六部
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トム視点
「――今、貶された気がする」
徐倫が捕まっている刑務所について調べているところで、何だか妙な気配を感じて呟いた。徐倫の面識から既に数日。刑務所の歴史から収監囚人のリストへ目を通し、今は看守や職員の調査中である。
これを見られるようにするだけでも数日掛かっていた。そろそろ一度ナギニの様子を見に行きたいし、後ろで死にそうな二人もどうにかしたい。
承太郎の容態は意識を取り戻してからずっと安定はしている。だが問題はアマネの方で、だんだんと元から緩やかになっていた鼓動が更に遅くなっているのだ。
財団スタッフは覚悟を決めたのかアマネの意識が無いからか、色々聴取したいであろう欲を押さえて手を尽くしてくれている。承太郎が言い含めてくれたというのもあるだろうが、とりあえずアマネが目覚めるまでエレボスや承太郎の延命治療能力について聞き出すのは延期にしてくれていた。
正直ありがたい。だがきっと、父のアマネは『覚悟』して力を使ったのだろう。
目を覚まして一連の騒動が収束した後、おそらくアマネはトムを連れて財団から逃げる。
この世界でおそらくたった一人の『ペルソナ使い』に『魔法使い』だ。創立以来『吸血鬼』や『スタンド』についてどこよりも調べてきた組織が見逃すはずがない。
だからトムは今から出来るだけ財団の力を借りないようにしている。恩を仇で返すことにはなってしまうが、トムもアマネも自分の身の方が大切だ。
問題は、それまでアマネの命が保つかである。
「あの刑務所、1984年に火事で一度燃えてる。二十年近く前だけど、承太郎さんは関係あると思う?」
「分からん」
「だよね」
こういう時、本当にアマネがいてくれると助かるのだ。だが今アマネは動けない。せめてベルベットルームへいるだろうアマネのペルソナである『イブリス』が出てきてくれるのでも良かった。トムは彼を苦手に思っているが、『イブリス』がトムより使えるであろうことに間違いはない。
ふと思い立ってパソコンの前から立ち上がり、意識のない父へ近付いてその私物の一つを取り上げる。グリップ部分へ青い浮き彫りが覗くその銃の銃口をアマネの頭へと押しつけた。
見ていた承太郎が何か言う前に引き金を引く。しかし何も起こりはしなかった。
「……やっぱり無理か」
「何をしてる」
「ペルソナが出るかと思ったんだ。でもやっぱり無理だった」
やはりペルソナを召喚するには自分で撃たねばならないのだろう。トムも詳しいことまでは分からないのだ。
「――今、貶された気がする」
徐倫が捕まっている刑務所について調べているところで、何だか妙な気配を感じて呟いた。徐倫の面識から既に数日。刑務所の歴史から収監囚人のリストへ目を通し、今は看守や職員の調査中である。
これを見られるようにするだけでも数日掛かっていた。そろそろ一度ナギニの様子を見に行きたいし、後ろで死にそうな二人もどうにかしたい。
承太郎の容態は意識を取り戻してからずっと安定はしている。だが問題はアマネの方で、だんだんと元から緩やかになっていた鼓動が更に遅くなっているのだ。
財団スタッフは覚悟を決めたのかアマネの意識が無いからか、色々聴取したいであろう欲を押さえて手を尽くしてくれている。承太郎が言い含めてくれたというのもあるだろうが、とりあえずアマネが目覚めるまでエレボスや承太郎の延命治療能力について聞き出すのは延期にしてくれていた。
正直ありがたい。だがきっと、父のアマネは『覚悟』して力を使ったのだろう。
目を覚まして一連の騒動が収束した後、おそらくアマネはトムを連れて財団から逃げる。
この世界でおそらくたった一人の『ペルソナ使い』に『魔法使い』だ。創立以来『吸血鬼』や『スタンド』についてどこよりも調べてきた組織が見逃すはずがない。
だからトムは今から出来るだけ財団の力を借りないようにしている。恩を仇で返すことにはなってしまうが、トムもアマネも自分の身の方が大切だ。
問題は、それまでアマネの命が保つかである。
「あの刑務所、1984年に火事で一度燃えてる。二十年近く前だけど、承太郎さんは関係あると思う?」
「分からん」
「だよね」
こういう時、本当にアマネがいてくれると助かるのだ。だが今アマネは動けない。せめてベルベットルームへいるだろうアマネのペルソナである『イブリス』が出てきてくれるのでも良かった。トムは彼を苦手に思っているが、『イブリス』がトムより使えるであろうことに間違いはない。
ふと思い立ってパソコンの前から立ち上がり、意識のない父へ近付いてその私物の一つを取り上げる。グリップ部分へ青い浮き彫りが覗くその銃の銃口をアマネの頭へと押しつけた。
見ていた承太郎が何か言う前に引き金を引く。しかし何も起こりはしなかった。
「……やっぱり無理か」
「何をしてる」
「ペルソナが出るかと思ったんだ。でもやっぱり無理だった」
やはりペルソナを召喚するには自分で撃たねばならないのだろう。トムも詳しいことまでは分からないのだ。