六部
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アナスイがゆっくりとボートを進ませる。巡回している看守達へ会う前に比べると遅いが、それでも離れられてはいた。
『霧の炎』で看守達へアマネ達とボートの姿を見えなくさせたのである。もう一匹乗っているスタンドは一般人に見えないし、見えたところでアマネ達の仲間でもないヤツなので構わなかった。
看守達は目の前にあるというのにボートを認識せず、水面に立った波もワニか魚によるものだと思い込んで去っていったのである。代償はアマネがまた吐血したことだが、生き延びるのにその程度の事を気にしてはいられない。
立つ波をワニによるものだと勘違いさせる為に、ゆっくりと進むボートの上でアマネは眼を眇めて乗っているスタンドを見やる。
ただついてくるそのスタンドが怪しくて仕方がない。一度は『実』を奪おうとしたがアマネによって失敗に終わった。普通の自動追跡型であれば命令内容へ忠実にするから再度奪おうと挑戦するだろうが、今のところそんな様子もない。
ここへいるということはまだF・Fも本体を倒せていないのだろう。
「アナスイ君。徐倫。悪ぃけどそのスタンドに……。――?」
二人へ声を掛けたつもりが、二人は聞こえていないのか振り返りもしなかった。アマネの地声は大きいしゆっくり進むボートの推進力である風の音へも負けないように喋ったつもりである。
まさか声が出なくなる程衰弱したのかと喉へ手を当てた。だがそうして動ける時点でそこまで衰弱している筈がないと気付く。確かに貧血気味だが、それも体内に灯した『雲の炎』で増やしている。
眼を眇めた先で、ボンヤリとしか見えないスタンドが身動いた気がした。肩へ掛けていたストールに、いつの間にか溶けたような穴がいくつも開いている。驚いて顔を上げれば、何かがベチャリと頬へ当たった。
手を伸ばして拭った手を見れば、ストールと同じように穴が開いている。
つまりアマネは現在何者かからの攻撃を受けているのだろう。敵は単純に考えれば勝手に付いてきているスタンドしかいない。
頬の穴を『晴の炎』で治して立ち上がる。
「アマネ? どうしたの?」
徐倫が不思議そうに尋ねてくるのに教えようとして、声が出ないことを思い出した。おそらく声が出ないのもこのスタンドによるものなのだろう。
全く中年を酷使するなと思ったが、子供を守るのは親の役目だ。疲れたとは言っていられない。
召喚器を取り出すが銃口は自身のこめかみではなくスタンドへ向ける。
見えない相手を敵にすると本当に面倒だ。
『霧の炎』で看守達へアマネ達とボートの姿を見えなくさせたのである。もう一匹乗っているスタンドは一般人に見えないし、見えたところでアマネ達の仲間でもないヤツなので構わなかった。
看守達は目の前にあるというのにボートを認識せず、水面に立った波もワニか魚によるものだと思い込んで去っていったのである。代償はアマネがまた吐血したことだが、生き延びるのにその程度の事を気にしてはいられない。
立つ波をワニによるものだと勘違いさせる為に、ゆっくりと進むボートの上でアマネは眼を眇めて乗っているスタンドを見やる。
ただついてくるそのスタンドが怪しくて仕方がない。一度は『実』を奪おうとしたがアマネによって失敗に終わった。普通の自動追跡型であれば命令内容へ忠実にするから再度奪おうと挑戦するだろうが、今のところそんな様子もない。
ここへいるということはまだF・Fも本体を倒せていないのだろう。
「アナスイ君。徐倫。悪ぃけどそのスタンドに……。――?」
二人へ声を掛けたつもりが、二人は聞こえていないのか振り返りもしなかった。アマネの地声は大きいしゆっくり進むボートの推進力である風の音へも負けないように喋ったつもりである。
まさか声が出なくなる程衰弱したのかと喉へ手を当てた。だがそうして動ける時点でそこまで衰弱している筈がないと気付く。確かに貧血気味だが、それも体内に灯した『雲の炎』で増やしている。
眼を眇めた先で、ボンヤリとしか見えないスタンドが身動いた気がした。肩へ掛けていたストールに、いつの間にか溶けたような穴がいくつも開いている。驚いて顔を上げれば、何かがベチャリと頬へ当たった。
手を伸ばして拭った手を見れば、ストールと同じように穴が開いている。
つまりアマネは現在何者かからの攻撃を受けているのだろう。敵は単純に考えれば勝手に付いてきているスタンドしかいない。
頬の穴を『晴の炎』で治して立ち上がる。
「アマネ? どうしたの?」
徐倫が不思議そうに尋ねてくるのに教えようとして、声が出ないことを思い出した。おそらく声が出ないのもこのスタンドによるものなのだろう。
全く中年を酷使するなと思ったが、子供を守るのは親の役目だ。疲れたとは言っていられない。
召喚器を取り出すが銃口は自身のこめかみではなくスタンドへ向ける。
見えない相手を敵にすると本当に面倒だ。