六部
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落下防止の手すりの隙間から、囚人服を着た小男が顔を覗かせていた。その手には何かが握られている。
「あるッ! 手に『骨』を握っているッ!」
徐倫にスタンド能力で捕まっているらしい小男は、何故か人間と言うより軟体動物のような動きで手すりの向こうへ逃げようとしていた。右腕の皮膚がズルリと剥けるのが見える。
コイツもまたスタンド使いなのかとアマネが手すりの上へと転移すれば、階段のところからF・Fが小男の足を撃った。その痛みには人間らしい悲鳴を上げているが、逃げる姿は人間のそれではない。
水中を魚が泳ぐように身体をくねらせ逃げていく。破れた服の下で歪に隆起した背骨が蠢いていた。背骨というよりは側根の伸びた木の根の様である。
階段を上がってきた徐倫達がそれに近付こうとするのを手を伸ばして制した。
「迂闊に触んなぁ。アレはもう“人”じゃねぇ」
「人じゃない?」
壁際の日が当たっている場所へそれが向かっていく。両手を伸ばして日の光を全身へ浴びようとしている男は既に“小”男ではなくなっており、木の根にも似た背骨が伸びたことでその身体も伸びていた。
振り返った男の顔はもう、人のそれではない。
「なんだこいつはぁあああああああ!?」
口と鼻の穴が根と茎の境目だとばかりに成長している木のような物。かろうじて無事な舌が意味もなく揺れており、眼球も何かの花の蕾の様に遠望して膨れ上がっていた。
これはスタンド能力であると考えるより、何者かのスタンド能力の影響だと考える方がいい。ズルリと眼窩から成長して伸びた蕾が見る見るうちに膨らんで開花し、直後男の頭部が破裂し周囲に脳漿とも違う物が飛び散った。
「……『種』?」
飛び散って足下へ転がってきた礫の様な物を拾い上げる。アナスイが同じように拾おうとするのは止めさせて観察すれば、材質的には『種』というより『骨』に近かった。つまりこの男を植物にしたのは、俄には信じられないが男が持っていた『骨』である可能性がある。
敵は『骨』を利用し何者かを復活させようとしていた。それに失敗して『骨』が勝手に動き回っているというのが徐倫の話であったが、その『復活』という行為自体は“失敗していない”のだとしたら。
つまり『骨』は養分を求めて人へ寄生し植物として成長した。
周囲を見回せば、倒れていたはずの囚人や看守達の姿も挙って植物へと変貌している。
『種』を持っていた手を振り返ると、種が手のひらへと潜り込もうとしていた。というより既に半分以上潜り込んで芽が伸びている。
「――お前達、植物と俺から離れなさい」
「あるッ! 手に『骨』を握っているッ!」
徐倫にスタンド能力で捕まっているらしい小男は、何故か人間と言うより軟体動物のような動きで手すりの向こうへ逃げようとしていた。右腕の皮膚がズルリと剥けるのが見える。
コイツもまたスタンド使いなのかとアマネが手すりの上へと転移すれば、階段のところからF・Fが小男の足を撃った。その痛みには人間らしい悲鳴を上げているが、逃げる姿は人間のそれではない。
水中を魚が泳ぐように身体をくねらせ逃げていく。破れた服の下で歪に隆起した背骨が蠢いていた。背骨というよりは側根の伸びた木の根の様である。
階段を上がってきた徐倫達がそれに近付こうとするのを手を伸ばして制した。
「迂闊に触んなぁ。アレはもう“人”じゃねぇ」
「人じゃない?」
壁際の日が当たっている場所へそれが向かっていく。両手を伸ばして日の光を全身へ浴びようとしている男は既に“小”男ではなくなっており、木の根にも似た背骨が伸びたことでその身体も伸びていた。
振り返った男の顔はもう、人のそれではない。
「なんだこいつはぁあああああああ!?」
口と鼻の穴が根と茎の境目だとばかりに成長している木のような物。かろうじて無事な舌が意味もなく揺れており、眼球も何かの花の蕾の様に遠望して膨れ上がっていた。
これはスタンド能力であると考えるより、何者かのスタンド能力の影響だと考える方がいい。ズルリと眼窩から成長して伸びた蕾が見る見るうちに膨らんで開花し、直後男の頭部が破裂し周囲に脳漿とも違う物が飛び散った。
「……『種』?」
飛び散って足下へ転がってきた礫の様な物を拾い上げる。アナスイが同じように拾おうとするのは止めさせて観察すれば、材質的には『種』というより『骨』に近かった。つまりこの男を植物にしたのは、俄には信じられないが男が持っていた『骨』である可能性がある。
敵は『骨』を利用し何者かを復活させようとしていた。それに失敗して『骨』が勝手に動き回っているというのが徐倫の話であったが、その『復活』という行為自体は“失敗していない”のだとしたら。
つまり『骨』は養分を求めて人へ寄生し植物として成長した。
周囲を見回せば、倒れていたはずの囚人や看守達の姿も挙って植物へと変貌している。
『種』を持っていた手を振り返ると、種が手のひらへと潜り込もうとしていた。というより既に半分以上潜り込んで芽が伸びている。
「――お前達、植物と俺から離れなさい」