六部
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伸ばせば手の届く距離、つまり射程範囲へ入ったアマネにケンゾーが己の勝ちを確信して左手を突き出してきた。わずかに開いたアマネの口を狙った物であったらしいが、アマネは気にせず左手のナイフをおもむろに前へと突き出し返す。
「……な、なッ――」
ケンゾーの胸部へ突き刺さったナイフの刀身に血が滴る。逆にアマネの顔面を狙って突き出されていたケンゾーの手も、アマネの顔へと突き刺さっていた。だがそれだけだ。
突き刺さっているだけでそこには何もないように“貫通”している。
後ろで徐倫達も驚いているようだった。確かに知り合いのおじさんの顔を手が透過したら驚くだろう。アマネ当人からすれば、ただ『選択』して拒絶しただけである。
「俺はアンタのスタンド能力は分かんねぇ。そもそもスタンド使いじゃねぇんだよ、俺」
「ス――スタンド使いじゃあ、ない?」
「だから正直徐倫達のスタンドも見えねぇ。この前やっとスタープラチナの姿をちゃんと目視出来たくらいだしなぁ。でもまぁ、問題は無ぇ」
ナイフを抜いて逆手に持ち直し、顔を透過していたケンゾーの手首を掴む。それから右手に持っていた銃の銃口をケンゾーの額へと押し当てた。
瞠目したケンゾーはしかし、何を思ったのか嬉しそうに笑みを浮かべる。
「『風水』の叡智は絶対じゃ。わしはこの『方角』では絶対に死なん!」
いきなり風水とか言い出されても困るだけなのだが。
風水と言えば中国の運を操る方角術だった筈である。物事には全てに吉兆と絡む方角が存在し、それを踏まえて建物を建てたり土地を生かすことで幸運を手に入れる占術的なもの。星の位置で占う占星術にも似通った点があったはずだ。
つまりこのケンゾーという男は、こうして銃を突きつけられていてもその突きつけられている額は『凶の方角』ではないから大丈夫だとでもいいたいのか。
「それって『俺』にも効くのかぁ?」
引き金を引く。額を抉るはずだった銃弾は必死にのけぞったケンゾーの頭部を掠ってケンゾーの背後へと流れていった。ケンゾーが銃弾の掠ったことで血が吹き出た額の下でニヤリと笑う。
そのケンゾーの動きが止まった。
開いていた手で、恐る恐るといったように背中へ手を伸ばすケンゾーに掴んでいた手を離してやる。膝から崩れ落ちたケンゾーが呆然と背中から腹へ貫通した穴を確かめた。
その穴を確かめるケンゾーのこめかみを銃弾が貫通して風通しを良くする。
銃の背で自分の肩を軽く叩く。スタンドに頼ってばかりだから敵の技量や能力を見誤るのだ。
アマネは一度も自分の銃が『ただの銃』だとも『能力は一つ』とも言っていない。幻覚製の銃弾はアマネが望むまで勢いは消えないし、第八の炎で何処へでも転移出来る。
「一カ所からの攻撃か効かねぇなら、全方向から攻めりゃどれかは当たるだろぉ。それに凶の方角は一カ所だったとしても大凶や末吉の方角だってあるし、小せぇ怪我だって致命傷になる」
ずるりと倒れるケンゾーにアマネは踵を返した。
「……な、なッ――」
ケンゾーの胸部へ突き刺さったナイフの刀身に血が滴る。逆にアマネの顔面を狙って突き出されていたケンゾーの手も、アマネの顔へと突き刺さっていた。だがそれだけだ。
突き刺さっているだけでそこには何もないように“貫通”している。
後ろで徐倫達も驚いているようだった。確かに知り合いのおじさんの顔を手が透過したら驚くだろう。アマネ当人からすれば、ただ『選択』して拒絶しただけである。
「俺はアンタのスタンド能力は分かんねぇ。そもそもスタンド使いじゃねぇんだよ、俺」
「ス――スタンド使いじゃあ、ない?」
「だから正直徐倫達のスタンドも見えねぇ。この前やっとスタープラチナの姿をちゃんと目視出来たくらいだしなぁ。でもまぁ、問題は無ぇ」
ナイフを抜いて逆手に持ち直し、顔を透過していたケンゾーの手首を掴む。それから右手に持っていた銃の銃口をケンゾーの額へと押し当てた。
瞠目したケンゾーはしかし、何を思ったのか嬉しそうに笑みを浮かべる。
「『風水』の叡智は絶対じゃ。わしはこの『方角』では絶対に死なん!」
いきなり風水とか言い出されても困るだけなのだが。
風水と言えば中国の運を操る方角術だった筈である。物事には全てに吉兆と絡む方角が存在し、それを踏まえて建物を建てたり土地を生かすことで幸運を手に入れる占術的なもの。星の位置で占う占星術にも似通った点があったはずだ。
つまりこのケンゾーという男は、こうして銃を突きつけられていてもその突きつけられている額は『凶の方角』ではないから大丈夫だとでもいいたいのか。
「それって『俺』にも効くのかぁ?」
引き金を引く。額を抉るはずだった銃弾は必死にのけぞったケンゾーの頭部を掠ってケンゾーの背後へと流れていった。ケンゾーが銃弾の掠ったことで血が吹き出た額の下でニヤリと笑う。
そのケンゾーの動きが止まった。
開いていた手で、恐る恐るといったように背中へ手を伸ばすケンゾーに掴んでいた手を離してやる。膝から崩れ落ちたケンゾーが呆然と背中から腹へ貫通した穴を確かめた。
その穴を確かめるケンゾーのこめかみを銃弾が貫通して風通しを良くする。
銃の背で自分の肩を軽く叩く。スタンドに頼ってばかりだから敵の技量や能力を見誤るのだ。
アマネは一度も自分の銃が『ただの銃』だとも『能力は一つ』とも言っていない。幻覚製の銃弾はアマネが望むまで勢いは消えないし、第八の炎で何処へでも転移出来る。
「一カ所からの攻撃か効かねぇなら、全方向から攻めりゃどれかは当たるだろぉ。それに凶の方角は一カ所だったとしても大凶や末吉の方角だってあるし、小せぇ怪我だって致命傷になる」
ずるりと倒れるケンゾーにアマネは踵を返した。