六部
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F・F視点
「これがあたしなの。さよならを言うあたしなのよ」
そう言って、F・Fは徐倫へ別れを告げた筈だった。
眼を開けるとFFは見覚えのない真っ青な部屋へいて、刑務所の中で見たどんな椅子よりも綺麗な椅子へ座っている。目の前にはテーブルがあって、そのテーブルの更に向こうへは青いソファ。
そのソファへ一人の男が寝そべっている。
「……あんた、アマネ?」
黒い長髪にやせた体格。徐倫の知り合いだといって、FFの頭を撫でてくれた男がそこにいた。だがその雰囲気は頭を撫でてくれた優しいものではなく、それ故にFFはその男が『アマネ』だと素直に思えない。
閉じられていた眼が開かれる。瞼の下から現れたそれは鈍い金色をしていた。
「……『魂』と『知性』。君にとっての命の答えはそれだったようだなぁ」
「? 何言ってんの?」
男が肘掛けに上げていた足を降ろして向き直る。
「俺はイブリス。斑鳩アマネにとってのスタンドのようなものだぁ。正確には『ペルソナ』って言うのだがな」
アマネが『ペルソナ使い』と言っていたのを思い出す。心の海をさまよう仮面を被る者であり、スタンドとは違うと言っていた。その説明では全く分からなかったが、今目の前にいる『男』を見てFFは何となく理解する。
つまりより感情を持ち得たスタンド。もしくはFFのようなもの。
「おめでとう。君は命の答えを手に入れた」
「……それってイイコト?」
「良いことであり辛いことでもある。オレの本体はそれへ気付かないから困る。君にとってはきっと良いことだろう」
「ならいいや」
「ふ――君ほどオレの本体が明るければもっと単純だったのですがね」
目の前のテーブルにストローの差された紙コップが現れる。前は水分が必要で堪らなかったというのに、今はあまり飲みたいとは思わなかった。
「空条徐倫と空条承太郎を助けてくれてありがとう」
「友達だもん」
「そうか。なら“次”も友達を大切にするといい」
男がFFの背後を指差す。振り返ると青い扉が一つ自立して存在していた。
椅子から立ち上がってそれを眺めて、テーブル越しの男を見る。
「あれはどこに繋がってるの?」
「どこがいい?」
「……徐倫たちのとこ」
「ならそう信じていきなさい。大切なことは君の心へしっかりと刻み込まれている」
テーブルの上の紙コップを手に取る。ストローへ口を付ければ初めて飲むようなとても美味しい味がした。
ボロボロと涙が溢れる。水分が勿体ないと思うのだけれど、泣きやむことは出来なかった。
「……好きなだけ泣いていくといいよ。それからでもあの扉を潜るのは遅くない」
「……うん」
椅子に座り直す。どれだけ泣いてももう水分不足になる気がしなかった。
「これがあたしなの。さよならを言うあたしなのよ」
そう言って、F・Fは徐倫へ別れを告げた筈だった。
眼を開けるとFFは見覚えのない真っ青な部屋へいて、刑務所の中で見たどんな椅子よりも綺麗な椅子へ座っている。目の前にはテーブルがあって、そのテーブルの更に向こうへは青いソファ。
そのソファへ一人の男が寝そべっている。
「……あんた、アマネ?」
黒い長髪にやせた体格。徐倫の知り合いだといって、FFの頭を撫でてくれた男がそこにいた。だがその雰囲気は頭を撫でてくれた優しいものではなく、それ故にFFはその男が『アマネ』だと素直に思えない。
閉じられていた眼が開かれる。瞼の下から現れたそれは鈍い金色をしていた。
「……『魂』と『知性』。君にとっての命の答えはそれだったようだなぁ」
「? 何言ってんの?」
男が肘掛けに上げていた足を降ろして向き直る。
「俺はイブリス。斑鳩アマネにとってのスタンドのようなものだぁ。正確には『ペルソナ』って言うのだがな」
アマネが『ペルソナ使い』と言っていたのを思い出す。心の海をさまよう仮面を被る者であり、スタンドとは違うと言っていた。その説明では全く分からなかったが、今目の前にいる『男』を見てFFは何となく理解する。
つまりより感情を持ち得たスタンド。もしくはFFのようなもの。
「おめでとう。君は命の答えを手に入れた」
「……それってイイコト?」
「良いことであり辛いことでもある。オレの本体はそれへ気付かないから困る。君にとってはきっと良いことだろう」
「ならいいや」
「ふ――君ほどオレの本体が明るければもっと単純だったのですがね」
目の前のテーブルにストローの差された紙コップが現れる。前は水分が必要で堪らなかったというのに、今はあまり飲みたいとは思わなかった。
「空条徐倫と空条承太郎を助けてくれてありがとう」
「友達だもん」
「そうか。なら“次”も友達を大切にするといい」
男がFFの背後を指差す。振り返ると青い扉が一つ自立して存在していた。
椅子から立ち上がってそれを眺めて、テーブル越しの男を見る。
「あれはどこに繋がってるの?」
「どこがいい?」
「……徐倫たちのとこ」
「ならそう信じていきなさい。大切なことは君の心へしっかりと刻み込まれている」
テーブルの上の紙コップを手に取る。ストローへ口を付ければ初めて飲むようなとても美味しい味がした。
ボロボロと涙が溢れる。水分が勿体ないと思うのだけれど、泣きやむことは出来なかった。
「……好きなだけ泣いていくといいよ。それからでもあの扉を潜るのは遅くない」
「……うん」
椅子に座り直す。どれだけ泣いてももう水分不足になる気がしなかった。