六部
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『転移』して地上へ足を着いた途端、視界の半分が真っ赤に染まった。おそらく眼球が内出血でも起こしたのだろう。
ゆっくりと徐倫達を降ろして、握ったままだったスカイフィッシュの死体を投げ捨てる。湿地にバイクを停めてアマネ達を見ている男は、どうにもアマネの『やった事』へ対し言葉が出ないようだった。
それもそうだろう。若い女性二人と子供を連れて飛行中のヘリから飛び降りたかと思うと空中へ立ち、それから殆ど一瞬で地上へと降りてきたのだ。どんなスタンド使いであれむしろ驚かない方が驚きである。
承太郎は何故かそこまで驚きはしなかったが。
先程徐倫が神父の居場所を感じ取った時にアマネが感じた感覚が、目の前の男からもしていた。というか神父の傍にあったうちの一つと言うべきか。
男はどこか焦った様子でアマネ達を眺めていたが、その瞼がだんだんと先程のヘリの中でのアマネ達のように下がっていく。しゃがみ込んでいる徐倫へ掴んでいたストールを渡し、アマネはその男へと意識してゆっくり歩み寄った。
「君が、さっきスカイフィッシュを操って俺達を攻撃したのかぁ?」
「あ……うぁ……」
「安心しろぉ。大丈夫。ちゃんと答えるだけでいいんだぁ。ハイかイイエ。緊張する必要も何も無ぇんだぁ」
男が怯えている。戦う前からそんな態度ということは、もしかしたら彼は戦い慣れていないか、スタンドへ目覚めたばかりなのかもしれない。
だとしたら、精神面から責めればこのまま戦わずに済むだろう。
緊張性呼吸不全か喉を押さえて倒れ込んだ男へ、しゃがんで目線を合わせながら笑みを浮かべる。呼吸がしにくくなっていて苦しみ、必死に“本能”が生きようとしている彼に、どこまでアマネの『体質』が利くのか。
「緊張してしまうなぁ。大丈夫。俺の眼を見なさい。よく見て」
「……ぅ……ううっ」
男の瞼が上がって眼に落ち着きが戻ってくる。アマネの眼を見やるその顔へ笑みを深くすれば、男は安心したように深く息を吐いた。
「名前を教えてくれるかぁ?」
「リ――リキエル」
「どうしてここにいたんだぁ? ドライブ?」
「ち、違――神父に、邪魔者である徐倫達を、その、始末してこいと」
やはり神父からの刺客だったらしい。
「彼を、神父を『彼の求める天国』へ押し上げるのは、このリキエルだ。神父はオレの欠けていた心を満たしてくれた……」
「今も?」
「今は――今は……」
リキエルがそろそろとアマネの服を掴む。
「今は、アンタに満たされてる、気がする……」
ヨシ、と内心でガッツポーズを取った。動植物へ好かれる性質は人間にも効いたらしい。たらし込むのとは違うが籠絡した。
今まで人間に対して行なったことはなかったが、理性が邪魔なだけで出来ないことはないらしい。最悪『霧の炎』で幻覚でも掛ければいいかと思っていたが、少しの労力で懐柔できたのは喜ばしいことだ。
ゆっくりと徐倫達を降ろして、握ったままだったスカイフィッシュの死体を投げ捨てる。湿地にバイクを停めてアマネ達を見ている男は、どうにもアマネの『やった事』へ対し言葉が出ないようだった。
それもそうだろう。若い女性二人と子供を連れて飛行中のヘリから飛び降りたかと思うと空中へ立ち、それから殆ど一瞬で地上へと降りてきたのだ。どんなスタンド使いであれむしろ驚かない方が驚きである。
承太郎は何故かそこまで驚きはしなかったが。
先程徐倫が神父の居場所を感じ取った時にアマネが感じた感覚が、目の前の男からもしていた。というか神父の傍にあったうちの一つと言うべきか。
男はどこか焦った様子でアマネ達を眺めていたが、その瞼がだんだんと先程のヘリの中でのアマネ達のように下がっていく。しゃがみ込んでいる徐倫へ掴んでいたストールを渡し、アマネはその男へと意識してゆっくり歩み寄った。
「君が、さっきスカイフィッシュを操って俺達を攻撃したのかぁ?」
「あ……うぁ……」
「安心しろぉ。大丈夫。ちゃんと答えるだけでいいんだぁ。ハイかイイエ。緊張する必要も何も無ぇんだぁ」
男が怯えている。戦う前からそんな態度ということは、もしかしたら彼は戦い慣れていないか、スタンドへ目覚めたばかりなのかもしれない。
だとしたら、精神面から責めればこのまま戦わずに済むだろう。
緊張性呼吸不全か喉を押さえて倒れ込んだ男へ、しゃがんで目線を合わせながら笑みを浮かべる。呼吸がしにくくなっていて苦しみ、必死に“本能”が生きようとしている彼に、どこまでアマネの『体質』が利くのか。
「緊張してしまうなぁ。大丈夫。俺の眼を見なさい。よく見て」
「……ぅ……ううっ」
男の瞼が上がって眼に落ち着きが戻ってくる。アマネの眼を見やるその顔へ笑みを深くすれば、男は安心したように深く息を吐いた。
「名前を教えてくれるかぁ?」
「リ――リキエル」
「どうしてここにいたんだぁ? ドライブ?」
「ち、違――神父に、邪魔者である徐倫達を、その、始末してこいと」
やはり神父からの刺客だったらしい。
「彼を、神父を『彼の求める天国』へ押し上げるのは、このリキエルだ。神父はオレの欠けていた心を満たしてくれた……」
「今も?」
「今は――今は……」
リキエルがそろそろとアマネの服を掴む。
「今は、アンタに満たされてる、気がする……」
ヨシ、と内心でガッツポーズを取った。動植物へ好かれる性質は人間にも効いたらしい。たらし込むのとは違うが籠絡した。
今まで人間に対して行なったことはなかったが、理性が邪魔なだけで出来ないことはないらしい。最悪『霧の炎』で幻覚でも掛ければいいかと思っていたが、少しの労力で懐柔できたのは喜ばしいことだ。