四部
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用水路をくまなく探し、ネズミの足跡を見つけた場所から一番近い排水口の周辺へ罠とビデオカメラを仕掛けておく。その作業直後に仗助が見つけた数十匹ものネズミの死体が合体した肉の塊に、排水口を巣にしている事が確実になった。少なくとも排水口がナワバリの一角にはなっている。
排水口の上流は農家の農業用水路へと繋がっていて、更にその傍にはその農家のものであろう屋敷が一件。
「住人の気配が無ぇなぁ」
「だがガレージへ車はある。外出していないことは確かだ」
「……ということは?」
「もうあの家は『ネズミ』に侵入されてる可能性があるってことだなぁ。おそらく住人も殺されているか、さっきの肉の塊みてぇにされてるか」
覗き込んでいた双眼鏡を下ろす承太郎の隣で民家を眺めながら言えば、仗助が最悪な想像をしたのか首を竦ませていた。そういうところは年相応の高校生である。
「“呼ぶ”かぁ?」
「いや、オレ達が行くぜ。あの家を一部屋一部屋調べる」
どうやらアマネの出番はまだらしい。狭い空間で見つけた方が距離を取りやすいし家屋の中というのはそういう点ではこちらが有利になる。しかし家具の陰へと隠れられてしまえばどう考えてもこちらの不利だ。
家の鍵は開いていた。田舎の農家はよく在宅時は鍵を掛けずにいるというが、強盗や殺人鬼が襲ってきたら簡単に入られてしまうという考えは無いのだろうかと思う。とはいえ強盗や殺人鬼がそう身近に現れると思わないのが人の性である。
承太郎が床にネズミの糞を見つけた。色合いや消化具合から肉だと分かるそれは少し離れた場所へも落ちている。
後ろで何か気になるものでもあったのか仗助がキッチンの方で立ち止まっていた。
「仗助君?」
「あ、いや、冷蔵庫の音が……」
承太郎は気付かないまま奥へと進んでいく。だが彼なら一人でも大丈夫だろうと判断して仗助の横からキッチンを覗き込んだ。
冷蔵庫のコンプレッサーがやけに煩い。何処かにぶつかって振動が大きくなっているのかと思って見ていると、不意に冷蔵庫の扉がゆっくりと開いていった。
「!?」
「シッ――。声を出すなぁ」
驚いた仗助を背後へ庇う。冷蔵庫の空いた扉の隙間から、一匹のドブネズミが中へ身を押し込んで何かをかじっている。
ネズミがある程度の力が無ければ開けられない様になっている冷蔵庫の扉を開けている事には驚きだが、その中にある物を食べているという事実には驚かなかった。ネズミだって学ぶことは出来る。おそらく冷蔵庫の中は食べ物が豊富であると学んだのだろう。
とはいえこのタイミングでそんなネズミが現れれば、当然ただのネズミだとは思えない。
排水口の上流は農家の農業用水路へと繋がっていて、更にその傍にはその農家のものであろう屋敷が一件。
「住人の気配が無ぇなぁ」
「だがガレージへ車はある。外出していないことは確かだ」
「……ということは?」
「もうあの家は『ネズミ』に侵入されてる可能性があるってことだなぁ。おそらく住人も殺されているか、さっきの肉の塊みてぇにされてるか」
覗き込んでいた双眼鏡を下ろす承太郎の隣で民家を眺めながら言えば、仗助が最悪な想像をしたのか首を竦ませていた。そういうところは年相応の高校生である。
「“呼ぶ”かぁ?」
「いや、オレ達が行くぜ。あの家を一部屋一部屋調べる」
どうやらアマネの出番はまだらしい。狭い空間で見つけた方が距離を取りやすいし家屋の中というのはそういう点ではこちらが有利になる。しかし家具の陰へと隠れられてしまえばどう考えてもこちらの不利だ。
家の鍵は開いていた。田舎の農家はよく在宅時は鍵を掛けずにいるというが、強盗や殺人鬼が襲ってきたら簡単に入られてしまうという考えは無いのだろうかと思う。とはいえ強盗や殺人鬼がそう身近に現れると思わないのが人の性である。
承太郎が床にネズミの糞を見つけた。色合いや消化具合から肉だと分かるそれは少し離れた場所へも落ちている。
後ろで何か気になるものでもあったのか仗助がキッチンの方で立ち止まっていた。
「仗助君?」
「あ、いや、冷蔵庫の音が……」
承太郎は気付かないまま奥へと進んでいく。だが彼なら一人でも大丈夫だろうと判断して仗助の横からキッチンを覗き込んだ。
冷蔵庫のコンプレッサーがやけに煩い。何処かにぶつかって振動が大きくなっているのかと思って見ていると、不意に冷蔵庫の扉がゆっくりと開いていった。
「!?」
「シッ――。声を出すなぁ」
驚いた仗助を背後へ庇う。冷蔵庫の空いた扉の隙間から、一匹のドブネズミが中へ身を押し込んで何かをかじっている。
ネズミがある程度の力が無ければ開けられない様になっている冷蔵庫の扉を開けている事には驚きだが、その中にある物を食べているという事実には驚かなかった。ネズミだって学ぶことは出来る。おそらく冷蔵庫の中は食べ物が豊富であると学んだのだろう。
とはいえこのタイミングでそんなネズミが現れれば、当然ただのネズミだとは思えない。