六部
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
徐倫視点
血を吐いて、今も鼻血を拭いながらアマネが取り返した『実』を差し出してくる。ケンゾーと戦った時も思ったが、いったいどうやってスタンドの身を透過し、自分への攻撃を避けているのかも分からない。
スタンド使いではなく『ペルソナ使い』だと言っていた。未だにその意味が徐倫には理解出来ていなかったが、彼の息子であるトムは『魔法使い』だ。
小さい頃、幼なじみだったトムが箒で空を飛んだのを覚えている。他にも遠くのモノを引き寄せたり宙へ浮かせたりしていた。幼い徐倫はそれを言われるがままに『トムしかできない魔法』だと受け入れていたけれど、血が繋がらないとはいえその事を知っていただろう養父であるアマネも、何かしらの秘密を抱えていてもおかしくはなかったのかも知れない。
父の承太郎のように。
むしろ父の知り合いであったからこそ、徐倫より承太郎に近かった可能性もある。知っていて全てを隠していた。それを今、承太郎と同じくさらけ出している。
『実』を受け取ればアマネは大きく深呼吸し、膝へ手を突いていた身体を起こした。鼻血を拭うアマネへ敵のスタンドが近付くのに、徐倫は足を振り上げて蹴り飛ばす。
いつの間にかいなくなっていた戦士風の男のスタンドだろう。『実』を取り返しに来たのだろうが、それが失敗した今も逃げる様子はなかった。だが攻撃してくる様子もない。
不気味だと思うが深く考えている時間もなかった。刑務所側の者が戻ってこない看守を異変に思い、懲罰房の異常事態へ気づいてもおかしくはない。そうなれば当然敵のホワイトスネイクへもバレてしまう。
アナスイがF・Fへ房棟内にいるのだろう本体の戦士風の男暗殺を頼む。
「おまえは『本体』を見つけろ。それが手っとり早い。ヤツを『暗殺』してくるんだ」
「じゃあ俺も――」
「アンタも徐倫と一緒に行ってよ」
徐倫は身体から生えてくる植物を死滅させる為にも太陽から離れなければならず、それは同じく感染しているアマネも変わらない。F・Fへの同行を断られたアマネが、困ったように微笑んでF・Fの頭を撫でる。
「足手まといになっちまってゴメンなぁ」
「――頭撫でられんの、ハジメテだ」
アマネが小さく眼を見開いて、優しく細めていた。口や鼻の周りに拭いきれていない血の痕をこびりつかせていても、アマネの雰囲気は誰にでも優しい。
最後に優しく頭を叩いてアマネが徐倫達の元へ向かってくる。
「徐倫?」
「……ううん。なんでもない」
『DアンG』というのが本体の名前らしいスタンドは平然と付いてきていて、徐倫は何となくもう一度ソイツを蹴り飛ばしておいた。
血を吐いて、今も鼻血を拭いながらアマネが取り返した『実』を差し出してくる。ケンゾーと戦った時も思ったが、いったいどうやってスタンドの身を透過し、自分への攻撃を避けているのかも分からない。
スタンド使いではなく『ペルソナ使い』だと言っていた。未だにその意味が徐倫には理解出来ていなかったが、彼の息子であるトムは『魔法使い』だ。
小さい頃、幼なじみだったトムが箒で空を飛んだのを覚えている。他にも遠くのモノを引き寄せたり宙へ浮かせたりしていた。幼い徐倫はそれを言われるがままに『トムしかできない魔法』だと受け入れていたけれど、血が繋がらないとはいえその事を知っていただろう養父であるアマネも、何かしらの秘密を抱えていてもおかしくはなかったのかも知れない。
父の承太郎のように。
むしろ父の知り合いであったからこそ、徐倫より承太郎に近かった可能性もある。知っていて全てを隠していた。それを今、承太郎と同じくさらけ出している。
『実』を受け取ればアマネは大きく深呼吸し、膝へ手を突いていた身体を起こした。鼻血を拭うアマネへ敵のスタンドが近付くのに、徐倫は足を振り上げて蹴り飛ばす。
いつの間にかいなくなっていた戦士風の男のスタンドだろう。『実』を取り返しに来たのだろうが、それが失敗した今も逃げる様子はなかった。だが攻撃してくる様子もない。
不気味だと思うが深く考えている時間もなかった。刑務所側の者が戻ってこない看守を異変に思い、懲罰房の異常事態へ気づいてもおかしくはない。そうなれば当然敵のホワイトスネイクへもバレてしまう。
アナスイがF・Fへ房棟内にいるのだろう本体の戦士風の男暗殺を頼む。
「おまえは『本体』を見つけろ。それが手っとり早い。ヤツを『暗殺』してくるんだ」
「じゃあ俺も――」
「アンタも徐倫と一緒に行ってよ」
徐倫は身体から生えてくる植物を死滅させる為にも太陽から離れなければならず、それは同じく感染しているアマネも変わらない。F・Fへの同行を断られたアマネが、困ったように微笑んでF・Fの頭を撫でる。
「足手まといになっちまってゴメンなぁ」
「――頭撫でられんの、ハジメテだ」
アマネが小さく眼を見開いて、優しく細めていた。口や鼻の周りに拭いきれていない血の痕をこびりつかせていても、アマネの雰囲気は誰にでも優しい。
最後に優しく頭を叩いてアマネが徐倫達の元へ向かってくる。
「徐倫?」
「……ううん。なんでもない」
『DアンG』というのが本体の名前らしいスタンドは平然と付いてきていて、徐倫は何となくもう一度ソイツを蹴り飛ばしておいた。