六部
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「ボクが操縦する!」
「ヘリの操縦経験はぁ?」
「本で何度も読んだことならあるよ!」
「……おじさんに任せなさい」
エンポリオから操縦席を奪ってヘリを飛ばす。とはいえ自動操縦が備わっている機体だったので、その設定をしてから不満そうなエンポリオを膝へ乗せて気分だけ味わわせてやる。
このまま順調にいけば『ケープカナベラル』までは海岸線に沿って三十分。やはり渋滞などが無い分陸路よりも速い。
「アマネ。もっと西よ。西へ向かって」
「方角は合ってるぜぇ」
「違うの。『感じるヤツの存在が』……よく分からないんだけど、三、四ヶ所になってるような感覚が」
神父の存在を徐倫が感じるというのは不可解な話である。だがそれに似た感覚を実のところアマネも覚えていた。
すぐ傍の徐倫に、どこかへいるのであろう神父と徐倫の言った三つの感覚。それから遠いところと財団の施設がある方角へそれぞれ一つ。
ただアマネがそれを感じる理由も分からなければ、果たして本当に徐倫と同じモノを感じているのかも分からなかった。
「徐倫、ちょっと寒い。そこの小窓閉じてくんない?」
エルメェスに言われて徐倫が小窓を閉める。それとは逆の、エルメェス側の窓が触っていないのに何故か開いた。
それを視界の端へ納めて、進行方向へ視線を戻したところで眼が霞むのに気づく。霞むというよりは“意図せず瞼が降りてきている”。
瞼の異変に急いで三人を確認すれば、アマネと同じく瞼が閉じてしまっているようだった。徐倫などは血まで出てしまっていて、両手で瞼をこじ開けている。
「ヘリの中へ何かがいるッ! 動き回ってるぞォ!」
「――これかなぁ」
エルメェスが叫ぶのにアマネは無造作に手を伸ばして“何か”を掴んだ。目視出来ない速度でヘリの中を飛び回っていたらしいそれは、アマネの手の中で暫く蠢いていたかと思うと溶解して絶命する。
見覚えがあった。まさかこんなところで遭遇するとは思わなかったが。
「スカイフィッシュ!」
「あ? 何?」
「可愛いぃ! でも敵かよ畜生! 三人とも俺にしがみつけぇ!」
狭く自由の効かないヘリの中で、こんなモノの相手をしている訳にはいかない。不調だと言っている場合でもなく、しがみついてきた三人を抱えてヘリの扉を開けた。操縦者を失った機体が高度を下げていく。
強風が吹き付けてくるのにストールが飛びそうになった。それを掴んでからヘリを飛び出す。
着地する先は地上ではない。高度の確認は忘れた。だがアマネの能力なら問題はない。
「――離れたら落ちるからしっかりしがみついてなさい」
ヘリがアマネの足下へ墜落していく。アマネが“立っている”空中から、眼下へ人の姿が見えた。
「ヘリの操縦経験はぁ?」
「本で何度も読んだことならあるよ!」
「……おじさんに任せなさい」
エンポリオから操縦席を奪ってヘリを飛ばす。とはいえ自動操縦が備わっている機体だったので、その設定をしてから不満そうなエンポリオを膝へ乗せて気分だけ味わわせてやる。
このまま順調にいけば『ケープカナベラル』までは海岸線に沿って三十分。やはり渋滞などが無い分陸路よりも速い。
「アマネ。もっと西よ。西へ向かって」
「方角は合ってるぜぇ」
「違うの。『感じるヤツの存在が』……よく分からないんだけど、三、四ヶ所になってるような感覚が」
神父の存在を徐倫が感じるというのは不可解な話である。だがそれに似た感覚を実のところアマネも覚えていた。
すぐ傍の徐倫に、どこかへいるのであろう神父と徐倫の言った三つの感覚。それから遠いところと財団の施設がある方角へそれぞれ一つ。
ただアマネがそれを感じる理由も分からなければ、果たして本当に徐倫と同じモノを感じているのかも分からなかった。
「徐倫、ちょっと寒い。そこの小窓閉じてくんない?」
エルメェスに言われて徐倫が小窓を閉める。それとは逆の、エルメェス側の窓が触っていないのに何故か開いた。
それを視界の端へ納めて、進行方向へ視線を戻したところで眼が霞むのに気づく。霞むというよりは“意図せず瞼が降りてきている”。
瞼の異変に急いで三人を確認すれば、アマネと同じく瞼が閉じてしまっているようだった。徐倫などは血まで出てしまっていて、両手で瞼をこじ開けている。
「ヘリの中へ何かがいるッ! 動き回ってるぞォ!」
「――これかなぁ」
エルメェスが叫ぶのにアマネは無造作に手を伸ばして“何か”を掴んだ。目視出来ない速度でヘリの中を飛び回っていたらしいそれは、アマネの手の中で暫く蠢いていたかと思うと溶解して絶命する。
見覚えがあった。まさかこんなところで遭遇するとは思わなかったが。
「スカイフィッシュ!」
「あ? 何?」
「可愛いぃ! でも敵かよ畜生! 三人とも俺にしがみつけぇ!」
狭く自由の効かないヘリの中で、こんなモノの相手をしている訳にはいかない。不調だと言っている場合でもなく、しがみついてきた三人を抱えてヘリの扉を開けた。操縦者を失った機体が高度を下げていく。
強風が吹き付けてくるのにストールが飛びそうになった。それを掴んでからヘリを飛び出す。
着地する先は地上ではない。高度の確認は忘れた。だがアマネの能力なら問題はない。
「――離れたら落ちるからしっかりしがみついてなさい」
ヘリがアマネの足下へ墜落していく。アマネが“立っている”空中から、眼下へ人の姿が見えた。