六部
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「――フッ、ごふ」
徐倫達三人を抱えて、懲罰房棟の建物の陰になる東側へと『転移』した。途端に内蔵からせり上がってきた血を今度は我慢出来ずに吐き出す。
「アマネ!?」
「アマネさん!?」
「大丈夫!?」
一瞬で外へ出たことへ驚いていた三人が、いきなり血を吐いたアマネへ意識を向ける。その三人へ軽く手を振って大丈夫だと示した。
「まだ全回復してねぇから色々酷使すると辛ぇだけだぁ。大丈夫」
「大丈夫じゃあないでしょ」
血の量は唾液と混ざってしまって多く見えるだけで、本当に問題はない。問題があるとすれば内側の回復に『晴の炎』と『虹色の光』の両方を使っているというのに回復が追いついていないということと、その能力を常時使っているせいで、他の能力を使おうとするとすぐに吐くことだけだ。
出てくる前の房棟で、アナスイへ頼んで見つけた囚人にスタンド能力を使ってもらったのもその為ではある。
おそらく房棟内へ隠れていたであろう残りのスタンド使いを倒すのに、あの囚人には生きたまま罠となってもらった。本当ならアマネが幻覚をかけてそうしようとも思ったのだが、それをして『転移』をしようものなら血を吐くだけでは済まなかったかも知れない。
徐倫とアマネから生えていた植物は少しずつ枯れ落ちている。このまま日に当たらず夜になれば完全に消滅しそうだ。枯れなかった場合、最悪徐倫だけは治してやるつもりである。
「本当は何処かの屋内へ行けたら良かったんだが、刑務所の中で安全な場所が分かんねぇからなぁ。ごめん」
「いや、貴方は充分助けてくれた」
「――徐倫!」
アナスイの謝礼を遮る様に叫んでしまったが、徐倫が持っていた『実』が徐倫の手を離れて宙に浮いたほうが問題だ。振り返った徐倫達が一気に警戒して『実』を見やる。
「スタンドだッ! 敵スタンドだッ! 『実』を盗られたッ」
「飲み込みやがったッ」
その声に眼を眇めて『実』の辺りを凝視して、やっとそこへ何者かのスタンドがいることを理解した。アマネは眼を眇めないと見えないのだから困る。
「絶対に渡さない! その『緑色の子供』はッ! 吐き出すんだよコラァー! 絶対に吐き出させてやる!」
徐倫がスタンドを蹴り飛ばしてもF・Fが撃ってもそのスタンドは『実』を吐き出さない。
吐血の余韻だった咳から呼吸を整えながら、アマネは宙に浮いている『実』へと近付いて手を伸ばした。スタンドの体を『拒絶』して、徐倫達から見れば透過したであろう手で『実』を取り返す。
ボタボタと今度は鼻血が垂れた。
「……ちゃんと、持ってなさい徐倫。奪われねぇように」
徐倫達三人を抱えて、懲罰房棟の建物の陰になる東側へと『転移』した。途端に内蔵からせり上がってきた血を今度は我慢出来ずに吐き出す。
「アマネ!?」
「アマネさん!?」
「大丈夫!?」
一瞬で外へ出たことへ驚いていた三人が、いきなり血を吐いたアマネへ意識を向ける。その三人へ軽く手を振って大丈夫だと示した。
「まだ全回復してねぇから色々酷使すると辛ぇだけだぁ。大丈夫」
「大丈夫じゃあないでしょ」
血の量は唾液と混ざってしまって多く見えるだけで、本当に問題はない。問題があるとすれば内側の回復に『晴の炎』と『虹色の光』の両方を使っているというのに回復が追いついていないということと、その能力を常時使っているせいで、他の能力を使おうとするとすぐに吐くことだけだ。
出てくる前の房棟で、アナスイへ頼んで見つけた囚人にスタンド能力を使ってもらったのもその為ではある。
おそらく房棟内へ隠れていたであろう残りのスタンド使いを倒すのに、あの囚人には生きたまま罠となってもらった。本当ならアマネが幻覚をかけてそうしようとも思ったのだが、それをして『転移』をしようものなら血を吐くだけでは済まなかったかも知れない。
徐倫とアマネから生えていた植物は少しずつ枯れ落ちている。このまま日に当たらず夜になれば完全に消滅しそうだ。枯れなかった場合、最悪徐倫だけは治してやるつもりである。
「本当は何処かの屋内へ行けたら良かったんだが、刑務所の中で安全な場所が分かんねぇからなぁ。ごめん」
「いや、貴方は充分助けてくれた」
「――徐倫!」
アナスイの謝礼を遮る様に叫んでしまったが、徐倫が持っていた『実』が徐倫の手を離れて宙に浮いたほうが問題だ。振り返った徐倫達が一気に警戒して『実』を見やる。
「スタンドだッ! 敵スタンドだッ! 『実』を盗られたッ」
「飲み込みやがったッ」
その声に眼を眇めて『実』の辺りを凝視して、やっとそこへ何者かのスタンドがいることを理解した。アマネは眼を眇めないと見えないのだから困る。
「絶対に渡さない! その『緑色の子供』はッ! 吐き出すんだよコラァー! 絶対に吐き出させてやる!」
徐倫がスタンドを蹴り飛ばしてもF・Fが撃ってもそのスタンドは『実』を吐き出さない。
吐血の余韻だった咳から呼吸を整えながら、アマネは宙に浮いている『実』へと近付いて手を伸ばした。スタンドの体を『拒絶』して、徐倫達から見れば透過したであろう手で『実』を取り返す。
ボタボタと今度は鼻血が垂れた。
「……ちゃんと、持ってなさい徐倫。奪われねぇように」