六部
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承太郎視点
財団施設へ戻ってきたトムは、周囲の職員のおびえた視線も気にすることなく承太郎の病室へ戻ってくると、エレボスというらしい黒い化け物を一撫でしてから意識のないアマネへ近づいた。
相変わらずアマネの意識は戻ることがなく、耳や鼻からの出血は止まっているものの青白い顔のままである。当然手を繋いだまま且つチェーンで固定されている承太郎とアマネの手もそのままで、変わったのはアマネの安置の仕方くらいだ。
職員や医者が近付こうとするとエレボスが威嚇をしていたのは、トム曰くアマネが命じた防衛行動らしい。正直『ペルソナ』ではないだろうそれの正体も分からなかった。ただ承太郎を何度も起き上がらせまいとしていたのもそれが理由らしく、今はトムが言い聞かせて何とか最低限のスタッフの接近は許している。
上半身と上半身が曖昧に結合した、自然界の生物としてはあり得ない姿をしたその化け物は、トムが言うにスタンドでも『ペルソナ』でも無いらしい。
「大体、父さんは『ペルソナ使い』に限った人じゃないんだ」
病室へ財団スタッフへ頼んで持ち込んでもらったパソコンを起動させながらトムは言う。
「『ペルソナ』はもちろんの事、僕よりも強力な魔法も魔術も、他にも色んな超能力を使える。承太郎さんへその一端を話して見せてたとしても、父さんはそれだけで済む人じゃない」
何故言わなかった、と聞くのは愚問だろう。同じ事を承太郎は知っている。
自分にとっての事実を話しても誰にも信じてもらえず、共感さえされなかった経験を。
二十年以上前にそれを経験していた。けれども承太郎には祖父や仲間が居たので今まで困りはしなかったのである。
アマネはそうはいかなかったのだと、承太郎が『ペルソナ使い』について教えられた時に聞いていた。今までもなお、承太郎以外へ告げることなく隠していた理由。それも承太郎は知っている。
ただ知らなかったのは、『ペルソナ使い』であること以外の秘密だ。
「父さんのことだ。教えなかったんじゃなくて教える勇気が無かったんだろう。それはペルソナの事を黙ってくれていた承太郎さんでも変わらない。むしろペルソナのことを教えてたから余計に。それ以上の苦労は掛けられないと変なところで尻込みするんだよ」
「お前は知ってるじゃあねえか」
「僕は息子だもの。父さんが大好きだから父さんの事は何でも知ろうと思うね」
起動したパソコンの前へトムが座る。何を調べるのか分からないが、動けない以上承太郎は手伝えない。
「それに、僕だってこの世界じゃ異端だ」
財団施設へ戻ってきたトムは、周囲の職員のおびえた視線も気にすることなく承太郎の病室へ戻ってくると、エレボスというらしい黒い化け物を一撫でしてから意識のないアマネへ近づいた。
相変わらずアマネの意識は戻ることがなく、耳や鼻からの出血は止まっているものの青白い顔のままである。当然手を繋いだまま且つチェーンで固定されている承太郎とアマネの手もそのままで、変わったのはアマネの安置の仕方くらいだ。
職員や医者が近付こうとするとエレボスが威嚇をしていたのは、トム曰くアマネが命じた防衛行動らしい。正直『ペルソナ』ではないだろうそれの正体も分からなかった。ただ承太郎を何度も起き上がらせまいとしていたのもそれが理由らしく、今はトムが言い聞かせて何とか最低限のスタッフの接近は許している。
上半身と上半身が曖昧に結合した、自然界の生物としてはあり得ない姿をしたその化け物は、トムが言うにスタンドでも『ペルソナ』でも無いらしい。
「大体、父さんは『ペルソナ使い』に限った人じゃないんだ」
病室へ財団スタッフへ頼んで持ち込んでもらったパソコンを起動させながらトムは言う。
「『ペルソナ』はもちろんの事、僕よりも強力な魔法も魔術も、他にも色んな超能力を使える。承太郎さんへその一端を話して見せてたとしても、父さんはそれだけで済む人じゃない」
何故言わなかった、と聞くのは愚問だろう。同じ事を承太郎は知っている。
自分にとっての事実を話しても誰にも信じてもらえず、共感さえされなかった経験を。
二十年以上前にそれを経験していた。けれども承太郎には祖父や仲間が居たので今まで困りはしなかったのである。
アマネはそうはいかなかったのだと、承太郎が『ペルソナ使い』について教えられた時に聞いていた。今までもなお、承太郎以外へ告げることなく隠していた理由。それも承太郎は知っている。
ただ知らなかったのは、『ペルソナ使い』であること以外の秘密だ。
「父さんのことだ。教えなかったんじゃなくて教える勇気が無かったんだろう。それはペルソナの事を黙ってくれていた承太郎さんでも変わらない。むしろペルソナのことを教えてたから余計に。それ以上の苦労は掛けられないと変なところで尻込みするんだよ」
「お前は知ってるじゃあねえか」
「僕は息子だもの。父さんが大好きだから父さんの事は何でも知ろうと思うね」
起動したパソコンの前へトムが座る。何を調べるのか分からないが、動けない以上承太郎は手伝えない。
「それに、僕だってこの世界じゃ異端だ」