五部
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『お前はちゃんと力を持っているね? お前が持つその魔法は、決して苦しめるだけじゃない』
魔法は決して苦しめる呪文だけじゃない。そんなこと分かっていた。
空中で中途半端に停止した矢の先が、慣性の法則を完全に無視してトムの元へと飛んでくる。ミスタの身体が受け身もとれずに落下し、周囲に風が吹いてきていた。
ミスタ達が自分の手や身体を見下ろしている。トムは矢を握りしめたままレクエイムへ止めを刺したブチャラティを見つめた。
魂がディアボロの身体から半分以上出ているのがトムにも見える。きっとスタンドではなく魂だからだろう。ジョルノも同じ場所を見つめていた。
「全ては元へ戻るッ!」
レクイエムを完全に破壊すれば、その能力だった魂の入れ替えも元へ戻る。魂と身体は本来結びつきが強いものだ。トムの様な例外もあるけれど、魂は自分の身体へ戻ろうとする。
けれども、ブチャラティは。
レクイエムを破壊し、空へ向かっていくブチャラティの魂が優しげな眼差しでトム達を見下ろした。ギャングのくせに優しい眼をした人だ。そして父のアマネへ似ている。
死ぬと分かっていて全てを元へ戻した。自分はどうにもならないと分かっていて、後を託していく。
完全に魂がそれぞれの身体へと戻る。血を吹き出しながら倒れたミスタをジョルノが支えた。トリッシュも意識はないが息をしている。
トムは自分がつかみ取った矢を見下ろした。スタンド使いを生み出し、スタンドを更に進化させる矢だ。
「ッ……、ジョルノ。僕は君が僕の選ばないであろう選択をしたのが、その結果で君がどうなるのかが僕は知りたかった」
矢を握りしめる。そうしてジョルノへと突き渡した。
「僕に『希望』の結末を教えて」
ジョルノが矢を受け取る。矢を振り上げて、叫んだ。
「《ゴールド・エクスペリエンス》ッ!」
振り上げた矢を自身の胸元へ突き刺そうとする。起き上がったディアボロがジョルノへ向かって走ってくるのにトムは突き飛ばされた。
ジャラリと腰に着けていた父のウォレットチェーンが音を立てる。ジョルノが胸元へ穴を開けて倒れそうになった。その手から矢が地面へ落ちる。
ディアボロがそのジョルノへ追い打ちを掛けて殴っていた。
「『帝王』はこのディアボロだッ!」
「――それ、フラグだよ」
呟いたトムの声が、聞く耳を持たないであろうディアボロへ届く訳もなく。
地面に落ちた筈の矢がジョルノの手首から刺さり、這い上がっているのが見えた。
スタンドの矢は人を選ぶ。選んだ者をスタンド使いへ進化させる。ならばそこから更に選ばれたスタンド使いはどうなるのか。
「矢は資格ある者を選ぶんだ。――覚悟の強い資格者を」
ジョルノがそのスタンド能力の強さからか、宙に浮いている。その傍らにはゴールド・エクスペリエンスなのだろうスタンドの姿がトムにも見えた。
魔法は決して苦しめる呪文だけじゃない。そんなこと分かっていた。
空中で中途半端に停止した矢の先が、慣性の法則を完全に無視してトムの元へと飛んでくる。ミスタの身体が受け身もとれずに落下し、周囲に風が吹いてきていた。
ミスタ達が自分の手や身体を見下ろしている。トムは矢を握りしめたままレクエイムへ止めを刺したブチャラティを見つめた。
魂がディアボロの身体から半分以上出ているのがトムにも見える。きっとスタンドではなく魂だからだろう。ジョルノも同じ場所を見つめていた。
「全ては元へ戻るッ!」
レクイエムを完全に破壊すれば、その能力だった魂の入れ替えも元へ戻る。魂と身体は本来結びつきが強いものだ。トムの様な例外もあるけれど、魂は自分の身体へ戻ろうとする。
けれども、ブチャラティは。
レクイエムを破壊し、空へ向かっていくブチャラティの魂が優しげな眼差しでトム達を見下ろした。ギャングのくせに優しい眼をした人だ。そして父のアマネへ似ている。
死ぬと分かっていて全てを元へ戻した。自分はどうにもならないと分かっていて、後を託していく。
完全に魂がそれぞれの身体へと戻る。血を吹き出しながら倒れたミスタをジョルノが支えた。トリッシュも意識はないが息をしている。
トムは自分がつかみ取った矢を見下ろした。スタンド使いを生み出し、スタンドを更に進化させる矢だ。
「ッ……、ジョルノ。僕は君が僕の選ばないであろう選択をしたのが、その結果で君がどうなるのかが僕は知りたかった」
矢を握りしめる。そうしてジョルノへと突き渡した。
「僕に『希望』の結末を教えて」
ジョルノが矢を受け取る。矢を振り上げて、叫んだ。
「《ゴールド・エクスペリエンス》ッ!」
振り上げた矢を自身の胸元へ突き刺そうとする。起き上がったディアボロがジョルノへ向かって走ってくるのにトムは突き飛ばされた。
ジャラリと腰に着けていた父のウォレットチェーンが音を立てる。ジョルノが胸元へ穴を開けて倒れそうになった。その手から矢が地面へ落ちる。
ディアボロがそのジョルノへ追い打ちを掛けて殴っていた。
「『帝王』はこのディアボロだッ!」
「――それ、フラグだよ」
呟いたトムの声が、聞く耳を持たないであろうディアボロへ届く訳もなく。
地面に落ちた筈の矢がジョルノの手首から刺さり、這い上がっているのが見えた。
スタンドの矢は人を選ぶ。選んだ者をスタンド使いへ進化させる。ならばそこから更に選ばれたスタンド使いはどうなるのか。
「矢は資格ある者を選ぶんだ。――覚悟の強い資格者を」
ジョルノがそのスタンド能力の強さからか、宙に浮いている。その傍らにはゴールド・エクスペリエンスなのだろうスタンドの姿がトムにも見えた。