムの後ろ姿や銃口をこめかみへ向けている自分や、病院からここへ来るまでの道の途中の光景。
背後にじんわりと暖かさを覚える。見上げれば何よりも心強いアマネの味方。
「――《イブリス》。手を貸せぇ」
「……誰だ、アンタ」
「アマネ。『ペルソナ使い』だぁ覚えとけぇ」
「ペルソナ? 聞いたこと無いな」
「だろうなぁ。世界に俺しかいねぇよ。ご機嫌いかがぁ」
「……最悪だ」
往来を歩いていた者達が、カタツムリになって倒れていく。空へ浮いている虹へ当たったものから、その変貌したカタツムリへ接触したものからどうもカタツムリへ変わっていっているようだった。
ベンチの後ろへ倒れている女性二人も巨大なカタツムリへと変化していて、いつの間にか周囲で無事なのはアマネ達だけになっている。人間も犬も虫も分別無く差別無くカタツムリへと変わっていく。腕の裏がぬめりを伴い壁を這い、転んだはずの全身がヌルヌルと粘液を溢れさせる。
アナスイがそれを戸惑いながら眺めていて、アマネはウェザーの襟首を掴みあげた。
「これは君のスタンド能力かぁ? なら今すぐ制御なさい」
「……自分でも、何が起こっているのか見当もつかない。一九八八年にも、故郷で同じことが起きたのを思い出した。どうやらオレの心の奥の仕業の様だ」
花壇の上を飛んでいた蝶がカタツムリになっている。
「オレは自分では自殺できない。オレを殺せばスタンドは止まるだろう……。カタツムリ化する者へ対し気の毒へ思う気持ちもあるが、オレは自分の人生を呪っている……。この現象に対し何かスカッとする気持ちも心の底にはあるんだ。自分でも止められない」
こんな舐めたスタンド使いがいるかと思ったが、スタンドが精神からの具現化であるのならそれもあり得るのだろう。強く願った精神の具現化。
ならば彼は一体何を願ってこのスタンド能力を発現したのか。
周囲に繁殖を繰り返して大量に増殖したカタツムリが蔓延する。心なしそのカタツムリの粘液のせいで空気も湿っている気がしてきた。このカタツムリにしてしまう能力の詳細が分からない。
分からない、が、アマネは着ていた白衣の下から召喚器を取り出した。
「アマネさん!?」
「殺してくれるのか?」
僅かに期待の込められた目を見つめ返したまま、アマネは取り出した召喚器の銃口を自身のこめかみへ押し当てる。アナスイが状況を飲み込めずに混乱しているようだが、説明してやる時間も惜しい。
引き金を引いた途端、薄いガラスの割れるような音が響いた気がした。
視界に幾重もの自分が見ている物とは違う光景が映る。その中にカタツムリと化したエルメェスやどこだか分からない道端。トムの後ろ姿や銃口をこめかみへ向けている自分や、病院からここへ来るまでの道の途中の光景。
背後にじんわりと暖かさを覚える。見上げれば何よりも心強いアマネの味方。
「――《イブリス》。手を貸せぇ」