六部
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トム視点
そろそろ本気でナギニの存在が恋しくなってきた頃。徐倫から連絡が来た。
『もしもしトム?』
「今すぐナギニを返せ。連絡をしてきたと言うことはナギニと合流したってコトだろう」
携帯を買っておいてよかったと思う。後ろでトムの口調とナギニの名前が出たことから通話の相手が分かったのか、承太郎がこちらを見た。
それをわずかに振り返って確認し、パソコンの画面へ視線を戻す。
「刑務所の通話が記録されることを考えて僕へ連絡して来たのなら偉いって褒めてやるよ」
『アンタに褒められても嬉しくないわ』
「あっそう」
『『DISC』を手に入れたわ。『一枚』!』
徐倫の言葉にパソコンを操作して刑務所の図面を出した。
「どっちだ」
『『スタンド』よ。でもこれで父は動けるようになるはずよ』
「だから意識はあるんだよ。動けないだけで」
『動けないんでしょ。同じじゃあない』
「全然違うね。死んでたら邪魔なだけだけど意識があったら鬱陶しいだろ」
『あーもうどうでもいいわ。それで、この『DISC』をなんとかして渡したいの』
「ちょっと待って」
パソコン画面に出した刑務所の図面を確認する。徐倫は『なんとかして渡したい』とは言ったがその具体的な方法までは言わなかった。
つまり方法については刑務所へ閉じこめられている徐倫ではなく自由の利くトム達が考えろということなのだろう。盗聴されている可能性も充分にあって、公的組織であるスピードワゴン財団ではなくトムへ連絡して来たのは本当に偉かった。
「徐倫。女子監と男子監の間にある中庭へ来れるかい?」
『中庭?』
「そこなら海岸や農場へ出るよりは簡単に出られる筈だ。そこまで行ったら僕と落ち合おう」
『えっ、アンタが来るの?』
「僕は本気でナギニに会いたい。二十分後だ」
『に、二十分後……?』
「悪いね。そろそろ父さんの命も危ないんだ」
『……わかったわ。行くわ』
通話を終わらせてトムは座っていた椅子から立ち上がる。椅子に引っかけていたコートを羽織り、後ろで安静にしている承太郎と意識のないアマネを見た。
約二十年前にあった『DIO』との戦い。それが発端なのかどうかは未だに敵の目的が分からない以上判断が付かないが、もしそこへ“始まり”があるのなら、父は完璧それに巻き込まれただけで、トムなんて尚更かもしれない。
けれどもアマネもトムも、もうこの運命を覚悟はしている。だから承太郎へ向けて文句は言わなかった。
「父さんをお願いします」
エレボスに見送られながら病室を出る。そうして《姿現し》をする為に建物の外へ向かった。
そろそろ本気でナギニの存在が恋しくなってきた頃。徐倫から連絡が来た。
『もしもしトム?』
「今すぐナギニを返せ。連絡をしてきたと言うことはナギニと合流したってコトだろう」
携帯を買っておいてよかったと思う。後ろでトムの口調とナギニの名前が出たことから通話の相手が分かったのか、承太郎がこちらを見た。
それをわずかに振り返って確認し、パソコンの画面へ視線を戻す。
「刑務所の通話が記録されることを考えて僕へ連絡して来たのなら偉いって褒めてやるよ」
『アンタに褒められても嬉しくないわ』
「あっそう」
『『DISC』を手に入れたわ。『一枚』!』
徐倫の言葉にパソコンを操作して刑務所の図面を出した。
「どっちだ」
『『スタンド』よ。でもこれで父は動けるようになるはずよ』
「だから意識はあるんだよ。動けないだけで」
『動けないんでしょ。同じじゃあない』
「全然違うね。死んでたら邪魔なだけだけど意識があったら鬱陶しいだろ」
『あーもうどうでもいいわ。それで、この『DISC』をなんとかして渡したいの』
「ちょっと待って」
パソコン画面に出した刑務所の図面を確認する。徐倫は『なんとかして渡したい』とは言ったがその具体的な方法までは言わなかった。
つまり方法については刑務所へ閉じこめられている徐倫ではなく自由の利くトム達が考えろということなのだろう。盗聴されている可能性も充分にあって、公的組織であるスピードワゴン財団ではなくトムへ連絡して来たのは本当に偉かった。
「徐倫。女子監と男子監の間にある中庭へ来れるかい?」
『中庭?』
「そこなら海岸や農場へ出るよりは簡単に出られる筈だ。そこまで行ったら僕と落ち合おう」
『えっ、アンタが来るの?』
「僕は本気でナギニに会いたい。二十分後だ」
『に、二十分後……?』
「悪いね。そろそろ父さんの命も危ないんだ」
『……わかったわ。行くわ』
通話を終わらせてトムは座っていた椅子から立ち上がる。椅子に引っかけていたコートを羽織り、後ろで安静にしている承太郎と意識のないアマネを見た。
約二十年前にあった『DIO』との戦い。それが発端なのかどうかは未だに敵の目的が分からない以上判断が付かないが、もしそこへ“始まり”があるのなら、父は完璧それに巻き込まれただけで、トムなんて尚更かもしれない。
けれどもアマネもトムも、もうこの運命を覚悟はしている。だから承太郎へ向けて文句は言わなかった。
「父さんをお願いします」
エレボスに見送られながら病室を出る。そうして《姿現し》をする為に建物の外へ向かった。