六部
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徐倫視点
駆け寄ろうとして立ち上がった足へ力が入らず、再び座り込みそうになる身体を伸びてきた腕が支える。暖かい温もりにここが刑務所であることも自分が怪我と血だらけであることも忘れてしがみついた。
背中から回された手が徐倫の頭を宥めるように優しく撫でる。
「ちょっと見ねぇ間に、随分と凛々しくなったなぁ」
「ッ――アマネは、女々しくなったんじゃあない?」
「ふふっ、言うなぁ徐倫。可愛さは変わらなくて良かったぁ」
撫でてくる手は優しい。昔からこの人はどこまでも優しかった。いつの間にか徐倫は彼と同じ背丈になってしまっていて、体格だって痩せている彼ともしかしたら殆ど変わらない。女性的な丸みがあるだけ徐倫の方がまだ肉付きが良いかも知れなかった。
けれども彼は何一つ変わっていない。それがどんなに嬉しいことなのかこの人は分かってくれるだろうか。
溢れてくる涙を拭うように顔をこすりつければ、小さく笑って離れて目元を拭われた。
「ごめんなぁ。空条じゃなくてぇ。アイツはまだちょっと動けねぇんだぁ」
「……いいわ。アマネだってトムから心臓が止まる一歩手前だって聞いてたけど」
「ああうん。徐倫がDISCを取り返してくれたから何とかなったぜぇ。アイツもちゃんと生きてる。――ありがとう」
目の前に現れるだけでこんなに安心できる存在が他にいるだろうか。父の承太郎に会いたいのも本当ではあるけれど、このアマネへ会いたくもあった。
肩へ掛けていたストールを徐倫の肩へ掛けたアマネが周囲を見回す。
「せっかくの再会にもう少し時間を割きてぇけど、まずは周りを安全にしてからにしようなぁ」
言われて周囲を見回せば、徐倫が倒した看守以外にもそれぞれ争っていたはずの囚人達が揃って既に倒されていた。その身体はどれもブクブクと異様な形に膨らんでおり、勝ち残っていたのは二人。
一人は老人でもう一人は甲冑のような帽子を被った戦士風の男。スタンドは一人につき一つの能力だから、この二人のどちらかがこのブクブクに膨らんだ囚人達を作り上げたことになる。
老人が倒れている囚人を跨いで近づいてきた。アマネが徐倫を背中へと庇う。
「『ホワイトスネイク』がわしを含めて『四人のスタンド使い』をここに送り込むと教えてくれた時、そんなに必要かと思ったが不測の事態というのはあるものじゃなァ」
「……それって俺に言ってんのかぁ? ジイサン」
「なんじゃ貴様、男か」
アマネが背広の下から銃とナイフを取り出した。スタンド使いだと自ら名乗った相手にそんな物で対抗するつもりかと思ったが、老人と対峙したアマネの背中に一切の恐怖は無い。
駆け寄ろうとして立ち上がった足へ力が入らず、再び座り込みそうになる身体を伸びてきた腕が支える。暖かい温もりにここが刑務所であることも自分が怪我と血だらけであることも忘れてしがみついた。
背中から回された手が徐倫の頭を宥めるように優しく撫でる。
「ちょっと見ねぇ間に、随分と凛々しくなったなぁ」
「ッ――アマネは、女々しくなったんじゃあない?」
「ふふっ、言うなぁ徐倫。可愛さは変わらなくて良かったぁ」
撫でてくる手は優しい。昔からこの人はどこまでも優しかった。いつの間にか徐倫は彼と同じ背丈になってしまっていて、体格だって痩せている彼ともしかしたら殆ど変わらない。女性的な丸みがあるだけ徐倫の方がまだ肉付きが良いかも知れなかった。
けれども彼は何一つ変わっていない。それがどんなに嬉しいことなのかこの人は分かってくれるだろうか。
溢れてくる涙を拭うように顔をこすりつければ、小さく笑って離れて目元を拭われた。
「ごめんなぁ。空条じゃなくてぇ。アイツはまだちょっと動けねぇんだぁ」
「……いいわ。アマネだってトムから心臓が止まる一歩手前だって聞いてたけど」
「ああうん。徐倫がDISCを取り返してくれたから何とかなったぜぇ。アイツもちゃんと生きてる。――ありがとう」
目の前に現れるだけでこんなに安心できる存在が他にいるだろうか。父の承太郎に会いたいのも本当ではあるけれど、このアマネへ会いたくもあった。
肩へ掛けていたストールを徐倫の肩へ掛けたアマネが周囲を見回す。
「せっかくの再会にもう少し時間を割きてぇけど、まずは周りを安全にしてからにしようなぁ」
言われて周囲を見回せば、徐倫が倒した看守以外にもそれぞれ争っていたはずの囚人達が揃って既に倒されていた。その身体はどれもブクブクと異様な形に膨らんでおり、勝ち残っていたのは二人。
一人は老人でもう一人は甲冑のような帽子を被った戦士風の男。スタンドは一人につき一つの能力だから、この二人のどちらかがこのブクブクに膨らんだ囚人達を作り上げたことになる。
老人が倒れている囚人を跨いで近づいてきた。アマネが徐倫を背中へと庇う。
「『ホワイトスネイク』がわしを含めて『四人のスタンド使い』をここに送り込むと教えてくれた時、そんなに必要かと思ったが不測の事態というのはあるものじゃなァ」
「……それって俺に言ってんのかぁ? ジイサン」
「なんじゃ貴様、男か」
アマネが背広の下から銃とナイフを取り出した。スタンド使いだと自ら名乗った相手にそんな物で対抗するつもりかと思ったが、老人と対峙したアマネの背中に一切の恐怖は無い。