六部
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
トム視点
財団の話によれば、徐倫を助ける為に使った潜水艦へ乗っていたのは承太郎一人だけだったらしい。つまり徐倫は何かしらの理由で潜水艦へ乗らず、未だに州立グリーン・ドルフィン・ストリート刑務所へ残っている。
そこで賄賂という大枚をはたいて徐倫への面会を申し込んで、トムは刑務所の面会室で幼なじみと再会を果たした。正直刑務所で再会なんてどちらかが囚人でないとしても嫌なモノである。
「――トム」
「徐倫。父さんが倒れた」
久しぶりに会った幼なじみは、何というか思ったのとは違う方向へ育っていた。
そんな感想を告げる心の余裕もなく、トムは面会室の椅子へ腰を下ろす。唐突なトムの言葉に、彼女にとっても久しぶりの再会だろうがそれを喜んでいる時間もない。
「アンタの父さんって、アマネのこと――?」
「単刀直入に言うよ。承太郎さんは生きてる。代わりに僕の父さんが意識を失ったし心臓も止まる一歩寸前だ。二人とも動けないから僕が代わりに来た」
「――ッ!?」
「時間がないんだから僕の話を聞け。この時間を作るのに大金も掛かってる」
テーブルを指先で叩いて徐倫の注意を引いた。徐倫は色々言いたげな顔をしながらもおとなしく座り直す。
徐倫がスタンド使いへ目覚めたことは承太郎から聞いてきている。指先から糸を出すスタンド能力で、名前は確か『ストーン・フリー』だったか。
自由な石。いや、自由な“意志”か。
「アイツが生きてるって本当?」
「本当さ。僕の父さんをなんだと思ってるんだ?」
「知らないわよ。スタンド――スタンドの事だってこの前知ったばかりよアタシ」
「そうか。僕達は僕が生まれた頃から知ってる」
「アンタもスタンド使いなの?」
「僕達はスタンド使いじゃないが、君は僕が『魔法使い』なのは知ってるだろ? 小さい頃はよく箒へ乗せてあげたじゃないか」
「……スタンド使いと魔法使いって違うの?」
「君の口から出るのは疑問ばかりだな。仕方ないとはいえ今はとりあえず僕の話を聞いて欲しい。君がスタンド能力に目覚めた事は僥倖だった。いいか。承太郎さんは奪われた物を取り返すまで動けない状況に陥ってる。これは敵にとっても喜ばしいことだ。だからまず僕はそれを取り返さなくちゃいけない」
敵はおそらくこの刑務所の中へいる。看守なのか囚人なのか、刑務所内で働く職員だって可能性はあった。承太郎の話ではスタンド使いは少なくとも二人いたらしい。そしてその片方へ『記憶』と『スタンド』を奪われた。
敵は確実に一人はいるが、複数いる可能性も決してゼロではない。それらを徐倫を守りながらトム一人で探し出せるかと言われたら、いくら魔法使いとはいえ、スタンド使いではない故にスタンドの見えないトムでは難しいだろう。
財団の話によれば、徐倫を助ける為に使った潜水艦へ乗っていたのは承太郎一人だけだったらしい。つまり徐倫は何かしらの理由で潜水艦へ乗らず、未だに州立グリーン・ドルフィン・ストリート刑務所へ残っている。
そこで賄賂という大枚をはたいて徐倫への面会を申し込んで、トムは刑務所の面会室で幼なじみと再会を果たした。正直刑務所で再会なんてどちらかが囚人でないとしても嫌なモノである。
「――トム」
「徐倫。父さんが倒れた」
久しぶりに会った幼なじみは、何というか思ったのとは違う方向へ育っていた。
そんな感想を告げる心の余裕もなく、トムは面会室の椅子へ腰を下ろす。唐突なトムの言葉に、彼女にとっても久しぶりの再会だろうがそれを喜んでいる時間もない。
「アンタの父さんって、アマネのこと――?」
「単刀直入に言うよ。承太郎さんは生きてる。代わりに僕の父さんが意識を失ったし心臓も止まる一歩寸前だ。二人とも動けないから僕が代わりに来た」
「――ッ!?」
「時間がないんだから僕の話を聞け。この時間を作るのに大金も掛かってる」
テーブルを指先で叩いて徐倫の注意を引いた。徐倫は色々言いたげな顔をしながらもおとなしく座り直す。
徐倫がスタンド使いへ目覚めたことは承太郎から聞いてきている。指先から糸を出すスタンド能力で、名前は確か『ストーン・フリー』だったか。
自由な石。いや、自由な“意志”か。
「アイツが生きてるって本当?」
「本当さ。僕の父さんをなんだと思ってるんだ?」
「知らないわよ。スタンド――スタンドの事だってこの前知ったばかりよアタシ」
「そうか。僕達は僕が生まれた頃から知ってる」
「アンタもスタンド使いなの?」
「僕達はスタンド使いじゃないが、君は僕が『魔法使い』なのは知ってるだろ? 小さい頃はよく箒へ乗せてあげたじゃないか」
「……スタンド使いと魔法使いって違うの?」
「君の口から出るのは疑問ばかりだな。仕方ないとはいえ今はとりあえず僕の話を聞いて欲しい。君がスタンド能力に目覚めた事は僥倖だった。いいか。承太郎さんは奪われた物を取り返すまで動けない状況に陥ってる。これは敵にとっても喜ばしいことだ。だからまず僕はそれを取り返さなくちゃいけない」
敵はおそらくこの刑務所の中へいる。看守なのか囚人なのか、刑務所内で働く職員だって可能性はあった。承太郎の話ではスタンド使いは少なくとも二人いたらしい。そしてその片方へ『記憶』と『スタンド』を奪われた。
敵は確実に一人はいるが、複数いる可能性も決してゼロではない。それらを徐倫を守りながらトム一人で探し出せるかと言われたら、いくら魔法使いとはいえ、スタンド使いではない故にスタンドの見えないトムでは難しいだろう。