五部
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「レクイエムは『開始時間』だからやめたんだ! わたしの肉体が“変わり始めた”からわたしを殺すのをやめたんだッ!」
そう言う亀の頭部のすぐ脇から、メキメキと亀の身体から殻を破るように得体の知れない生き物の頭部が盛り上がってきていた。
「これが暴走した『レクイエム』の目的だ! 精神を別の肉体と入れ替える能力とはつまり、この世の生き物が『別のモノ』に入れ替わっていく能力なんだ!」
周囲で倒れていた一般人達も、顔の皮膚が破けて人間ではないモノの顔が覗いていたり、眼窩からもう一つの眼が飛び出してきていたり指が破けて分裂していたりする。流石のトムでもゾッとするような光景だ。
だがトムは、これに似た現象を知っていた。ベルベットルームからいける名前も知らない何処かで見た、影時間の様な場所で人がシャドウへ変貌してしまう姿に似ている。
きっとそれらは同じものなのかも知れない。人と、精神のエネルギーであるスタンドと。
「死ぬだとか、苦痛とかは無いみたいだわ。みんな虚ろな表情をしている。でも……意識が『別のモノ』になっていく恐怖はあるわ。少しずつ少しずつ、あたしの『心』と『体』がなくなっていく恐ろしさだけは……」
「トリッシュ!」
トリッシュの魂が入っているミスタの手の、指先が皮が破れて得体の知れない何かが覗いている。爪も剥がれていて今にも落ちそうなそれに、トムは両手を伸ばしてそれを掴んだ。
「トム!?」
「――大丈夫! まだ取り返しは利く! 本当に駄目だったら何があったとしたってこの場に父さんが来てるはずだ。まだ僕達はこの状況をどうにか出来る!」
「おま、こんな時まで父さん父さんって」
「スタンド使いは引かれ合う。なら来ていた可能性だってある。これが運命だというのなら君達は諦めるのか。僕の父さんは諦めない。ダイヤモンドが砕けない様にアメジストだって色褪せない。たった一人であっても諦めていいなんてことはない。ジョルノだって言っただろう」
掴んだ手の下で何かが盛り上がってくる。亀の脇から出ている頭部も悲鳴を上げていた。
「『『道』というものは自分で切り開くものだ』と言った人を知ってる。『『覚悟』とは暗闇の広野に進むべき道を切り開くことだ』とジョルノは言った。同じことだろ? その人はちゃんと目的を達成した」
亀が息を飲んでいる。きっと心当たりがあったのだろう。彼の名前は『ポルナレフ』というらしいから。
「世界は切り開いてこそ動き出す。恐怖という暗闇を切り開け!」
そう言う亀の頭部のすぐ脇から、メキメキと亀の身体から殻を破るように得体の知れない生き物の頭部が盛り上がってきていた。
「これが暴走した『レクイエム』の目的だ! 精神を別の肉体と入れ替える能力とはつまり、この世の生き物が『別のモノ』に入れ替わっていく能力なんだ!」
周囲で倒れていた一般人達も、顔の皮膚が破けて人間ではないモノの顔が覗いていたり、眼窩からもう一つの眼が飛び出してきていたり指が破けて分裂していたりする。流石のトムでもゾッとするような光景だ。
だがトムは、これに似た現象を知っていた。ベルベットルームからいける名前も知らない何処かで見た、影時間の様な場所で人がシャドウへ変貌してしまう姿に似ている。
きっとそれらは同じものなのかも知れない。人と、精神のエネルギーであるスタンドと。
「死ぬだとか、苦痛とかは無いみたいだわ。みんな虚ろな表情をしている。でも……意識が『別のモノ』になっていく恐怖はあるわ。少しずつ少しずつ、あたしの『心』と『体』がなくなっていく恐ろしさだけは……」
「トリッシュ!」
トリッシュの魂が入っているミスタの手の、指先が皮が破れて得体の知れない何かが覗いている。爪も剥がれていて今にも落ちそうなそれに、トムは両手を伸ばしてそれを掴んだ。
「トム!?」
「――大丈夫! まだ取り返しは利く! 本当に駄目だったら何があったとしたってこの場に父さんが来てるはずだ。まだ僕達はこの状況をどうにか出来る!」
「おま、こんな時まで父さん父さんって」
「スタンド使いは引かれ合う。なら来ていた可能性だってある。これが運命だというのなら君達は諦めるのか。僕の父さんは諦めない。ダイヤモンドが砕けない様にアメジストだって色褪せない。たった一人であっても諦めていいなんてことはない。ジョルノだって言っただろう」
掴んだ手の下で何かが盛り上がってくる。亀の脇から出ている頭部も悲鳴を上げていた。
「『『道』というものは自分で切り開くものだ』と言った人を知ってる。『『覚悟』とは暗闇の広野に進むべき道を切り開くことだ』とジョルノは言った。同じことだろ? その人はちゃんと目的を達成した」
亀が息を飲んでいる。きっと心当たりがあったのだろう。彼の名前は『ポルナレフ』というらしいから。
「世界は切り開いてこそ動き出す。恐怖という暗闇を切り開け!」