六部
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花京院を殺した存在のことを、アマネは又聞きや財団の資料でしか知らない。
百年前の吸血鬼。
人をやめることで永遠の命や人在らざる力を手に入れた男。全てに勝利しようとしていた人でなし。
『化け物』は空条承太郎という『人』へ倒された。化け物は人にしか倒せない。
だからアマネは『DIO』を羨んでもいる。アマネという『化け物』は誰も未だに殺してくれないからだ。
ただ、『花京院』を、あの孤独であった寂しげな彼に、短い間とはいえより孤独を味わわせたのだろう『DIO』をアマネは許せない。
その為にはアマネ自身が孤独でも構わなかった。彼の代わりにあの寂しげだった『彼』が、孤独にならないようにあって欲しいと覚悟した。
自分は孤独でいい。孤独の辛さだってもう知っているから。
でも承太郎は、そんな辛さを知らなくていいはずだ。
陸地の茂みから徐倫達が立ち上がるのが見えて、アマネはゆっくりとボートから降りて二人の元へ向かった。懲罰房棟の方角から霧が出ている。
「二人とも。赤ん坊の回収は出来たかぁ?」
「出来たわ。一応ね」
そう言って振り返った徐倫の肩へ緑の赤ん坊がしがみついていた。どうも徐倫の肩にある遺伝の星形のアザへ興味があるらしい。
アマネが手を差し出すと指先を振り返り、小さな手を伸ばしてくるので抱き取った。緑色で人間らしからぬ顔だ。肌の質感もどうも人間のそれとは違うが、重さや動きは赤ん坊のそれである。
「徐倫の小せぇ頃を思い出すなぁ。お前も承太郎のアザをずっと触ってたんだぜぇ」
「……覚えてないわ。っていうか、父さんに痣があるっていうのも初めて知った」
「お前の家系は代々左肩に星形のアザをもって生まれる。静ちゃんは養子だから無ぇけど、仗助君やジョルノ君にもあるぜぇ」
「待って。誰と誰と誰?」
「空条の叔母と叔父と、えーと、高祖叔父?」
杜王町で出会った青年と養子になった赤ん坊と、イタリアにいる親戚の青年達のことすら承太郎は話していなかったらしい。スタンド使いになったのもこの刑務所に入ってからである徐倫に、そこまで徹底して黙っていたのか。
アメリカと日本とで親戚付き合いすら難しいから投げた可能性もある。いずれにせよ、承太郎はどこまでも因縁に関する情報を徐倫へは与えていなかった。
腕の中で赤ん坊がアマネの目に向かって手を伸ばしてくる。下を向いてその手へ目元を触れさせた。
この赤ん坊にも、同じように星形のアザがある。そして触って分かった。
「『友人の骨』というところが不可解だけれど、ジョースター家の殆どに会ってるから分かったぜぇ。お前は――『DIO』だね?」
百年前の吸血鬼。
人をやめることで永遠の命や人在らざる力を手に入れた男。全てに勝利しようとしていた人でなし。
『化け物』は空条承太郎という『人』へ倒された。化け物は人にしか倒せない。
だからアマネは『DIO』を羨んでもいる。アマネという『化け物』は誰も未だに殺してくれないからだ。
ただ、『花京院』を、あの孤独であった寂しげな彼に、短い間とはいえより孤独を味わわせたのだろう『DIO』をアマネは許せない。
その為にはアマネ自身が孤独でも構わなかった。彼の代わりにあの寂しげだった『彼』が、孤独にならないようにあって欲しいと覚悟した。
自分は孤独でいい。孤独の辛さだってもう知っているから。
でも承太郎は、そんな辛さを知らなくていいはずだ。
陸地の茂みから徐倫達が立ち上がるのが見えて、アマネはゆっくりとボートから降りて二人の元へ向かった。懲罰房棟の方角から霧が出ている。
「二人とも。赤ん坊の回収は出来たかぁ?」
「出来たわ。一応ね」
そう言って振り返った徐倫の肩へ緑の赤ん坊がしがみついていた。どうも徐倫の肩にある遺伝の星形のアザへ興味があるらしい。
アマネが手を差し出すと指先を振り返り、小さな手を伸ばしてくるので抱き取った。緑色で人間らしからぬ顔だ。肌の質感もどうも人間のそれとは違うが、重さや動きは赤ん坊のそれである。
「徐倫の小せぇ頃を思い出すなぁ。お前も承太郎のアザをずっと触ってたんだぜぇ」
「……覚えてないわ。っていうか、父さんに痣があるっていうのも初めて知った」
「お前の家系は代々左肩に星形のアザをもって生まれる。静ちゃんは養子だから無ぇけど、仗助君やジョルノ君にもあるぜぇ」
「待って。誰と誰と誰?」
「空条の叔母と叔父と、えーと、高祖叔父?」
杜王町で出会った青年と養子になった赤ん坊と、イタリアにいる親戚の青年達のことすら承太郎は話していなかったらしい。スタンド使いになったのもこの刑務所に入ってからである徐倫に、そこまで徹底して黙っていたのか。
アメリカと日本とで親戚付き合いすら難しいから投げた可能性もある。いずれにせよ、承太郎はどこまでも因縁に関する情報を徐倫へは与えていなかった。
腕の中で赤ん坊がアマネの目に向かって手を伸ばしてくる。下を向いてその手へ目元を触れさせた。
この赤ん坊にも、同じように星形のアザがある。そして触って分かった。
「『友人の骨』というところが不可解だけれど、ジョースター家の殆どに会ってるから分かったぜぇ。お前は――『DIO』だね?」