六部
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承太郎視点
「俺はきっと、吸血鬼にも劣る存在だぁ」
深夜の機内。
「何の話だ」
「『DIO』の子供」
イタリアからアメリカへ帰る途中だった。
『DIO』の息子である可能性があった『汐華初流乃』こと『ジョルノ・ジョバァーナ』を実際に見に行ったのである。そのキッカケはアマネの息子のトムが『ジョルノ』へ接触しその人柄に悪意はないと判断したことと、彼の傍へ長年探していたかつての仲間であるポルナレフの所在が判明したからだった。
トムが友人にしたのだと承太郎にまで興奮気味に語ったものだから、『DIO』に対して感じていた感情をその息子へまで適用させるのはと考え直したのもある。実際、会って話をしてみた『ジョルノ』という若者は曲げない正義を抱えた者であった。
「寂しいからなんて吸血鬼であることを舐めた様な理由かも知れねぇけど、どんな理由であれ子供を作れるって普通のことなんだよなぁ」
イタリアで会った『ジョルノ』は、『ディオ』にも『ジョナサン』にも似ていたのである。
普通とは何だと聞き返すのはナンセンスだろうと、黙って続きを促した。
「吸血鬼ですら子供を、子孫を生み出せるのに俺はなんで子供を作れねぇんだろぉ。ジョルノ君はお前やポルナレフさんから聞いた『DIO』の印象からしたら、『DIO』の息子にしては極々普通の人間だと思った。俺は別にジョースター家の者じゃねぇけど、君の傍にいる者として『黄金の精神』を持てるのかって考えたら無理だと思ったんだぁ」
黄金の精神。
「俺はきっと、この世界の誰よりも『人間じゃない』」
深夜の機内。
「カキョウインに、俺はその事実を告げようとしてた。――本当は、俺がどこまでもDIOよりも『奇妙で歪な化け物』であることを告げて、嫌われたいと願ってたのかも知れねぇと思う時がある。でも俺は人が優しいことを知ってるから、誰かしら否定しねぇ奴がいるとも知ってるんだよ」
アマネは窓際の座席から、小さな窓の外の夜空を眺めている。
「『DIO』の様に人間を越えたと主張することも、君達の様に人の意志は輝くものだと示すことも出来ない」
見下ろされた手のひら。
「そんな俺が、人間どころか吸血鬼に勝てる訳が無ぇ」
「……お前の話は、よう分からん」
「ふふ。トムに友達が出来てちょっと寂しいって話だぁ。もう『覚悟』はしてるんだけど、時々無性に怖くなる」
イタリアからアメリカへ帰る飛行機の中での会話だった。
承太郎にはその会話の意味が理解出来なかったし、仮にその時は理解出来ていた振りをしていたといても、今その時のアマネの言葉の意味を知った瞬間には、間違っていたと思っただろう。
『覚悟』とは何のことであったのか。もしくは自身を『人間じゃない』と言い切った理由がどんな程度であったのかを。
承太郎は酷く甘く見ていたのだ。
「俺はきっと、吸血鬼にも劣る存在だぁ」
深夜の機内。
「何の話だ」
「『DIO』の子供」
イタリアからアメリカへ帰る途中だった。
『DIO』の息子である可能性があった『汐華初流乃』こと『ジョルノ・ジョバァーナ』を実際に見に行ったのである。そのキッカケはアマネの息子のトムが『ジョルノ』へ接触しその人柄に悪意はないと判断したことと、彼の傍へ長年探していたかつての仲間であるポルナレフの所在が判明したからだった。
トムが友人にしたのだと承太郎にまで興奮気味に語ったものだから、『DIO』に対して感じていた感情をその息子へまで適用させるのはと考え直したのもある。実際、会って話をしてみた『ジョルノ』という若者は曲げない正義を抱えた者であった。
「寂しいからなんて吸血鬼であることを舐めた様な理由かも知れねぇけど、どんな理由であれ子供を作れるって普通のことなんだよなぁ」
イタリアで会った『ジョルノ』は、『ディオ』にも『ジョナサン』にも似ていたのである。
普通とは何だと聞き返すのはナンセンスだろうと、黙って続きを促した。
「吸血鬼ですら子供を、子孫を生み出せるのに俺はなんで子供を作れねぇんだろぉ。ジョルノ君はお前やポルナレフさんから聞いた『DIO』の印象からしたら、『DIO』の息子にしては極々普通の人間だと思った。俺は別にジョースター家の者じゃねぇけど、君の傍にいる者として『黄金の精神』を持てるのかって考えたら無理だと思ったんだぁ」
黄金の精神。
「俺はきっと、この世界の誰よりも『人間じゃない』」
深夜の機内。
「カキョウインに、俺はその事実を告げようとしてた。――本当は、俺がどこまでもDIOよりも『奇妙で歪な化け物』であることを告げて、嫌われたいと願ってたのかも知れねぇと思う時がある。でも俺は人が優しいことを知ってるから、誰かしら否定しねぇ奴がいるとも知ってるんだよ」
アマネは窓際の座席から、小さな窓の外の夜空を眺めている。
「『DIO』の様に人間を越えたと主張することも、君達の様に人の意志は輝くものだと示すことも出来ない」
見下ろされた手のひら。
「そんな俺が、人間どころか吸血鬼に勝てる訳が無ぇ」
「……お前の話は、よう分からん」
「ふふ。トムに友達が出来てちょっと寂しいって話だぁ。もう『覚悟』はしてるんだけど、時々無性に怖くなる」
イタリアからアメリカへ帰る飛行機の中での会話だった。
承太郎にはその会話の意味が理解出来なかったし、仮にその時は理解出来ていた振りをしていたといても、今その時のアマネの言葉の意味を知った瞬間には、間違っていたと思っただろう。
『覚悟』とは何のことであったのか。もしくは自身を『人間じゃない』と言い切った理由がどんな程度であったのかを。
承太郎は酷く甘く見ていたのだ。