六部
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トム視点
トムがその知らせを受けたのは、イタリアはパッショーネのボスであるジョルノと、フロリダでギャングとしての仕事を終えてお茶をしていた最中だった。
十二歳でジョルノと出会い、それ以来ずっとイタリアで生きていたトムには四歳下の幼なじみがいる。父の知人の娘であるその子供は『空条徐倫』といって、日本人の父とアメリカ人の母を持つハーフだった。
初めて出会ったのはトムが今の父の養子になって落ち着いてからで、トムが五歳、徐倫が一歳の時である。お陰で幼少期は一緒に風呂へ入ったことも徐倫と一緒に寝てオネショをされたこともあった。更に言うなら彼女の初恋がトムの父親であることも知っている。憧れも同然だったその初恋は当然だが実っていない。
彼女の父である『空条承太郎』が離婚して徐倫が母に引き取られても、トムと徐倫の交流はある程度途切れてはいなかった。年に数回は手紙を送り合っていたし、誕生日などのイベントの際にはプレゼントだって送っている。
実際に会う回数はトムがイタリアへ住むと決めたことで格段に減ったが、父へ会いにアメリカへ渡った際には三回に一回の割合で会ってもいた。
そんな徐倫が刑務所へ放り込まれたという。
徐倫の母親は動揺していて自分でもトムへ連絡した理由が分かっておらず、トムが自分の父であるアマネへ連絡をしたら、そちらはそちらで何故徐倫が罪を負ったのか分からないと言ってきた。徐倫の父親である承太郎にはトムでは連絡が取れず、トムにもサッパリだったのである。
仕方なしにジョルノへ幼なじみが捕まったらしいからと簡単に説明をし、急いで父達が働いている組織へ向かって。
「――……何があったの」
トムの剣幕にスピードワゴン財団の職員達、つまり父の同僚達が黙り込む。本当は『彼』の息子であるトムへ色々と聞きたい状況であっただろうが、トムにはそれを聞いてやるつもりも余裕も無かった。
目の前の一室。様々な機器に繋がれた父の友人『空条承太郎』
その承太郎へ覆い被さり、“血だらけになって倒れている”トムの父。
承太郎の視線がトムへと向けられる。普段よりもぼんやりとしたそれにけれども、意識はあるのかとたった一つの寝台と機材だらけの部屋へ足を踏み入れた。
部屋を包み込むほどに膨らんでいた父の『死への渇望』がトムを見下ろす。伸ばされた前脚だか後脚だか分からないエレボスの手に触れて、承太郎を見た。
「何があったの。『エレボス』まで出して」
「……私自身、よく分かっていない」
だろうな、と思う。だがこの状況は確実に承太郎が、正確には『承太郎を助けようとした父』が、何かをしでかしたのだ。
トムがその知らせを受けたのは、イタリアはパッショーネのボスであるジョルノと、フロリダでギャングとしての仕事を終えてお茶をしていた最中だった。
十二歳でジョルノと出会い、それ以来ずっとイタリアで生きていたトムには四歳下の幼なじみがいる。父の知人の娘であるその子供は『空条徐倫』といって、日本人の父とアメリカ人の母を持つハーフだった。
初めて出会ったのはトムが今の父の養子になって落ち着いてからで、トムが五歳、徐倫が一歳の時である。お陰で幼少期は一緒に風呂へ入ったことも徐倫と一緒に寝てオネショをされたこともあった。更に言うなら彼女の初恋がトムの父親であることも知っている。憧れも同然だったその初恋は当然だが実っていない。
彼女の父である『空条承太郎』が離婚して徐倫が母に引き取られても、トムと徐倫の交流はある程度途切れてはいなかった。年に数回は手紙を送り合っていたし、誕生日などのイベントの際にはプレゼントだって送っている。
実際に会う回数はトムがイタリアへ住むと決めたことで格段に減ったが、父へ会いにアメリカへ渡った際には三回に一回の割合で会ってもいた。
そんな徐倫が刑務所へ放り込まれたという。
徐倫の母親は動揺していて自分でもトムへ連絡した理由が分かっておらず、トムが自分の父であるアマネへ連絡をしたら、そちらはそちらで何故徐倫が罪を負ったのか分からないと言ってきた。徐倫の父親である承太郎にはトムでは連絡が取れず、トムにもサッパリだったのである。
仕方なしにジョルノへ幼なじみが捕まったらしいからと簡単に説明をし、急いで父達が働いている組織へ向かって。
「――……何があったの」
トムの剣幕にスピードワゴン財団の職員達、つまり父の同僚達が黙り込む。本当は『彼』の息子であるトムへ色々と聞きたい状況であっただろうが、トムにはそれを聞いてやるつもりも余裕も無かった。
目の前の一室。様々な機器に繋がれた父の友人『空条承太郎』
その承太郎へ覆い被さり、“血だらけになって倒れている”トムの父。
承太郎の視線がトムへと向けられる。普段よりもぼんやりとしたそれにけれども、意識はあるのかとたった一つの寝台と機材だらけの部屋へ足を踏み入れた。
部屋を包み込むほどに膨らんでいた父の『死への渇望』がトムを見下ろす。伸ばされた前脚だか後脚だか分からないエレボスの手に触れて、承太郎を見た。
「何があったの。『エレボス』まで出して」
「……私自身、よく分かっていない」
だろうな、と思う。だがこの状況は確実に承太郎が、正確には『承太郎を助けようとした父』が、何かをしでかしたのだ。