六部
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『土産を待ってる』
そう言って見送った。本当は土産なんてどうでもいい。帰ってきてくれれば何でも良かった。
タイミングが悪かったとか、そういう運命だったというのであれば、その出会いや人は何故生きているのか。何度も考えた事に答えが出た試しがない。
袖触り合うも多生の縁。多くを生かす為の何かだというのなら、アマネはそれをどうしても受け入れられない。
かつて弟と親友を庇った命。それは二つを生かす為の一つだった。
かつて一万を救う為の二つ。それは一万を生かす為の二つですらなくなった。
かつて世界を守る為の一つ。それを今でも助けられないでいる。
承太郎の存在は、この世界で多くのモノを支えているのだと花京院が死んでしまったことで悟った。死んででも守りたかった。死んででも繋げたかった。死んででも、生きていて欲しかった。
でもじゃあ、その花京院は誰が生かすべきだったのか。承太郎か。
守る為に死ぬのか、守る為に生きるのか。
何が起こるのか分からない未来へ覚悟して生きよう。何があっても後悔などしないと胸を張って生きよう。アマネの命はかつて弟や親友や、兄が愛してくれた大切な命だ。
その大切な命だから、大切な何かを守って失うのはどうか許して欲しい。それはきっと命よりも大切なものだ。
恐れられても怖がられても嫌われても蔑まれても構わない。そんな覚悟はとっくの昔に出来ている。怖いことに代わりはないけれど、置いていかれることはまだやはり怖いけれど。
それでも、化け物は化け物なりの誇りをもっている。
「――空条!」
走り込んだ施設の中。横たわる静かな身体。刑務所へ連れて行かれた徐倫のそれにはスタンド使いの暗躍があると、徐倫を助けに行った承太郎が寝かされている。
鼓動も呼吸もなく、職員達が慌てて延命措置を用意していた。それらはアマネが来た時には既に殆ど終わっていて、ただの一職員でしかないアマネも部屋を追い出されそうになって。
その職員達の手を振り払って隠し持っていた銃を取り出した。驚く職員達がアマネを止めようとするのに、指を鳴らして逆に彼らを部屋の外へ追い出す。中にはそれなりに親しい同僚もいたけれど気にしてなんていられない。
この日の為に生きてきたようなものだ。この『空条承太郎』という星の光を、消してしまわぬように。
銃口をこめかみへ押し当て承太郎の手を握りしめる。こんな化け物を傍へいさせてくれた承太郎へは、感謝をしてもしきれない。
これから起こることに、後悔は無かった。
「――《イブリス》」
そう言って見送った。本当は土産なんてどうでもいい。帰ってきてくれれば何でも良かった。
タイミングが悪かったとか、そういう運命だったというのであれば、その出会いや人は何故生きているのか。何度も考えた事に答えが出た試しがない。
袖触り合うも多生の縁。多くを生かす為の何かだというのなら、アマネはそれをどうしても受け入れられない。
かつて弟と親友を庇った命。それは二つを生かす為の一つだった。
かつて一万を救う為の二つ。それは一万を生かす為の二つですらなくなった。
かつて世界を守る為の一つ。それを今でも助けられないでいる。
承太郎の存在は、この世界で多くのモノを支えているのだと花京院が死んでしまったことで悟った。死んででも守りたかった。死んででも繋げたかった。死んででも、生きていて欲しかった。
でもじゃあ、その花京院は誰が生かすべきだったのか。承太郎か。
守る為に死ぬのか、守る為に生きるのか。
何が起こるのか分からない未来へ覚悟して生きよう。何があっても後悔などしないと胸を張って生きよう。アマネの命はかつて弟や親友や、兄が愛してくれた大切な命だ。
その大切な命だから、大切な何かを守って失うのはどうか許して欲しい。それはきっと命よりも大切なものだ。
恐れられても怖がられても嫌われても蔑まれても構わない。そんな覚悟はとっくの昔に出来ている。怖いことに代わりはないけれど、置いていかれることはまだやはり怖いけれど。
それでも、化け物は化け物なりの誇りをもっている。
「――空条!」
走り込んだ施設の中。横たわる静かな身体。刑務所へ連れて行かれた徐倫のそれにはスタンド使いの暗躍があると、徐倫を助けに行った承太郎が寝かされている。
鼓動も呼吸もなく、職員達が慌てて延命措置を用意していた。それらはアマネが来た時には既に殆ど終わっていて、ただの一職員でしかないアマネも部屋を追い出されそうになって。
その職員達の手を振り払って隠し持っていた銃を取り出した。驚く職員達がアマネを止めようとするのに、指を鳴らして逆に彼らを部屋の外へ追い出す。中にはそれなりに親しい同僚もいたけれど気にしてなんていられない。
この日の為に生きてきたようなものだ。この『空条承太郎』という星の光を、消してしまわぬように。
銃口をこめかみへ押し当て承太郎の手を握りしめる。こんな化け物を傍へいさせてくれた承太郎へは、感謝をしてもしきれない。
これから起こることに、後悔は無かった。
「――《イブリス》」